チートスキルはやっぱり反則っぽい!?

なんじゃもんじゃ

チート! 027 新たな仲間!

 


 回廊迷宮の1層は地上への出口が複数ありシローたちが逗留していた鉱山都市フリオムや目的地である迷宮都市ヘキサに繋がっている。
 迷宮の名前の由来ともなっている旅人が行きかう回廊となっているのが1層である。
 その為に1層は定期的に魔物の駆除が行われており何故か魔物が再発生するスパンも一般的な迷宮よりもはるかに遅いのが特徴だ。
 そして1層には旅人が休める宿屋や食堂もあり魔導王国セトマの騎士団が常駐しているのだった。


 人が多く行きかう回廊迷宮の1層、その途中にある宿屋は地上の宿屋に比べてべらぼうに高額な宿賃が取られ、そのくせ部屋は狭くジメジメしておりお世辞にも清潔とは言えない状態であった。
 それに憤慨したシローは宿の主に文句を言ったのだが、けんもほろろにあしらわれたのだった。
 そして2日目以降は宿には泊まらず迷宮内で野宿する事にしたのである。


「今日はあそこで休むとしようか」
「「「はい(です)」」」


 1層の外れにある小部屋は特に何もなく魔物も現れないので誰も近づかないポイントだ。
 その小部屋の入り口を【木魔法】によって造り出した岩の壁で塞ぎ迷宮内に簡易家を造り出したシローは今後は迷宮内でも簡易家を造ろうと考えるのであった。


「凄いのです! ご主人様の魔法は素晴らしいのです!」


 と、クルルが目を白黒させたのは記憶に新しい。
 そんなシローが造り出した簡易家をクルルは目をキラキラさせ、クルルを他所にスノーは風呂を用意し、アズハは料理をはじめる。
 シローはというとクルルの傍で簡易家に複数の結界を施している。


「明日は迷宮都市ヘキサに到着する。暫くは腰を落ち着かせるつもりだけど、状況によっては直ぐに他所へ移る可能性もある」
「それでは迷宮都市ヘキサで暫く冒険者として活動をされるのでしょうか?」
「う~ん、冒険者の活動はぼちぼちかな? 基本は生産活動をするつもりなんだ」
「生産活動ですか?」


 初めて語るシローの目的にスノーだけではなくアズハやクルルも首を傾げる。


「冒険者をするにも、それを支える武器や防具、それに色々なマジックアイテムを蔑ろにはできないと思ってね」
「凄いですっ!」


 クルルは自分が生産職である事もありシローの言葉に共感をする。


「だから当面はクルルと一緒に生産をしようと思っているんだ」
「ご主人様と一緒ですっ!」


 クルルがはしゃぐ中、スノーとアズハは残念でならないという感じである。
 そこでシローはふと考える。


(仮にこのメンバーをパーティーとするならスノーは後衛火力、アズハは前衛火力、俺は前後衛で回復も最高レベルのオールマイティ。クルルは戦闘職でないが鉄槌を持たせれば仮想前衛アタッカーだし、この中で不足しているのは盾職か? 回復や弱体に強化などの魔法はやろうと思えば俺でもできるが、盾職は今のところ門外漢なんだよな)


 シロー自身はマルチに前後衛をこなせる。
 しかし後衛に至っては攻撃も回復も補助もまったく不備なくこなせるが、前衛に至っては【剣士】によるアタッカーである。
 いままで敵の攻撃を受ける前に殲滅していた為に特に考えもしなかったが、このメンバーに足りないのは盾職であるのがよくわかる。


「そうですか、では私とアズハでご主人様が必要とする素材を集めましょう」
「そうです! スノーさんのいう通りですね!」


 シローが思考の底に潜っている間にスノーとアズハは色々盛り上がっていた。
 ただ、忘れていけないのは迷宮都市ヘキサに到着すればスノーの呪いを解く準備をシローは進めているのだ。




 翌朝、朝食を美味しく頂いた後、簡易家を取り壊して出立しようとした4人だったが、迷宮の小部屋を塞いでいた岩壁の外側に大量の魔物が存在するのをシローが【空間把握】で感知した。
 ただ魔物が大量にいるのであれば蹴散らすだけであったが、まずい事に岩壁の向こうには人の気配もある。
 しかもその人の気配は1人であり、かなり弱っている感じなのだ。


