同世界転生の最強貴族

夜谷 ソラ

第一話 成人の儀式

    数多あまたある世界の中で、剣や魔法がある世界で、イノルガンと呼ばれた世界があった。
    その世界には、確認されているだけで1万近くのダンジョンに、100万種類は居るとされる魔物が居た。
    ダンジョンには、豪華なお宝が眠っており、それを狙いダンジョンへ潜る者の事を、人は『冒険者』と呼んだ────。




「ゼクロイド様!起きてください!朝ご飯が出来ておりますよ!」

「んー・・・・・?って、もう朝か・・・・・・」

    朝から大きな声が聞こえ、すぐに目が覚めてしまう。そしてベッドからのそのそと出る。無理矢理起こされたので、まだ微妙に働かない頭をどうにか働かせる。
    そんなことをしていると、起こしに来たメイドのメティアと目が合った。すると、メティアは笑顔になった。

「おはようございます。ゼクロイド様」

「・・・・・おはようメティア。着替えるから、もう下に行っててくれ」

「分かりました。ゼクロイド様。ですが、く・れ・ぐ・れ・も・二度寝しないようにしてくださいよ?」

「分かってるって・・・・・」

「そうですか?なら私は下に行きますので」

    いつもよりも少し長めに話をして、ササッと着替えて下へと降りて行く。途中何人かのメイドにすれ違ったので、適当に挨拶をしておいた。

    少し走って一階の食卓に着くと、そこには既に、スレン兄様やマリア姉様、妹のリル。そして、ジルク父様とシェラ母様も居た。そこで、早く座ろうとすると、シェラ母様が話しかけてきた。

「遅かったわねロイ。もしかして、また夜戦にでも出てたの?」

「いえ、シェラ母様。成人前に一通り勉強の復習や、魔法発動に必要な魔法式の構築や、基本魔法の威力調整をしていたのです」

    シェラ母様とそんな話をしていると、ジルク父様が話に加わって来た。

「まあ、そんな話は後からでもいい。早く座りなさい、ゼクロイド」

「分かりましたジルク父様」

    そして、なんとなくすぐに席に着く。そして、ジルク父様の方に視線が集まる。

「では、我らが四神聖典の四人の神々に感謝して頂こう!ゼラニエ!」

「「「「「ゼラニエ!!」」」」」

    毎回この挨拶で食事が始まる。
    最初はこの食事の前の挨拶は何なのかなーと思っていたが、どうやらこれは、先程ジルク父様の言っていた四神聖典の四柱の神様の名前、創造神 ゼロ    武神 ランドロフ    魔神 ニーニャ    地命神 エリス 様達から取って、ゼラニエと言うとかなり前に教えて貰った。
    そして、挨拶が終わった為、カチャカチャと食事を始める。そこで、ジルク父様が話しかけて来る。

「そう言えば、ゼクロイドも今日で成人か。ステータスを貰う為に成人の儀に行くが、用意はしてあるか?」

「はい。昨日のうちに済ませておきました」

「そうか」


    それから暫く歩いて、今は協会に来ている。そして、成人の儀を始める所だ。

「準備が完了しましたのでどうぞ、ゼクロイド公爵様」

「ありがとうございます。ビトラス司祭」

    お礼の言葉を言った後、かなり深く深呼吸をした。成人の儀と言うのは、人生の中の一大行事と言っても過言ではないので、かなり緊張している。
    そして、今回行うのは、10歳に成り成人した事を神に伝えて、ステータスを授かる儀式だ。

「では、片膝を地面に付けて、こちらの文を呼んでください」

    そう言って渡されたのは、ほんの少しだけ黄ばんでいる厚手の紙だった。そして、そこには短い文章が書かれていた。これが、神様に成人した事を伝え、ステータスを貰う為の文だ。

「『我が信じる四神聖典の神々よ。貴方様方によってここまで来れた事に感謝を申し上げます。願わくば、私にステータスをお与え下さいませ』」

    文を読み終えると同時、体が淡い水色に光り、次第に消えていった。そこで、ビトラス司祭の方へ見ると、ニッコリと微笑んでくれる。それを見て、ホッとする。

「これで儀式は終了です。一応ですが、ステータス魔法の説明をしておきます。まず『ステータス』で自分だけがステータスを見ることが出来ます。次に『オープンステータス』で許可した人のみ閲覧が可能になります。そして、あまりにも極端に弱かったり強かったりなどしたとき用に、教会へ来れば隠蔽が行えます。無論、協会側が誰かに口外する事は無いので安心してください。これで説明は以上です」

「・・・・説明ありがとう。ビトラス司祭。では、私達はこれで」

    あまり深くないお辞儀をした。すると、ビトラス司祭は少し驚いた様な顔をしていたが、すぐに笑顔になった。

    そこからまた、3分以上歩いた。そして、我が家という名の屋敷に着いた。門を開けて屋敷の扉を開ける。そこで靴を脱いで中に入ろうとした時に、ジルク父様に呼び止められた。

