センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

77話 神速で全てを超えていく物語

 77話






 『自我』と『戦闘力』という自律性を捨てた代わりにほぼ同性能のアバターラ――を創りだすと、ニーは叫ぶ。




「シグレ! ニーの――」


 シグレは途中で悟ったようで、言葉を最後まで聞かず、ニーのアバターラを掴み、


「私の体、好きにせぇ」


「シグレの右腕と融合させる! あの天使を防いで!!」


「OK」


「――竜腕、ランク5!!」


 一瞬だけ光った、かと思うと、シグレの右腕が、竜の腕になる。


 そのまま、


「よいしょぉおおお!!」


 近々にまで迫っていた希天使の攻撃を防ぐシグレ。
 そのままアロリリアの腕を掴み、ギュゥウっと握りしめる。
 凄まじい力。
 レベル8の女子高生とは思えない筋力。


 腕を掴まれたアロリリアは、しかし、


「はん、ザコが……」


 ボソっとそう言うと、シグレの腹に蹴りを入れた。
 言っても、しょせんは、右腕だけが存在値50前後になっただけ。
 アロリリアからすれば大したことはない。
 融合している腕以外を攻撃してしまえば――
 そう思ったが、


「ぐふっ――」


 シグレは、大量の血を吐いた――




 ――が、死んではいない!!




「ぇ……」


 その様子を横目に見ていたアロロリアがまず声を漏らし、次いで、ホルスドが、




「なっ、なぜ、死なないっ……アロリリアの存在値は90を超えているんだぞ! そのアロリリアの一撃が、貴様程度の防御力を貫けないはず……ま、まさか、腕だけではなく、全身にもオーラを供給しているのか、ふ、ふざけたスライムがぁああ!! 貴様、どれだけのオーラを内包しているというんだぁああああ!」




 シグレは、血を吐きながら、しかし、顔をあげて、


「はは……死ぬほど痛いけど……ぎり耐えられる……」


 ラリったような、バキバキに充血した目でアロリリアを睨みつけ、


「ウチの旦那には、絶対、手ぇ出させんぞ、あほんだらぁ……さあ、死ぬまで付き合ったるから……好きなだけ、かかってこい、ぼけぇ」




 アロリリアは、苦々しい顔で、


「ちぃ! ガキがぁああ! 死ね、死ねぇえええ! 邪魔だぁあああ!!」


 腕に魔力を込めて、何度も、何度も、シグレを殺そうと、顔面を殴りつける。


 意識を奪おうと、全力で殴りつける――が、


「ぬぅ……いぃい……」


 右の眼球が破裂し、鼻も砕けた。












 途中、首に、


 ――ザラリ……


 とした違和感を覚えた。
 直接的な痛みではなく、ゾワゾワと這いあがってくる黒い痛み。
 これは、アロリリアから受けた攻撃による影響ではない。












 『代償』だと即座に理解できた。
 運命をないがしろにした罰。




 『蝕まれた』と認知したとたん、さらに、『呪』は加速した。
 痛みがとめどなく溢れ出てくる。




 それでも、シグレは、ニっと笑った。
 脂汗を撒き散らしながら、




 しかし、顔をあげて、言う。




「……今のあたしを……簡単に殺せると思うな……」


「死にかけがほざくなぁあ! もう死ぬだろうがぁあ!!」


 そこで、アロリリアは、掴まれていない方の腕に、


「これで、終わりだ! 鬱陶しい女ぁあ! 『エンジゥバースト』!!」


 自身に使える最高位のグリムアーツ。
 その溜動作に入った。
 時間にして一秒弱。


 それは、数千年かけて磨き抜いてきたストレート。
 誰にだって歴史はある。
 アロリリアは、魔法が苦手だった。
 ゆえに、辿り着けた必殺の拳。


 溜めて、拳を放つ――そのわずかな一瞬の間、
 ずっと、シグレは、自分の死を感じていた。


 けれど、驚くほど清々しい気分だった。


 気が遠くなるほどの苦痛に染まる底。
 死を前にしたその僅かな時間の奥で、シグレは、つい微笑んでしまった。


 と同時に右目から零れる涙。
 悲しくて流す雫じゃない。


 『一緒に死にたい』とすら思える相手を守って死ねた。
 それが、ただ嬉しかった。


 自分の人生には意味があった……なんて、そんな気持ち悪い事を思った。


 けがし、あらがい、殺し、奪い、腐り、無意味な虚勢を張りながら、現実と闘ってきた。
 鉄の匂いがする記憶――が、シグレの中で溶けて弾ける。


 アロリリアの溜めが終わり、拳が迫った。


 そんな、圧縮された時間の中で、


(名前くらい……知りたかったな――)


 未練に触れた、虚空清浄(ほんのわずかな時間)。
 その一瞬を、










 ――闇色の閃光が、さらっていった。












 殺神となったヒーローの右腕が、まっすぐ――


 ――グチャァァッッッッッッ!!!










 上位天使を砕く轟音が空間に響いた。
 一撃で、跡形もなくバラバラに炸裂したアロリリア。


 と、同時に、シグレを蝕んでいた黒い影も払われた。
 狂気の波動が、シグレの呪を中和する。


 ――『互い』の『心と体が近くにあればあるほど、弱まる呪』――


 完全に呪いを消し去ることはできないが、
 共にいる限り、
 魂が寄り添う限り、
 シグレの呪は、『最悪』には至らない。






「シグレ、ありがとう」






 拳をふるったのは、神を殺す闇――
 そこには、幽玄たる殺戮の化身が一体。
 禍々しい鋼血の邪龍。
 烈々たる黄泉の鬼羅。


 いつか花開くと分かっていた閃光が、今、闇色に咲き乱れる。






「本当に、ありがとう」






 心からの感謝を告げるゼン。


 シグレを想いながら、声を紡ぐ。




「寝てていいぞ。あとは、もう……俺の手が、神を殺すだけだから」






 ゼンの、言葉を聞きながら、シグレは、






(超かっこえぇ……どんだけホレさしたら気ぃすむねん……)






 最後に、そんなアホな事を想いながら気絶した。












『残り稼働時間――7秒』










 脳内に響く声を聞いて、ゼンは、ニタっと笑う。


「……長ぇな、そんなにいらねぇ」


 そう呟いて、殺神は、音の壁を殺しながら跳躍した。










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  : アスラ・エグゾギア‐システム発動時 :






 名前『阿修羅ゼン』


 メインクラス『殺神』
 サブクラス 『闘神』
       『戦神』
       『死神』
       『羅神』


 ・称号『神を殺す闇』
    『殺戮の化身』
    『神話の切札』






 《COST》 【1】
 《改造率》  【0%】


 [EGB]     【9950億6300万/9950億6300万】
 [MP]      【0/0】


 「攻撃力」       【196億8900万】
 「魔法攻撃力」     【0】
 「防御力」       【0】
 「魔法防御力」     【0】
 「敏捷性」       【21億50万】
 「耐性値」       【6億2000万】
 「バリア再生力」    【0】
 「魔力回復力」     【0】
 「反応速度」      【3億600万】










 ・武装
 【なし】


 ・AGEスキル
 【殺神遊戯さつじんゆうぎモード】「全性能が大幅に上昇。ただし、稼働時間減少」
 【サイコジョーカー】「全性能が凶悪に上昇。ただし、???」
 【UFオーラ展開】「システム発動時、常に最高位のフェイクオーラに包まれる」




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