「魔物はホブゴブリンが約60だ。手前に人の気配もある。戦闘準備! 岩壁を崩すぞ!」
「「「はいっ(です)!」」」


 シローの合図で岩壁が崩されると切り込み隊長だと言わんばかりにアズハが飛び出す。
 そして蹂躙が始まるのであった。
 アズハの戦闘スタイルはスピードに裏付けされたヒットアンドアウェー、一撃して離脱するというものだ。
 その一撃が敵の急所に当たれば正に一撃必殺、そして今のアズハのステータスであればホブゴブリンの横をすり抜け、その際に急所である喉元に短剣の刃を当て最小限の力でホブゴブリンを死に至らしめる事ができる。
 突き刺すと刃を抜く必要があり場合によっては筋肉の硬直によって刃が抜けなくなる場合もあるが、首筋を切り裂くのであれば刃を抜く必要もなくアズハのスピードも落ちないのだ。
 一瞬の事ではあるが、アズハの通り過ぎた後には10体ほどのホブゴブリンが喉をパックリと切り裂かれ血飛沫をあげて声も出せずに倒れるのであった。


「えっ? ・・え???」


 崩れた岩壁の傍で片膝をつき傷ついた体で気丈にもホブゴブリンの大群に大盾を構え鋭い眼光で睨んでいた全身鎧を着こんだ大柄の冒険者、恐らくは冒険者であろう者はアズハの目にも止まらぬ早業にポカンと口を開き呆けるしかなかった。
 尤もその顔はフルフェイスの兜に覆われ表情を見て取ることはできないのだが。


「大丈夫か?」


 不意にかけられた声に一瞬ビクっとした全身鎧の冒険者は何時の間にか自分の横にいる少年を凝視するのだった。
 正直に言えば、この黒髪の少年はいつの間に自分の横に? というものであった。


「驚くのは無理もないが、この状態で魔物から目を離すのはどうかと思うぞ」
「あ・・・す、すまない。助かった・・・」


 消え入りそうな声でシローの指摘に応えた全身鎧の冒険者はホブゴブリンの方に視線を戻す。


「ご主人様はいつでも素っ気ないのですから、怪我の具合は如何ですか? 動けますか?」


 シローの素っ気ない言動を溜息をつきながら愚痴りスノーはマジックポーチからポーションを取り出し全身鎧の冒険者にそのポーションを手渡すと飲むように促す。
 その間に近づいてきたホブゴブリンはクルルの鉄槌によって吹き飛ばされていたが、ほとんどのホブゴブリンはアズハに殺到していたのでクルルは1体1体確実に対応できた。
 数分もするとアズハに殺到していたホブゴブリンは全て倒されておりキラキラと煌いてアイテムに変わっていたし、クルルが鉄槌で吹き飛ばしたホブゴブリンも皆アイテムに変わっていた。


「ご主人様、殲滅完了しました!」


 アズハは嬉しそうに笑顔を見せシローに殲滅完了の報告をすると直ぐにアイテムの回収に勤しむのであった。


「歩けるか?」
「あ、あぁ、大丈夫だ、ポーションを飲んだから・・・」
「そうか、じゃあ俺たちはこれで」


 そうは問屋が卸さない、とはこの事で全身鎧の冒険者はシローの腕をガシっと掴む。


「何だ?」


 シローは警戒しながら2m近い身長がある全身鎧の冒険者のフルフェイス兜で見えない顔を見上げる。
 成長期ではあるが現在の身長が163cmほどしかないシローは背の高い全身鎧の冒険者を自然と見上げる事になってしまうのだ。


「私を仲間にして欲しいっ!」
「はっ?」
「私は強くなりたいのだ! あれだけのホブゴブリンどもをアッという間に殲滅した君たちなら私が求める強さを具現できると思うんだ!」


 全身鎧の冒険者は背が高く大型のカイトシールドや片手斧を装備しているので男性かと思っていたシローだったが、周囲が静かになり改めて聞くと全身鎧の冒険者の声質は女性ぽく聞こえた。


「他を当たってくれ」
「頼む! この通りだ!」


 全身鎧の冒険者は見事なダイビング土下座をするとシローの足にすがりつく。


「まいったな・・・」


 困った表情でスノーたちに視線を移すとスノーたちは目をそらす。


「取り敢えず離してくれよ」
「そ、それではっ!」
「勘違いしないでくれ、アンタを仲間にするとは言っていない」
「ぐっ」
「話は聞いてやる、だから離せ」


 全身鎧の冒険者は話を聞くというシローの言葉を信じてシローの足を解放する。
 そして立ち上がりフルフェイスの兜を脱いでシローたちに自分は熊獣人でありホワイトベアー族のジーナ・ベアレスと名乗った。


(熊だけあって大柄なんだ。はぁ、俺ももっと背が欲しいな。まだ成長期だからもっと伸びるだろうけどせめて前世の身長は越えたいよな)


