『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

66話 満点合格!!

 66話




「……っ」




 突如、あらわれた救援。
 そして、叫び。
 その真剣な言葉を受けて、シグレはハっとして、すぐに、


「ニー!」


 空に浮かんでいるニーを呼び寄せて、頭に着地させると、そのまま、


「あんがとぉおお!!」


 腹の底からそう叫んでから、救世主に背中を向けてダッシュする。


 振り返らず、必死で、両足を回転させる。


 走る、走る、走る。


 ――30秒ほど、頭をからっぽにして全速ダッシュをしてから、










「た、助かった。危なかった……ほんま死ぬかと思った……はぁ、はぁ……」










 息を切らしながら、それでも足を止めず、




「ニー、あたし、どのくらい離れたらええん? はぁ、はぁ……た、たぶんやけど、あの言い方から察するに、あの人の切り札って、広範囲の殲滅魔法的なやつやろ? ぜぇ……ふぅ……ぁ、あとどのくらい離れれば――」


「……」


「ニー?」


「あ、ごめん……気付いた上で、あの人を立ててあげた訳じゃなかったんだね」


「は?」


「……『あの人』は、あの場をどうにかできる切り札とかは、たぶん、持っていない」


「? それ、どういう」


「強い『力』は何も感じなかった。――波形が同じだったから、あの人は、間違いなく、シグレと同じで『御主人に召喚されて、チートをもらった人』……だけど、『強い力』は持っていない。『数真』の反応と、『ファントムレクイエム』を着ていたことから、『GL解放』のチートをもらったって事はわかる。GLの解放は……ハッキリ言って、シグレが貰ったものとは比べ物にならないくらいの、とんでもなく凄まじいチートだよ。けど、まだまだ発展途上の初期段階。あの魔力量から推察するに、おそらく、『あの人』のGLは1000以下……。将来はともかく、今のあの人じゃ、ホルスドには、何をしても勝てない」




 それを聞いて、シグレは立ち止った。


 GLどうこうはイマイチ分からなかった。
 しかし、さっきの救世主が、ホルスドには勝てないという事だけは理解できた。




 シグレは、必死に呼吸を整えながら、




「ほ、ほな、なんで……ぁ、あの人、あんな、切り札がどうとか言うてたん?」




「それは、たぶん、御主人から、シグレの事を聞かされたからだと思うよ。シグレの性格は、少し特殊だから、『普通に逃げろって言っても聞かない』って判断したんだと思う」


「……」


「シグレ。君はバカじゃない。だから、あの人の行動の意味が分かるよね? シグレの、その命は、そこまでして守られた命なんだ。大事にしないと。だから、立ち止まらず、はやく逃げて。あの人の足止めは、たぶん数分しかもたない。GLが解放されているなら、MPは高いと思うけど、足止めの手段が呪縛しかないなら、ホルスド相手だと話にならない。いいかい、シグレ。よく聞いて。これからは少し慎重に行動――って、シグレ?!」




 ニーの言葉を最後まで聞かず、シグレはきびすを返して走り出した。


 さっきの場所に戻ろうと、全速でダッシュ。
 そんな『謎行動』を開始したシグレに、ニーが叫ぶ。


「なにやってんの?!」










「あたし、なにやってんねやろぉなぁ!」










 シグレは、大きく息を吸って、


「ようわからん。けど、あれや……なんていうか……今のあたしには、一緒に生きたいと思うヤツが、ニーを筆頭に、それなりにおるんや。ゼロさんはカッコ良かったから好きや。一緒におりたい。カース3兄弟も、あのパンクにスタイリッシュな感じが、なんか好き。神様もそうやな。嫌いやない。ちょっと浮世離れしすぎて近づきがたいけど、悪い人やないと思う。――うん、一緒におりたい。そう思えるヤツが、あたしには数人おる。あのクソみたいな世界で生きとった時と違って……これから、この世界で生きていけば、『そう思えるヤツ』が、たぶん、何人かできると思う。けどなぁ」


 そこで、シグレは、顔を赤くして、たははと笑いながら、












「一緒に死にたいと思えるヤツには、ここを逃したら、もう二度と会えん気がする」












「……」


「ニーは見たかなぁ? さっきの男なぁ、実は、あたしに『逃げろ』って叫んどる時、めっちゃ泣きそうな顔してたんや」


「……」


「たまにそういう顔つきの奴もおるから、単にそういう表情の男なんやと思ったけど……なんてことあらへん。ただただ、泣きそうな顔してたんや。あのホルなんとかっていうクソ野郎の前に飛び出すんが、恐くて、恐くて、たまらんくて、悩んで、苦しんで、だから、めいっぱい辛くて、心底からしんどくて、だから――」


「……」










「うまれて初めてや。こんな『胸がいっぱい』になる感情……」










 シグレは、人生最高の笑顔をみせてから、それを、


「勘違いかもしれへんけど、まあ、別にそれでも構わん。問題は、それでもええと思えるかどうかやと思うんや」


 『覚悟をかためた表情』にセットしなおして、


「最後かもしれへんから……それに、今、異常なほどテンションあがっとるから……今から、ちょっとだけ、ええ女を気取って、あの男子に対して、めっちゃ上からもの言うけど、引かんとってな、ニー」




 ――シグレは、思い出す。
 あの『ちょっと難儀な性格』をしていそうな、同年代っぽい男の顔。
 少し釣り目で、奥二重。
 若干、不健康そうで、眉毛がちょっと太かった。


 一瞬だったけど、あまりに衝撃的だったからか、鮮明に思い出す事ができた。


 身長は170センチに達していないくらい?
 もしかしたら年下?
 ちょっとヒョロいけど、ガリガリってわけじゃない体形。
 服装が、ちょっとキメ過ぎていて、ぶっちゃけどうかとは思ったけど、ニーの発言から、もしかしたら『もらったチート』の一つかもしれないと思えたので許容範囲。
 そういえば、あの神様、ちょっとアレ気味やったっけ……




 なんて、そんな事を思い浮かべながら、




 シグレは、
















「すぐに行くから、まだ死ぬな! 死ぬならあたしの死体の横で死ね! あんたは……一緒に死ぬ相手として、満点合格!!」





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