『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

32話 命は完成などしない

 32話




 世界が震動した。


 一瞬だったが、確かに揺れた。






「……ウ……ソ……」






 ユンドラは瞠目した。


 隣に立っている男から感じる力に畏怖を覚える。
 同時に感じた、魂が喜ぶほどの温かさ。
 全身が、甘い痺れで満たされる。




「まさ、か……ぁ、あなたも……『完成』していたなんて……」




 センから感じる力は、サイケルよりも弱いが匹敵していた。
 膨大な力の波動。
 神の領域。










「命は完成などしない」










「……」




 二の句が継げなくなったユンドラを残して、センは前に進む。






「御苦労さん、消えていいぞ」






 センに声をかけられたセンBは、苦い顔をして、


「まだだ。俺はまだやれる。ようやく、勘が戻ってきたんだ。こんな所で終われるかよ」


「自我なんて与えるんじゃなかったな……めんどくせぇ……いいから、消えろ。後で鍛え直してやるから」


「……くぅ…………ちぃっ!!」


 不満を爆発させた顔で、センBは、センを睨みながら、スゥっと揺らいで、センの体に戻っていった。




「さて……それじゃあ、本番を始めようか。もし、お疲れなら、休憩時間を取るけど、どうする?」






 言われたサイケルは、ニっと微笑んで、


「なるほど……」


 と、呟き、ゆっくりと、センとの距離を詰めた。


 二人の距離が一メートルを切ったところで、


「まだ、途中だったのか……私は、まだ……」


 サイケルは、


「ふ、ふふ……」


 楽しそうに微笑み、


「高揚するじゃないか。……そうか、私は、この領域に至ってなお、まだ未完成か。ああ……血が沸いている。私は、どこまで高みに昇るのだろうか」


 武者震い。
 果てなき欲望が湧き上がる。


「教えてくれ、『この上なきにえ』よ……私に、『私の果て』を」


 気血が潤って、


「さぁ」


 厳かに整う。










「……一つになろう」












 解析能力を使用して、


 センを奪い取ろうとするサイケル。






 だが、






「……ん?」


 サイケルは、首をかしげる。


(なんだ? ……どうなっている? なぜ解析できない…………どうして――)






「不思議そうな顔をしているな。なぜ俺を解析できないか、教えてやろうか?」


「……」


「俺の存在値は大きすぎるから、お前の演算能力じゃ処理できねぇんだよ。そのスキルは、神相手では使えない。実行できないって意味じゃなく、時間がかかりすぎるから、使い物にならないって意味な」






「……愚かな事を……ハッタリも大げさ過ぎると意味がなくなるという見本だな。もし、仮に、貴様の高みが、私に解析できないほどの領域にあるのであれば、私はとっくに死んでいる」




 サイケルは、バキバキと指を鳴らし、


「確かに貴様は強い。認めよう。しかし、私よりは弱い」


「確かに、ステータスならお前の方が上だな」






 センのビルドは、覚醒ブースト特化。
 覚醒時のパーセンテージを底上げする代わりに、素のステータスに制限がかかる構成。
 という訳で、覚醒技を使っていない今の状態だと、サイケルの方が、ステータスは遥かに高い。




 ちなみに、だいたい、こんな感じ。




  【サイコウイング・ケルベロスゼロ・タナトス(決戦仕様・第三形態)】
 「生命力」――――》》
 「攻撃力」―――――――――――――》》
 「防御力」――――――》》
 「俊敏性」―――――――》》
 「耐性力」―――――――――――》》
 「魔法力」――――――――――》》
 「正気度」――――》》
 「精神力」――――――》》




  【センエース】
 「生命力」――》》
 「攻撃力」――》》
 「防御力」―――》》
 「俊敏性」――》》
 「耐性力」――――――――――》》
 「魔法力」―――》》
 「正気度」
 「精神力」―――――――――――――――//――――――――――――》》













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