やはり、創造神の加護はチートでした
35話 国王との謁見②
  レオンは魔法士団に入った時に縛られるのはあまり好んではいないのだが一概にそれだけで断ってもいいものか考えていた。
「…僕が魔法士団に入った時のメリットとデメリットを教えてください。」
  これの返事の内容によって決めることにした。
「当然だ。まずメリットは国が後ろ盾になってくれる。それに加え毎月給料も出る。そしてレオン君にはその魔法師団の団長になってもらいたい。それによって新たな住居を手に入れることが出来る。そしてデメリットは多少国に縛られてしまうことだ。具体的な物を上げるとするなら戦争の時の戦闘員となることととかだな。」
「なるほど……。」
  メリットに関しては申し分ないが、戦争に強制参加は正直辛い。
「すみませんがやはり厳しいです。縛られるというのは大きなデメリットでした。」
「まぁそうだな。」
  国王は誰が見ても分かるぐらいに落胆した。レオンもさすがに悪いと思ったので別の提案をする。
「しかし時々ここに来て魔法の指導をすることぐらいなら出来ますよ。」
  それを聞くと機嫌を直した。
「そうか!では頼む!」
「はい。承りました。」
  その後は適当に雑談をしてお開きとなった。
「それでは明後日お伺いしますね。」
「あぁよろしく頼む。そうだこれを。」
  そうして1つのミスリルで出来たカードを渡された。
「これは?」
「これは国王のみが発行できるカードだ。これを持っていれば城門をスルーできるし、国の直営の店などでは多少の優遇してくれるだろう。」
「分かりました。有難く受け取っておきます。」
  そうしてレオンはもう1度礼を言い、城を去った。
  帰り途中に今日の話を思い返していた。
(王級魔法であそこまで驚くものかな?)
  そうして久々にチセと会話する。
《久しぶりチセ。最近話せなくてごめんね。》
《お久しぶりですマスター。私は気にしていませんので大丈夫ですよ。》
  そう言いながらも少し声のトーンが落ちていたので今度からはこまめに会話を心がけようと思う。
《それでさ今日の国王様との会話で王級魔法について上がったんだけどどのくらい凄いの?》
《例を挙げるなら王級魔法1発でこの国の半分ほどを崩壊させることが出来ます。会得者はこの世界でマスターともう1人しかいません。》
  予想以上に王級魔法は凄まじいらしい。それに全世界で2人しか使えないのも驚きだ。
《因みにそのもう1人ってどういう人?》
《フィリア=オルマリアの祖父のクロム=オルマリアです。ただもう80歳を超えており老衰によりまともには打てないと思います。》
  つまりこの世界で王級魔法を使えるのはレオンだけだ。
《分かった。とりあえず人前で軽く王級魔法とかは言わないようにするよ。》
《はい。それが賢明だと思われます。》
  レオンはこの話を聞いた後そう決意し、真っ直ぐ家に向かった。
  一方その頃国王達は
「なぁフィリア。久しぶりに一緒に魔法の訓練をしないか?」
「もちろんよろしいですよ。しかし急になぜそのような事を?」
「あぁレオン君に影響を受けてな。若いながらも私より強く逞しい。少し血が騒いでな。」
  国王はまだ王子だった頃は国で1、2位を競うほどの魔法の実力者だった。それほどまでに魔法を極めたものが国王になって魔法を使わないのは酷というものだ。
「それとレオン君に教えを受けているフィリアの実力を知っておきたいのでな。」
  どちらかと言うと後者の方が本音だった。レオンは王級魔法を使える天才だが、フィリアも魔法の申し子と言われる逸材だ。どれほど成長しているか親としては楽しみだったりする。
「分かりました。この1週間での成長をお見せしますよ。」
「それは楽しみだ!では早速移動しよう。」
  そう愉快に笑うと執事にこの場を任せ闘技場に移動する。
  闘技場に着いたらすぐ二人とも位置に着く。
「それじゃ私に魔法を全力で打ってきなさい。」
「分かりました。」
  そう言ってフィリアは文字通り全力で魔法を放つ準備を始めた。
  因みにだが国王は二つ名に聖光の守護人という物があるほど守備に関しては右に出る者がいない。
  そしてフィリアの準備が整った。
「行きます。ウィンドランス」
  もうお馴染みとなったウィンドランスがフィリアの周りに10本ほど出現した。もちろん込められている魔力は桁違いに多い。
「やはり流石だな。無詠唱でウィンドランスを10本出現させるとは。」
  そう言っている最中も10本の槍が迫る。
「サンクチュアリ」
  すると国王を中心とした結界が展開される。過去にこの結界を破ったものは1人も存在していない。それゆえのあの2つ名だ。
  そしてウィンドランスとサンクチュアリが衝突する。
  激しい衝突音が連続でなった。そうフィリアは一つ一つの槍を全く同じ地点に10回衝突させたのだ。寸分の狂いもなく放たれた槍は周りの土を巻き上げ結界ごと隠してしまった。
  そして土煙が晴れた先にはやはり無傷で立っている国王がいた。
「成長したなフィリア。まさかサンクチュアリにひびが入るとはおもわなかったぞ。」
  それでも全力の攻撃をひびが入った程度で済ませられた。先はまだまだ長いなと思いつつもいつか必ず追いつくと決意を改めて固めるフィリアであった。
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コメント
ノベルバユーザー412699
チセかわいそ〜二度ある事は三度あるかもね