やはり、創造神の加護はチートでした

弥音 雪

26話 フィリアの魔法練習




「じゃあまずフィリア、あの的に向かって全力で魔法を放ってみて。」

  そう言って100mき先に的を複数個作る。

「分かりました。では。」

  フィリアは詠唱を始める。

「風よ槍となり敵を射抜け……ウィンドランス!」

  するとフィリアの頭上に20ほどの槍が出現した。そしてそれは真っ直ぐに的に向かっていきすべて破壊した。

「おぉ、ちゃんとコントロールもできてるね。じゃあ次はそれを無詠唱で出来るようにしよう。」

「えっ?無詠唱ですか?いくらレオンが教えてくれるからとはいえ難しいと思うのですけど。」

  本来無詠唱とは魔法に精通している人の中でもできる人がとても少ない。

「そんなことないよ。難しいのは発想でやること自体は簡単だよ。」

「そうなんですか?」

「うんそうだよ。ほら。」

  するとレオンの周りには50個のウィンドランスが現れた。

「やはりさすがですね。」

「まぁ、こんなふうに出来るまでやっていこう。」

  レオンはまずフィリアに目を閉じさせる。

「無詠唱のコツはどれだけイメージ出来るかだ。さっきのウィンドカッターのイメージを固めて。」

  それから30秒ぐらい経った後にひとまずはイメージ出来たらしい。

「じゃぁ、試しに的に打ってみて。」

「ウィンドカッター!」

  しかし何も出てこなかった。

「フィリア、イメージする時に何をイメージした?」

「はい。ウィンドカッターの形や大きさ、威力などですね。」

「分かった、次は魔法が出来るまでの過程を具体的にイメージしてみて。風をどのように固めるか、どのように形を変えるかとかね。」

「分かりました。」

  そして今度は5分ぐらいかかった。やはり科学が発達していないこの世界では多少難しいらしい。

「出来ました。」

「じゃぁ打ってみて。」

「ウィンドカッター!」

  すると詠唱した時よりも多少は威力が劣るものの、しっかりと具現させることが出来た。

「おぉ!まさかこんなに早く出来るとは思ってなかったよ!」

  まさか一発目に出来るとは思っても見なかった。

「レオンの教え方が上手だったおかげですよ。」

「そんなことないよ!言っただけでできる人なんてほとんどいないからね。これは紛れもないフィリアの実力だよ!」

「ありがとうございます!」

  この調子でレオンは魔法を丁寧に解説し、フィリアがそれを実行していく。フィリアが失敗した時は原因を一緒に考え改善していった。そしてまた魔法を放つ。と、こんな風にフィリアの魔法練習をやっていった。

(本当にフィリアの吸収力は凄いな。教えただけですぐに出来ちゃうし。)

  レオンは真面目にそう思った。もしかしたら自分よりも才能があるかもしれないと錯角する程に。

「よし、今日は次で最後にしよう!無詠唱でウィンドランスを最初と同じ20個、威力大きさも同じかそれ以上で。」

「はい!」

  フィリアは無詠唱で20個のウィンドランスを作り的に向けて放つ。

「よし、問題なし!今日の魔法練習は終了です!」

「ありがとうございました!」

  すると急にフィリアがバランスを崩す。レオンはすぐさま駆け寄りフィリアを支える。

「大丈夫?」

「えぇ。魔力が切れてしまっただけです。少し休めばすぐに歩けるようになります。」

  魔力切れだと聞いたレオンはその事は考えてなかったと反省した。

「フィリア少し手を借りるね。」

「え?はい。」

  レオンはフィリアに魔力を送る。

「魔力が回復していく……!」

  フィリアの魔力が8割に戻ったところで魔力を送るのを止める。

「どう?歩けそう?」

  するとフィリアは立ち上がり自分の調子を確かめる。

「はい問題なさそうです。ありがとうございますレオン!」

「どういたしまして。それじゃ帰ろっか。」

「はい!」

  そうしてレオンが外に繋がる穴を作りそこから2人共出ていく。

「あれ?1時間ほどあの空間で練習していたと思ったのですが…。」

  外の様子を見たフィリアがそう呟く。

「あぁ、説明していなかったっけ。あの空間は時間の進みが違うんだ。だからあっちで1時間練習したとしても実際には1分ぐらいしか経ってないよ。」

「なるほど。とても便利ですね。」

「そうだね。普通の人の60倍の時間練習できるからね。」

  そうしてレオン達は門に向けて歩き出した。

「それにしても本当に今日は驚いたよ。フィリアがここまで出来るとは思っていなかったよ。」
  
「ありがとうございます。」

  そう言ってフィリアは微笑む。

「これなら上級魔法以上も覚えられかもしれないね。」

「はい!頑張ります!」

  そう言うとさっきよりも微笑み、こちらに向けてくる。

  その笑顔は可愛いかったが、その目はやる気に満ち溢れているのが分かった。

「とりあえず明日の実技を頑張ろう。」

「はい!」

  こうして1回目のフィリアの魔法練習が終わった。

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コメント

  • ヒカッチ

    100mき先?

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