チートスキルはやっぱり反則っぽい!?

なんじゃもんじゃ

チート! 011 オークションが終わったのに奴隷を買ってしまいました!

 


「俺はシローです。君の名前を教えてもらえますか」
「・・・す・・のー・・・で・す」


 憔悴している感じが美しさを更に引き出しているという印象を受けるシロー。
 ジョエルはスノーに近しい者と認定されているようでVITとLUKが1になっておりHPとMPが相当減っている状態だ。
 恐らくかなりの倦怠感を感じているのではないだろうか。


「では早速・・・奴隷契約をさせて頂きます」


 早くスノーをシローに押し付けたいのだろう、奴隷契約の為に『隷属の首輪』なるマジックアイテムにシローの血を1滴付けて欲しいと言っている。
 シローがナイフで軽く指を切り、隷属の首輪に血を付けると隷属の首輪の奴隷紋がやや発光する。


「これでスノーはシロー様の奴隷となりました。ご購入、有難う御座います」


 ジョエルはペコペコ頭を下げ、そそくさと部屋を出ていく。
 早くスノーから遠ざかりたかったのだろう。


「その格好では出歩くのはまずいね」


 スノーは薄い布に穴を開け首を通して両脇を紐で結んだだけの格好で、見た感じは下着もつけていない。
 シローがジーっとメアリーを見つめると、メアリーは溜息を1つ吐く。


「・・・仕方ないですね・・・私の着替えを差し上げますのでそれを着てください」


 シローの無言のプレッシャーを受けメアリーはスノーに与える服を取りに部屋を出ていく。


「・・・」


 終始無言のシローとスノーは気まずい雰囲気の中メアリーを待つ。
 シローは何か会話をとも思うのだが、何を話せば良いのか分からない。
 前世を含めボッチなシローにはコミュニケーション能力が欠如しているのだ。


「あの・・・わた・し・・・ふこ・う・・に・・」
「ん?・・・呪いで俺が不幸になるのが気になるのかな?」
「(コク)」
「俺の事は心配しなくて良いから、そこに座ってこれでも食べて体力を少しでも回復させておいてね」


 買い置きしておいたサンドイッチをストレージから取り出しスノーに与えると、ストレージにスノーは少し驚いた表情をする。
 ゴクリと言う唾を飲み込む音が聞こえるがスノーはサンドイッチに手を出さない。


「どうした?食欲がないのかな?」
「(フルフル)」
「ああ、そうか・・・その椅子に座って食べて良いよ、これは命令ね」


 奴隷は椅子に座って食事をする事はないのを思い出した。
 椅子に座ると言う事は人間を意味するのだが、奴隷は物なので椅子に座って食事をするなんて事はあり得ないのが慣例なのだ。
 しかし、元日本人だったシローにはそんな慣例を引きずる気はなく、奴隷でも自分の奴隷であれば人間として扱おうと思っている。


 シローの奴隷をシローがどう扱おうとシローの自由であり、誰かにとやかく言われる筋合いはない。


 スノーは少し躊躇いはしたが命令なので椅子に座ると恐る恐るサンドイッチに手を伸ばし、サンドイッチを口に持っていく。


「ゆっくりよく噛んで食べるんだよ、飲み物もあるからね」


 一口食べて美味しかったのか、残りをハグハグと掻き込む姿を見るとよほどお腹が空いていたのだろう。
 アッと言う間にサンドイッチを食べ終わったスノーは名残惜しそうに皿を見つめていたのでシローはもう1皿出しスノーに与える。


 シローは今すぐにでもスノーの呪いを解いてやりたいと思っているのだが、それは暫く先にする事にした。
 もしかしたら【チート】で一気に『解呪』できるかもとも思っているのだが、いきなり『解呪』してしまっては面倒な事になると思っているのだ。
 それに『解呪』するならこの街ではなく、別の街に行ってからの方が良いだろうとも思っている。
 何故そんな事を考えているのかと言えば、シローがスノーの呪いを『解呪』するとシローの能力を勘ぐる人が出てくる可能性もあるし、スノー目当てに近づいて来るアホもいると思っているからだ。
 ただ、そう言うアホには不幸になって貰おうと思ってもいるシローなのだが。


 スノーを『解呪』していないのにシローは平気なのかと聞かれた場合の言い訳は既に考えてある。
 簡単な事で「スノーを美人だと思った事はない」と言えば良いのだ。
 スノーの呪いはスノーの事を美しいと思う近しい人が不幸になると言うもので美しいと思わなければ呪いを受ける事はないと言う事なのだ。


 それに恐らくこの呪いを放置してもシローには影響がないはずで、何故影響がないかと言えば、シローの【エクリプ神の加護】の効果には【状態異常無効】があり、それは呪いも防いでくれるものなのだ。


「私より背が高いスノーさんに合うかしら?」


 服を持って部屋に入って来たメアリーから服を受け取ったスノーに着替えを命じる。


 (あれ、何で俺が部屋の外に出されるの?)