「待て。・・・・ゼクロイド。まずは、ステータスを自分の部屋で確認してきなさい。そして、確認が終わってから皆に見せてくれ」

「分かりました・・・。ですが、弱かったりしたら少し見せづらいのですが・・・・」

「私達の息子だし、大丈夫でしょ」

「まあ、そうなんだがな・・・・・。まあ、それだけだ。早く行って確認して来なさい」

「はい。ジルク父様」

    そして、早歩き程度で歩き、自分の部屋に入った。俺は部屋に入るなり、ステータスを確認する事にした。

「『ステータス』」


《ステータス》

【名前】 ゼクロイド・ジルク・リムスニア

【称号】夢を見る者 穢れなき青年 限界を越えし者 神々に溺愛されし者 天才 ジルク公爵家次男

『HP』690/690
『MP』280/280

「物攻」1260
「物防」1080
「魔攻」1250
「魔防」1130
「総合判定」 SSS

【魔法】
火魔法 火炎魔法
水魔法
土魔法 岩石魔法
風魔法
光魔法 神聖魔法
闇魔法 暗黒魔法
六大魔法
治癒魔法
蘇生魔法
強化魔法 超強化魔法
ステータス魔法

【スキル】
千里眼Lv.5 心眼 完全鑑定 気配察知Lv.10 気配隠蔽Lv.10 武術Lv.5 魔術Lv.5 アイテムボックスLv.10 全装可 遅熟でいじゅく


『ジルク父様とシェラ母様に似て、とても強いな・・・・』

    などと思った。そして、スキルと称号だけは気になるので、詳細で見てみよう。


千里眼…遠くを見ることが出来るスキル。(1km < 10km < 100km < 1000km < 10000km)

心眼…自分より弱い人の心を見る(読む)ことが出来るスキル

完全鑑定…鑑定スキルの完全版で、この世の全ての者(物)を鑑定出来る。

気配察知…近くに居る人や魔物、トラップ等を察知する事が出来る。(Lv.1=10m、Lvが1上がるごとに10mずつ察知出来る範囲が拡大)

気配隠蔽…気配を隠蔽して、気付かれないように行動出来る。(1=3秒、Lvが1上がるごとに3秒ずつ隠蔽出来る時間が延長)

武術…ありとあらゆる武術の基礎レベルが上がる。(下手 < 素人 < 上手 < 師範 < 人類最強 < 神)

魔術…魔法の威力や、使える最大のレベルが分かる。(使用不可 < 低級 < 上級 < 超級 < 帝級 < 神滅級)

アイテムボックス…空間に穴を開けて、その中に物を収納出来るスキル。(Lv.1=10t、Lvが1上がるごとに10tずつ増える。Lv.10になると無制限)

全装可…ありとあらゆる武器や防具、魔道具が使用可能になる。(装備した物のマイナス効果は消える)

遅熟…獲得経験値量が二分の一になる。(この効果がつく者は、ステータスや能力が高過ぎる為など)


『なるほど・・・・・って!家族の中で1番強いじゃん!・・・・まあ、次は称号だ。確か称号にも効果があったはずだから』


夢を見る者…何かを目標とする者に与えられる称号。ステータス上昇値が通常の1.5倍

穢れなき青年…心に穢れが全く無い青年に与えられる称号。スキルに千里眼と心眼が追加される。スキルレベルは神が決める。また、レベルが50になると邪眼と魔眼も解放される。

限界を越えし者…平均ステータスを大幅に上回った者に与えられる称号。レベル上限が無くなり、武術と魔術がスキルに追加される。スキルレベルは神が決める。

神々に溺愛されし者…何らかの出来事で神に溺愛される者に与えられる称号。スキルに神が決めた者を追加。その代償に、遅熟も追加される。

天才…成人前の勉強や、魔術、武術が天才級だった者に送られる称号。魔法の習得率と、記憶力が抜群に良くなる。

ジルク公爵家次男…ジルク公爵家の次男に送られる称号。公爵家である事の証明に使える。見せたい時は心の中で『身分称号表示』と言うだけ。


『なるほど・・・・・まあ、家族皆こんな感じだった気がするし良いかな?』

    そう思って下の階に降りて行く。すると、皆が一斉にこちらへ向く。思わず笑いそうになったが、笑いを堪える。

「ん?確認し終わったみたいだな。それじゃあ、見せてくれ」

「分かりました、ジルク父様。『オープンステータス』」

    ステータスを開くと、皆がある程度近くに集まって来て、俺のステータスを見る。そして、驚きの余りか口をポカーンと開けている。
    だが、すぐに現実に戻って来て、皆が口々に褒めてくる。

「流石ロイ兄様だ....」

「ロイ君流石ー!」

「流石は我が弟と言った所かな」

「私達の子だから心配は要らないと思ったけど、それ以上だったとはね。流石ロイ!」

「ゼクロイド。父さんは嬉しいぞ!」

    そんな、褒め言葉が家の中に飛び交った。何となく照れくさくなったが、そのまま暫く話をしていた。


    次の日。起きてからすぐに朝食を摂り、昼食と武器、防具を貰って冒険者ギルドへと出ることにした。
    ちなみに、冒険者ギルドは成人からしか登録する事が出来なく、今から行くのは登録する為などだ。

「それでは行ってきます。ジルク父様。シェラ母様」

「気を付けて行ってらっしゃい」

「魔物なんて一発だろうしな。頑張れゼクロイド」

「行ってきます!!」

    元気よくそう言うと、シェラ母様もジルク父様も、笑顔でこちらを見て手を振ってくれた。それを、チラッと見て冒険者ギルドへと向かい走った。

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