『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

3話 必ず取り戻す

 3話




 ガムシャラにスライムと対峙し続けたあの日々。


 ちょっとずつ、ちょっとずつ、自分を高めていった、かつて。




 一つレベルが上がるたびに、出来る事が増えた。
 上がっていくスキル、
 上達する技術、
 最適化されていく魔法、
 時折、発現する新たなスペシャル。


 出来る事が増えるたびに、必死に考えた。
 どうすれば、自分は、もっと――


 武器を創った。
 自分に最も適した武器をひたすらに追及した。
 鍛冶系のスキルをいっぱい極めて、色々なアイテムを創った。
 出来る事が増えるたびに、『最適』の範囲は広がって、確定を見失った。
 だからこそ、楽しかったんだ。
 夢中で『自分』に没頭した。
 己という神をプログラムし続けた、あの日々。




 もっと『覚醒技によって上昇する存在値』を上げたい。
 火力を犠牲にして、スピードをあげた方が、実戦では有利なんじゃ。
 あれ? なんか、グリムアーツの威力、すげぇ上がってきてね?
 こいつは、まさしく、『ついに努力が実を結んできた』的な感じのアレじゃね?
 うぉお、この神化って技、すげぇ!
 うっはー、夢が広がりんぐ!!
 ワハハハハ! どうだ、この完璧な装備!
 これなら神を超えられる可能性がなきにしもあらず!!
 ついに、存在値が1兆を超えたぞぉおおお!
 見える、見えるぞ! 俺の目にも、『神の拳』が見える!!
 どうした、『ソンキー』! 最強神の名が泣いている的な感じだぞ!
 きた、きたぞ……究極超神化2! 俺は究極超神を超えた!!
 これぞ、まさしく最強のちか……え? お前らの最高覚醒技、究極超神化5?
 っ、ぷじゃけるなぁああああ!!












 ――取り戻せるのか?
 ――あの日々を、
 ――大変だったけど、
 ――苦しい事はたくさんあったけど、
 ――自分の弱さが情けなくて、みっともなくて、惨めで、辛くて、
 ――けれど、それでも、どうしても止まれないくらい、
 ――楽しくて、楽しくて、楽しくて、仕方がなかったあの日々を










 ――もう一度……










「は、はは……はははっ……ははっ……」


 センの頬を、ツーと、涙が流れていく。


 死んでしまった未来。
 閉じてしまった可能性。


 諦めていた。


 仕方ないと、自分を慰めるだけだった、虚ろな日々。


 弱い言葉を重ねて、空っぽの自分を守っていた日々。




 そんなゴミみたいな日々よ、


 ふぁっきゅぅ!
 クソくらえ!!










 センは、まっすぐに前を見る。


 奥底から湧きあがってくる、忘れかけていた『熱い衝動』を抱きとめる。


 少年のような顔で、センは、








「……取り戻すぞ……可能だというのならば……絶対に……」










 センは決意した。
 もう振り向かない。
 もう、二度と顧みない。


 バカみたいに前だけを見続ける。
 それがセンエース。
 愚かしく最強を求め続ける、果てなき旅人。


「マジで存在値100京の龍とかいたらどうすっかな……いや、いいよ。むしろ、いい。超えてやるだけだ。はじめて神を見た時と同じか、それ以上ってだけの話……つまり、最高。俺の全てを賭して、超えてやる……超えてやるぞ、全部!!」


 暴力的なワクワクがとまらない。


 犯罪的じゃないか!
 頭が脳汁で満たされている!


 解放された自分。
 想像もできない、原初の世界――その深層。




 この先には、いったい何がある?




 ドキドキする。
 壊れそうなほど、心がはやる。




「……帰ってこい……俺の未来、俺の可能性……」




 溢れる脳汁を受け止めて、輝くような笑顔で、




「……さあ、行くぞ。原初の深層」


 センは、気力を充実させて、


「たとえ、てめぇが、どれだけ大きな壁であったとしても……俺は必ず超える……超えてみせる!!」




 宣言しながら、意気揚々と『冒険の書』を扉の穴にはめこんだ。




 すると、その巨大な扉が――


















『ブブー。この【冒険の書】は正規のルートで入手されたモノではありません』








 などと、ほざきましたとさ。
 めでたし、めでたし。





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