やはり、創造神の加護はチートでした

弥音 雪

62話 ギルドへ報告




  あれから家に帰ったレオンはなんとも言えない疲労感に襲われそのまま寝てしまった。それもそのはず異世界に来て初めて本格的に動いたのだ。急に体を動かしたせいか筋肉痛も酷い。

  翌朝になっても筋肉痛が痛かったのでしょうがなく回復魔法で何とかした。出来れば自然に治して体に馴染ませたかったが学校もあるのでそうはいかない。

  とりあえずいつも通り朝の日課を終わらせ学園に向かった。ギルドには放課後行けばいいと考えている。

  学園に着いてからはダンジョンの話をフィリアに話していた。だが所々誤魔化しながらだ。神を倒したとか教えたらただ事じゃ済まない。そうじゃなくてもダンジョンを攻略したのも教えられるかと言われればノーだ。

  それでもフィリアと話してて分かったが、やはり昨日の攻略スピードは少々異常だったようだ。これも当然面倒事になりそうだっのでフィリアには内緒にしてもらった。

  そこでふと思ったのはギルドへの報告だ。さすがに1日で攻略したのは問題になるかもしれない。ギルドマスターならいいが受付嬢や周りの冒険者に知られるかのうせいも無くはない。

  ということで一週間後に報告することにした。

  そして特に何も無く1週間が過ぎた。この1週間は驚くほど何も無かった。強いて言うならよく寝たことぐらいだろうか。肉体的な疲労は取れても精神的に疲れていたのかもしれない。

  というように特に特筆すべきことは無かった。

  それでレオンは今ギルドに向かっている。当然ダンジョンの報告だ。だがチセに聞いたところによると1週間でも相当早い方に部類されるらしい。一般的には今回の大きさだと1ヶ月前後ダンジョンに潜るという話だ。

  ギルドに入ると夜に近いせいか、なかなかに賑やかだった。良い意味でも悪い意味でも。

  特に首を突っ込むような真似はしたくないので適当に気配を薄くしてギルドの中を縫うように歩き適当に受付の前まで行った。今の時間はいつもの受付嬢、サーシャさんがいなかった。

「すみませんギルドマスターいらっしゃいますか?」

「申し訳ありませんが、ギルドマスターは多忙いらします。そんな簡単に合わせてくれと言われても厳しいです」

  まぁそうなるだろうと予想していたので予定通りSランクであることを打ち明けることにしてある。冒険者間に広まるのは避けたいが受付嬢の2人や3人ならまだ大丈夫だろう。

「すみません。少々言葉が足りませんでしたね。今からのことは広めないで欲しいのですがよろしいですか?」

「受付嬢には冒険者を守るために守秘義務が課せられています。なので広めるというようなことはしませんよ」

「分かりました。で続きですが……Sランクのレオンが来ました、と伝えて頂けませんか?」

「……証明出来るものは…」

「すみませんでした。取り急ぎ伝えてきます」

  そう言って受付嬢は速歩で奥へ行った。

  そして3分も待たないうちに呼ばれた。

「お待たせ致しました。ギルドマスターの確認が取れましたのでついてきて下さい」

  そうしていつもの部屋に通された。

「一週間ぶりだなレオン君」

「お久しぶりですギルドマスター」

  ギルドマスターは受付嬢に出ていくように促す。

「これでいいだろう。では早速話を聞こうか」

「はい。まずダンジョン自体についてですが50階層、10階ごとに中ボス、同じく10階層ごとに環境も変化しました」

「具体的にはどういった環境だった?」

「まず始めは洞窟のような感じです。次に火山、次の階層は洞窟のような感じでしたが魔物が虫系になりました。そして次が草原、最後も洞窟のような感じでしたがとてつもなく強かったです」

「ちょっと待ってくれ!それじゃ攻略したように聞こえるのだが?」

「え?攻略するのでは無いのですか?」

「攻略は依頼ではない。あくまでも調査が依頼だ」

「言われれば……そうでしたね…」

「それでもう一度確認する。攻略したのか?


「はい、しました。あの何か問題でも?」

「そうか……。」

「過去にダンジョンを最後まで攻略出来た人はいない。理由は魔物の急激なパワーアップだ」

「あ」

  レオンはここで思い出す。魔物のレベルがゆうに3桁を超えていたことを。当然まともな人間じゃ攻略は出来ない。

「どうやら分かってくれたみたいだな。ダンジョンを攻略するなんぞ複数の国の精鋭を集めてもほぼ無理だ。圧倒的な力の前ではそんなもの意味をなさないからな。だがそれをお前は成しえたと言う。しかも1人でな」

  確かに冷静に考えてみれば無理だよな。あんな魔物を1人で倒せる人なんて2桁もいないと思う。そして今回のダンジョンボスを倒せる人となるとゼロに等しい。

  チセも1ヶ月前後潜るとは言ったけど一言も攻略なんて言わなかったしな。

「それでだ。お前の強さについて教えてもらいたい」

  それも当然の反応だ。もしかしたら自分の目の前に複数の国を1人で潰せるような人間がいるのだ。

「すみませんが僕のステータスに関することは何も言えません。ただこの国を敵に回すことは無いですよ」

「そうか……。まぁそれが聞けただけでも充分だ」

  ギルドマスターは安堵の表情を浮かべた。

「さて、そろそろ報酬の話をしよう」

  レオンは元々そのために来ていたことを思い出す。

「そうですね」

「今回の調査での報酬は白金貨30枚だった」

「随分と高いですね」

「この国の安全に関わることだからな。命は金に代えられん」

  その通りだったので素直に頷いた。

「それでだ。この報酬は調査によるものだ。攻略したとなると報酬はどのくらいになるかは分からない」

「そうですか。僕としては僕の情報さえ隠し通してくれれば追加報酬はいりません」

  身バレすることが1番避けたい。

「……分かった。それでは今回ダンジョンを攻略したことはここだけの話にしておく。こちらとしても処理しきれない案件だ。そっちもそれで助かるんだろ?」

「はい、それで構いません」

「よし!この話は終わりだ!報酬を渡すから少し待っててくれ」

  そう言ってギルドマスターは部屋を出て行った。

(ふぅ。上手く話がまとまって良かった……)

  とりあえずこれからは気をつけることにする。さすがにこんなことが連続であったら隠せるものも隠せなくなるだろうし。

「待たせたな。これが報酬だ」

  そう言って小包と一通の封筒を渡された。

「これは?」

「これは王家からの招待状だ。詳しいことは中に書かれているか後で読んどけ」

  さすがに無碍には出来ないよな。

「分かりました」

「それじゃ話は全部終わった。気をつけて帰れよ」

「はい!ありがとうございました」

  レオンはそうして報告を終えた。

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