 と思うものの、メアリーの目が怖かったので素直に追い出されたシロー。


 暫くしてメアリーから入室許可が出たので部屋に入っていく。
 スノーは水色のシャツに薄茶色のジャケットを羽織り、藍色のパンツを履いている。
 流石に靴まではなかったので足は裸足だったが、メアリーの同僚がサンダルを買いに行っているとの事だ。


「スノーは冒険者になれるのですか?」
「え、はい、大丈夫です。登録しますか?」


 シローの不意の質問にもメアリーはすぐに答えてくれた。


「スノーは冒険者になる気はある?」
「・・・ご主人・・様の・・命令・・・でしたら・・・」
「俺はスノーの気持ちを聞いているんだよ? 冒険者になったら危険な戦闘もあるだろうからよく考えて答えて欲しい」


 冒険者は命懸けの仕事なのでシローの命令とか指示ではなく、スノーの気持ちが大事だと思うシローだった。
 スノーは少し困惑した表情を見せるも、暫くするとキリリとした表情に変わり、目に力を宿す。


「冒険者に・・・なります」


 これまでの拙い口調ではなく、しっかりとした意思を持った口調で答えるスノーはこの僅かな時間で何を考えたのだろうか?
 ほんの少しの時間で目の色が代わり、表情も陰鬱なものがなくなったように見受けられる。


 そして職員がサンダルを買って来てくれたので、シローはその職員にサンダル代として金貨1枚と、メアリーにも服の代金として金貨2枚を渡す。
 職員の方は最初多いと言って断ってきたが金貨を無理やり握らせた。
 メアリーは何も言わず受け取りサッとポケットに金貨2枚を仕舞う。
 そして冒険者登録をして貰いスノーを連れて宿に戻りたのだが、宿は満室だったので仕方なくスノーはシローの部屋に同室と言う事になった。
 ジルさんは「あんたには早いよ」とブツブツ言っていたのだが、シローは聞かなかった事にした。


「俺は椅子で寝るからベッドはスノーが使って良いよ」
「え、でも・・・」
「明日になればもう1部屋とれるだろうから、今日は我慢してくれ」
「いえ、そうではなく、奴隷の私がベッドを使うなんて・・・」
「構わないよ。どうせ俺は暫く出かけるし、先に寝てて欲しい」


 そう言ってシローは部屋を出て行く。
 そのまま宿を出てすっかり暗くなった街中を歩く。
 何故こんな事をしているかと言うと、オークション会場で視線を感じていたのだが、ギルド会館を出ても視線を感じていたので、その視線の主を確認する為だ。
 主だった店はすでに閉店しているのだが、まだ閉店をしていない店を目指す事にする。
 そこは武器と防具の店で冒険者相手の店なので比較的夜遅くまで店が開いているのだ。
 店の中は冒険者が多くおり騒然としている。




 アイテム名:エルダースタッフ
 スロット:2
 主素材:エルダートレントの幹、魔石(B級)
 効果:魔法攻撃+121、魔力消費削減(小)
 強度:242
 条件:INT70以上、MND50以上




 アイテム名:トレントの魔弓
 スロット:1
 主素材:トレントの枝
 効果:攻撃+62、命中補正(小)、属性強化(小)
 強度:150
 条件:DEX50以上、LUK40以上




 アイテム名:魔術師のローブ
 スロット:3
 主素材:魔蜘蛛の糸
 効果:防御+42、魔法防御+112、魔法攻撃強化(小)
 強度:203
 条件:INT60以上、MND90以上




 そこそこ良い武器とローブがあったのでスノー用に買い込む。
 勿論、弓には矢が必要なので矢も買い、色々見て回ったらそこそこ時間が潰れる。
 それでもストーカーは店の外でシローを待っていたので、そろそろ本題に入るかとシローは舌なめずりをする。


 街中の角を無作為に曲がる。
 夜なので周囲は暗く普通であればそのまま迷子になってしまいそうだが、【空間把握】のおかげで宿の位置は把握しているので大丈夫だ。
 それでもストーカーはシローから離れない。
 何度も角を曲がった先で建物の屋根に飛び上がりストーカーを待つ。
 ストーカーはシローが屋根の上に居る事が分からず、シローが居ない事に少し焦ってキョロキョロと周囲を確認する。
 ストーカーの名はエンブロと言うそうで、こう言う時も【解析眼】は良い仕事をする。


 シローを見失った事でエンブロは周囲を気にしながら撤収していく。
 捕まえないのは背後関係を洗う為であり、エンブロの魔力パターンと気配はバッチリ覚えたので【空間把握】の中でしっかりとエンブロを選別できる。
 後はエンブロが誰に頼まれてシローをストーカーしていたかを調べればいいのだ。


 エンブロ個人が可愛いシローをストーカーしていたと言う事はないだろう、仲間なり依頼者なりが居るはずだ。
 シローが大金を手に入れるタイミングでストーカーなんてタイミングが良すぎるのだから。


 エンブロは周囲を気にしながらどこかに向う。
 冒険者ギルドのギルド会館に入って行ったエンブロ。


 ふむ、この反応は・・・アチャー、これは宜しくないですね。
 ランクアップ試験が終わったら早急にこの街から離れる事にしましょう。


 宿に戻るとスノーは椅子に腰掛け机の上に置いた腕を枕にして寝ていた。
 シローはベッドで寝て良いと言っておいたのに椅子で寝ているスノーに苦笑いするのだった。
 仕方が無いのでお姫様だっこをしてベッドに寝かせるも相当疲れていたのか起きる気配はまったくない。
 そんなスノーの寝顔を見ながら今日の【チート】君に願う事を考える。
 今持っているスキルを伸ばすか、新しいスキルを取得するか、能力値を伸ばすか、どうしようかと悩む。
 スノーの長く尖った耳をサワサワして考える。
 時々スノーが色っぽい声を出すのを左耳から右耳に聞き流し、サワサワして考えにふける。






 

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