『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

65話 この絶望を覆す、とっておきの切り札

 65話




 シグレの情報に触れた時、最初に思ったのは、『似ている』だった。


 本質は違うけれど、枝葉は似ている――そんな事を思った相手は初めてだった。


 だから、最初に感じたのは、やはり、同族嫌悪。


 なんか、ムリ。
 ちょっと、イヤ。


 ある種、当たり前で、少し歪んでいる、ゾワゾワとした不の感情。




 けど、会ってみて、行動の一部を目の当たりにして、言動を少し聞いてみて、


 不の感情は一周した。
 二週したかもしれない。
 そのぐらいの衝撃は受けた。






 ――変な女だ――






 もちろん違う存在だけれど、
 同じ方向を見ていると思えた。




 ――『出会えた』とすら思ったんだ――




 元から少し壊れていて、大事なものを失って、
 孤独を愛しながら、孤高を求めながら、
 逃げるのを嫌い、『あの場所』を憎みながら、
 『あそこではないどこか』を夢見ながら、
 それでも、『逃げなかったという証』だけをバカみたいに必死こいて求めて、
 要らない重荷を背負って、無意味に傷つきながら、悪意に鈍感なふりを通して、
 それでも『譲れない何か』を抱いて、
 質量のない血を吐きながら、
 『脆い心』をどうにか守っていた。










 ――だから、










 そうだよな?
 ロジックじゃねぇよな。










 属性が決まったらそれっきり――な訳ねぇよな。
 筋書き通り、フローチャート通り、決められた0と1の通り。
 な訳ねぇだろ!


 孤独を愛しているのは事実。


 だから、孤独じゃなきゃいけない?




 そんな訳ねぇよな!!




 わかんねぇよ、心。
 わかんないよ、感情。


 どうしたいのか、マジで不明。
 理解なんて、永遠にできる気がしねぇ。


 どうしたい?
 何がしたい?


 しるか。


 言葉で決められるかよ。


 だって、不完全だもん。




 ――ただ、イヤだっておもった――




 感情。
 うぜぇ。


 ムカつくぜ。


 きもちわりぃ。




 ――知ったこっちゃねぇんだよ。




 取り繕おうとした分だけ、どんどんほつれていく。
 『お前はこうだろ?』って言葉に反発する――そんなキャラクター?


 性格?
 人間性?


 くだらねぇ。
 くだらねぇ。


 変に外装だけ整っている人格を否定して、
 積み重ねてきた想いをミキサーにかけるの。


 そうして、
 バラバラになって、


 あとに、何が残るの?




 知らん、知らん。




 だから、聞かれても答えられねぇ。




 ――なんで動いたの?




 もし、そう聞かれても、答えられねぇ。






 そんな『一連』を通して思った事は一つ。










 ――俺って男は、想定を遥かに下回るクソバカ野郎だった――










 そんだけ。






 ★






 呪縛の魔法を、実際に使ってみて分かった事が二つあった。


 まずは、予想通り、相手を拘束する魔法だったって事。
 そして、もうひとつは、




(拘束している間、動けねぇのかよ! コンボ、できねぇじゃねぇかああ!!)




 イメージとしては、『結べないロープで相手を縛っている』といったところ。


 両手を放せば、相手の拘束は解けてしまう。


 それが感覚で分かる。


(おまけに、MPがガンガン減っていっている……相手が強ぇからか? それとも、デフォ?)


 雷術の時は『魔力消費量』に関してイマイチよく分からなかったが、呪縛は、色々と法則が違うのか、『MPが減っていく感覚』がダイレクトに感じられた。


(やべぇ……この調子じゃあ、一分も、もたねぇ……)




 拘束されているホルスドは、『己の状況』に一瞬だけ戸惑ったが、
 しかし、それも一秒程度のわずかな時間で、
 変に焦ったり、慌てたりはせず、むしろ、戸惑った分だけ冷静に世界を見つめた。


 ゆえに、その視線は、即座に対象ゼンをとらえた。


 だから、ニっと微笑む。


「同じ波形……貴様もイレギュラーの眷属だな。もう一匹いたのか。ふんっ。驚きはしないさ。二匹いようが、三匹いようが、たいして違いはないからな」


 抵抗の魔法は使わずに動こうとしてみた。
 おそらく低位の呪縛。


 ならば、と、
 筋力だけで動こうとするが――動けない。


 また、ニっと笑うホルスド。


「この行動一つだけでもわかる。貴様は頭が非常に悪い。しかし、魔力はそれなりにある……腐ってもイレギュラーの眷属といったところか。くく……拘束されたのは久しぶりだな。そして、見事に動かない……たいしたものだ……が、どれだけ持つのかな? ずいぶんと苦しそうだぞ?」


 ホルスドの言葉を耳には入れず、ゼンは、大声で、


「田中シグレ、失せろ!! 邪魔だ!!! はやく消えろ!!」






「……ぇ?」






 何がなんだか分からず、茫然としているシグレに、ゼンは、たたみこむように、




「俺は救援要請を受けて、神様から派遣されたものだ! で、お前がそこにいたら、『とっておきの切り札』が使えないんだよ! というわけで、はやく、そこから離れろ! なに、ボーっとしてるんだ、動けぇ! 邪魔ぁあ!  俺を殺す気かあああああ!!」





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