『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

33話 最高の旅立ち

 33話 










 気がつくと、ゼンは、深い森の中に一人で立っていた。


 太陽が真上にあるので、周囲は明るい。


 見渡せば、そこら中に、でっかい木。
 そして、ワサワサしている大量の虫。


 緑の匂いに包まれて、ゼンは、つい顔をしかめる。


(森スタートって……ナイトメアモードだな、おい……)


 くすんだ翡翠みたいな光が視界を包み込む。
 絶えず聞こえる、ブーンという羽音。
 そして、ザワザワとした疎外感。


(まあ、どうあったところで、けっきょくのところ、やっぱり一番の大問題は、この服なワケだが……マジで脱げねぇよ、呪われ方がハンパねぇぞ、これ……まあ、着心地は悪くないし、軽いし、素材もメチャメチャいいやつ使ってるっぽくて、かつ、どうやら、虫よけの効果もあるらしいから、かなりすげぇいいもんではある訳だけど……いや……んー)


 大量にワサワサしている虫たちは、例外なく、ゼンの周りを丁寧に避けていく。
 そんな特殊能力は持っていないし、虫よけスプレーをつけている訳でもないので、つまりはそういう事だろう。


(こうなると、革手袋とブーツはすげぇありがたいな……)


 『鬱蒼と茂る、苔むした大木』に、ウジャウジャと張り付いているのは、
 うっすらと邪気めいたものを放っている奇形の昆虫達。


 アリっぽいもの、ゴキブリっぽいもの、色々と種類は豊富で、どれも見た事がない。




(……もし虫が苦手だったら発狂しているところだろうな。俺はゴキブリも素手でいけるタチだから、『こちらに対する敵意』と『毒』さえなければ、どうとも思わないが……)


 ゼンは、心の中で、そんな事をつぶやいていると、


 ふいに、『薄羽の生えた中型犬サイズの大きなサソリみたいなの』が、
 ブブブっと音をたてながら、ゼンの頭上まで飛んできた。


(……ぉ、おいおい、なんだ、なんだ……)


 その大きな羽サソリは、観察するように、『光を反射している真っ白な五つの目』でゼンを見ていたが、襲ってきたりはせず、数秒後、ゼンから距離を取るように、ゼンから視線は外さないまま、どこかへ飛んでいった。




(ぷふぅ……こ、こりゃ、ファッションをどうこう言っている場合じゃねぇな……真剣に、ここからの脱出方法を考えよう。この辺にいる虫は襲ってこないっぽいが、全ての虫がそうだとは限らねぇ)




 ゼンは周囲を警戒しつつ、


(とにもかくにも、まずは、この森から脱出する事……とはいうものの、どうすっかなぁ。謎のウィキ知識を持つ異世界転生者と違って、俺には、サバイバル知識なんかねぇぞ。『切り株で方角は分からない』ってマメ知識が限界だ。クソの役にもたたねぇ。……そして、どっち向いても木しかねぇ……なんだよ、このコダマが大量に出てきそうな、がっつりとした森。現代っ子の俺に太刀打ちできる代物じゃねぇぞ)


 見渡してみるが、どこもかしこも虫と木ばっかり。


(なんの準備もしてない中学生を、こんな深い森の中に放り込むとか、あの神様、正気かよ。神実があるから、餓死はしないだろうが、水場が見つからなかったら、その時点で終了だぞ)


 心の中でつぶやきながら、ゼンは、どうにか冷静に、神様からもらった情報を頭の中でおさらいしていく。


(やべぇな。絶望的な状況に、かるく鬱ってきた。マジで、やべぇな、森。精神的にくる。……ぃ、いかん、いかん。まずは、希望を! そう、未来を考えよう!)


 圧迫感に締め付けられている頭を少しでも軽くしようと、深呼吸をしてから、


(ええぇと、そうそう。まず、ここから出られたら、冒険者試験を受ける。そこで、俺と同じく、神様に召喚された日本人の……田中シグレだっけ。『そいつ』と合流し、パーティをくんで冒険者試験に挑む。どうやら、タナカトウシの親戚らしいが、そんなもんは、どうでもいい。親戚なんか、苗字が同じなだけの真っ赤な他人だ。利用できるものは利用して、少しでも合格する確率をあげる)


 仮に、姉だったなら、少しは思う所もあったかもしれないが、親戚となれば話は別。


(実際問題、俺は、親戚の名前なんか一人も知らん。そういうもんだ、親戚なんて。……まあ、流石の俺でも、オヤジの兄貴の名前くらいなら覚えて……あれ? ちょっとまてよ、なんだっけ……タケノリ……いや、タケヒサ……………………んなこたぁ、どうでもいいんだよ!)


 思いだそうとしてみたが、無理だったのでゼンは、伯父について考えるのをやめた。





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