センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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28話 神様、たすけて

 28話




「龍槍召喚、ランク20!! ストライド・ドラグーン、ランク25!!」


 魔槍を両手に出現させ、一時的にスキル火力を60%上昇させるスキルを発動し、更に、


「覇王龍の一閃、ランク27!!!」


 最大火力のスキルを発動。
 余力を全投入した、捨て身の攻撃魔法。


 龍槍の矛先――一点に収束していく、空間が震えるほどのオーラ。


 ユンドラを乗せた天竜は、




「ライジング!!」




 命令に従い、一瞬で空高く舞い上がり、ピタっと止まる。


 『このまま飛んで逃げたい』という想いは当然のように湧きあがったが、それが無理な事は承知している。


 この竜では、速度が足りない。


 逃げようとしても、鼻歌交じりに背中を撃たれるだけ。


 生き残ろうと思えば、目の前の脅威を殺すしかない。


 出来るかどうかではなく、それしかないのだ。


 ユンドラは、スゥっと息を吸い、そして叫んだ。


「ブリィィィイイッツッッ!!」


 命じると、天竜は、放たれた砲弾のように、音速で、サイケルへと襲いかかる。




 全霊を込めた一撃が、サイケルの顔面に直撃!!




 激しく、粉塵が舞う。




 ――しかし、




「なんだ? フェイントか?」




 額に龍槍の尖端を押し込まれていながら、わずかも動じることなく、


「ん? ああ、一応当たっているな。ふはは……何の衝撃もなかったから、寸止めかと思ってしまった。ふ、ふふ……はは……自分でも驚いているぞ。ここまでの存在になれるとは夢にも思っていなかった。私の種となってくれたアダムには心から感謝をしないとな」


 笑っているサイケルを見て、ユンドラは、たまらずクラっとして、フラっとよろめいた。
 手綱から手が離れ、竜の背から転げ落ちる。




「残りの全てを注いだ……のに…………き、傷一つ…………そんな、ばかな……いくらなんでも……ありえない……」




 震えて動けなくなっているユンドラに、




「その『畏れ』は尊い。しかし、頭が高い」


 そう言うと、サイケルは、ユンドラの頭を掴んで、地面に叩きつけた。


 ズガンと音をたてて割れるアスファルト。


「それでいい。私の前では全てが地に伏せる。そして、偉大なる神である私を崇め奉る。しかして、全てが私になる」




「いや……だ……」




 サイケルの足下で、ユンドラが、




「死にたく……ない……」




 かすれた声でそう言った。


 それを聞いたサイケルは、溜息をついて、


「不快な発言だ。勘違いは醜い」


 そう言いながら、サイケルは、ユンドラの右腕を踏みつけた。


「ぁぁああぁあっっ!!」


「何度言わせる。ここは神の御前。世界に神が誕生したこのめでたき場にいわせていながら、喜びの声一つあげず、愚かな発言ばかりを繰り返す……なんという愚かさ……嘆かわしい」




「いやだ……痛い…………たす……けて……誰か…………神……様……」




「だから、私が神なのだ。そして、貴様は、これから、私という『最強の神』の一部に……いや、もういい。栄誉という概念すら理解できぬほどの阿呆などいらぬ」




 ユンドラの首を掴んで持ちあげる。




「うぐっ……ぅ……はな、して……」


「ただ、無意味に消滅しろ。貴様はいらない」


 手に魔力を集中させようとした、




 ――その時、








「よぉぉし!! 反魂の神聖式、成功ぉおお!!! あぁぁぁぁぶねぇぇえええ! あぁ……びっくりしたぁ……あぶねぇ……俺の守りのバフ、一手で貫通してくんじゃねぇよ、ぼけぇ……ぁあ、マジで焦ったぁ……ふざけやがって……くそがぁ」








 離れた場所から、そんな叫びが響いた。


 サイケルは、その声の方に視線を向けてみた。


 すると、


「……問題ないな? なにか、問題……ミス、ケアレスミス、手違い……よし、ない。器は問題ない。完璧。あとは、あのカスからコアオーラさえ回収できれば余裕で復活させられる……ふぅううう」


 そこでは、










「カスがぁ……ただで死ねると思うなよ……」










 顔面に、はっきりと無数の青筋を浮かべた男が、指をボキボキと鳴らしていた。





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