 その後、怪我はポーションで治っているが体力が消耗していたジーナの回復を待つ事にした。
 ジーナはスノーたち女性陣と女子トークをしながら体力の回復に努め、それを羨ましそうに聞き入るシローは自分のボッチ体質に嫌気がさすのだが、女子トークには流石に入る事はできないだろう事はわかっていた。
 スノーたちとの話の内容では、ジーナの父親は小国の騎士だったが魔族との戦いで命を落としたらしい。
 ジーナは死んだ父親に恥じない騎士となる事を心に誓い、力をつける為に冒険者になったのがつい1ヶ月ほど前のことだ。
 そして回廊迷宮の1層で魔物を狩りつつ鍛錬とドロップアイテム集めをしていたところ、何故かホブゴブリンの大群に出会ってしまい追い詰められてしまった。
 そしてシローたちに助けられたのだと語る。
 本来、ホブゴブリンは2層に現れる魔物で1層では見られないのだが、いきなり現れしかも数十体が走り寄ってきたので無我夢中で逃げ出口が分からなくなったという。
 そこまで話すと、ジーナはシローに向かって口を開く。


「助けてくれた恩は返させてもらう! そして強くなってみせる!」
「唐突だな。取り敢えずあまり無茶をしないようにな」


 シローは別に恩にきるほどの事ではないとジーナに伝えるもジーナの気がすまないようだ。


「私は騎士の子だ! 恩を返さずのうのうと生きていく事はできない! シロー殿の為に働かせて欲しい! 受けた恩は返さなねばならぬのだ!」


 熊の獣人だけあって腕力や耐久力には自信があると自分をアピールするジーナをシローはどうした物かと見つめる。


「悪い方ではないようですし、真っすぐな性格は好感が持てます。ご主人様さえ宜しければパーティーに加えては如何でしょうか?」


 スノーはジーナに助け船を出し、ジーナもスノーの援護を受けてシローに期待の眼差しを向ける。
 やや考え、本人が良いのであればそこまで拒否する事もないとシローはそれを溜息混じりで了承するのであった。


(それに何故か盾職がほしいと思っていたところに現れたのが種族的に屈強な熊獣人のジーナってのも運命なのかな?)


「若輩者ではあるが、精一杯頑張る所存!」
「まぁ、そんなに気張らなくてもいいから」
「ジーナさん、良かったですね」
「ご主人様に着いていけば間違いないですよ!」
「良かったのです!」


 新たにジーナという熊獣人を仲間にしたシロー一行は回廊迷宮の出口を目指す。




 ■ 個人情報 ■
 ジーナ・ベアレス
 熊獣人 15歳 女
 騎士 グリゴール王家の血統 冒険者


 ■ 能力 ■
 HP:94/94
 MP:6/6
 STR:35
 VIT:40
 AGI:15
 DEX:10
 INT:10
 MND:15
 LUK:15


 ■ ユニークスキル ■
 騎士の魂


 ■ スーパーレアスキル ■
 騎士Lv1
 剛腕Lv1
 鉄壁Lv1


 ■ ノーマルスキル ■
 大剣術Lv2
 大斧術Lv2




(何で俺の周りにはユニークスキルを持った者が集まるんだろうか? もしかしてこれもLUK値極上げの効果なのかな? てか、極少数しかいない筈のユニークスキルホルダーがこんなにも集まるってヤバくね? てか、王家の血統って何?)




 @騎士の魂
 戦闘において仲間が受けるべき敵対心を自分が肩代わりする事ができる(任意発動)。
 盾装備時のVIT値が倍になる。
 槍装備時のSTR値が倍になる。


 @騎士
 盾、槍、騎乗に長けた者。
 VIT値にプラス補正。
 補正量はレベルに依存する。
 戦闘時の敵対心を上げたり、防御力を上げるアーツが多く使える。


 @剛腕
 STR値にプラス補正(任意発動)。
 補正量はレベルに依存する。


 @鉄壁
 VIT値にプラス補正(任意発動)。
 補正量はレベルに依存する。








 回廊迷宮の出口は迷宮都市ヘキサのすぐ傍にあり、その入り口は冒険者ギルドが管理しているので簡単な受付を済ませる。
 そして冒険者ギルドの建物を出るとそこには巨大な城壁がシローを威圧するかのように佇み数百メートル先ではその巨大な城壁の中に入る者たちの列が延々と続いていた。


「で・・・っけぇ~~~~~なぁ!」


 城壁は恐らく30m以上の高さがあるだろう。
 そして魔力を内包しているがよくわかるほどに大量な防御術式が込められているのがわかる。
 この防衛術式によって強大な魔物の攻撃を退け、空からの侵入を妨げているようだ。
 そんな巨大で堅牢な城壁が必要なのか? と思わないでもないシローだが、これで人々の安心が得られるのであれば良いのか? と考えもする。




 

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