『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

11話 殺す気でこいよ

 11話




 中学に入ってからずっと、センは、こいつに金を払ってきた。
 毎月、千円。
 それ以上は決して要求してこなかったので、センは、『それなら、まあ、いいか』と黙って金を払ってきた。




 中学以降のセンは、父親から、年に一回、100000円をもらっている。
 お年玉分、誕生日プレゼント分、他の雑費もろもろ、全て含めて、年に100000円。
 その中から、12000円が消えるだけ。
 たいした事じゃない。


 どうとでもなる。
 払った方が合理的。
 分かっている。
 バカじゃない。


 だから、払ってきた。


 しかし、今日のセンは、財布に手を伸ばさない。
 そのガタイがいい金髪に対し、冷めた目を向けて、










「もう、時間も内申もどうでもいいから、金は払わない」










 と、ハッキリ宣言した。


「……あ?」


「お前らの相手をまともにするのは色々と無駄だから、月に千円でいいならそっちの方が楽だと思っただけ。もう『アカコー』は捨てた。『東』なら、何をしても受かる……だから、もう金は払わない」


「……あのなぁ、セーン」


 そこで、金髪は、センの肩をポンと優しくたたき、


「そういう、『気合いを見せる系』とか、別にいいから。……こっちは、今日中に、あと五人まわらないといけねぇんだよ。ゴチャゴチャ言わずに、さっさと出せ。今すぐ出せば、聞かなかった事にしてやるから」








「殺す気でこいよ、気室きむろ








「……は?」


「死ぬまで抵抗するから、やるなら殺す気でこいって言ってんの」


「わぁ、かっこいぃ、ステキ、抱いて……で、そのボケ、いつまで続けんの?」


 ダルそうにアクビをしながらそう言った金髪に、


 センは、すぅう、はぁあ、と深呼吸をした。


 恐怖はある。
 だが、それを上回っている感情が、他にいくつもある。


 だから、止まらない。


 センは、気室を睨み、冷めた目のまま言う。


「俺は病院で、お前は少年院ってところか……まあ、そのくらいの結末になれば、蝉原もめんどうくさがって、俺を無視するだろう……あいつはバカじゃない。抵抗するカモは捨てて、抵抗しないカモを選びなおすはず」


 センは、カバンを放り投げて、ギュギュっと拳を握りしめる。


気室きむろ、心配するな。勝てるとは思っちゃいない。ただ、見せるだけさ。『このカモは面倒くさい』ってところを」


「……」


「さあ、行くぞ……ははっ……なんか、俺、少し高揚してんな……痛いんだろうな、殴り合いの経験なんざ一度も無いから分からないけど、多分、痛いんだろう……けど、なんだろうな……今は、ちょっと……痛くなりたい気分なんだ」


 ――言っておくが、俺はMじゃないぜ。
 と一言だけつけたして、奥歯をギュっとかみしめた。




 ――そんなセンを、気室は、面倒くさそうな目で見つめる。


「勘弁してくれよ。……蝉原さんに怒られるの俺なんだぞ。あの人の恐さくらい、ほとんど関わりのないお前だって知ってんだろ。……ふざけんなよ、マジで……たかが月に千円だぞ。なんのためにその金額設定にしていると思ってんだよ……」


「分かっているさ。だから、抵抗するんだ。蝉原はバカじゃない。こっちの出方で行動を決めるはず……だから、俺は行動する」


 気室は、面倒くさそうに舌を打って、ボリボリと頭をかいた。


 そんな気室に、センは言う。


「今まで大人しく従っていたから気付かなかっただろ。俺はな……そこそこプライドが高い、ゴリゴリの厨二系男子なんだよ」








「……うっぜぇなぁ、もう……」









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