チートあるけどまったり暮らしたい
042 クラン対抗戦・予選2
クラン対抗戦の一次予選は朝一から始まり昼には終了となる。
終了後は教師5人による審査が行われ夕方前には結果発表が行われる。
何故か審査するのは男性教師しかおらずシーレンス先生をはじめとする女性の先生が1人も審査員になっていない。
どう言う意図なのかは俺にはわからないが日本ならセクハラで訴えられて男性教師たちは有罪になるだろう。
結果として俺達クラン『MIツクール』は500点満点中411点を取って一次予選を3位で通過した。
俺が作業を引きついだのは終了15分前だったが、それだけあれば仕上げはバッチリだった。
では何故トップではなく3位になってしまったかと言うと、俺の分析では色気が足りなかったと思う。
審査員は全員男性教師で独身が3人だと言うのに俺達クラン『MIツクール』が作った像はシーレンス先生の立ち姿なのだ・・・ただの立ち姿なのだよ!
クララのデザインに文句を言っても仕方が無いが、せっかくなのでもう少し色気が欲しかったし実物より膨らみが少なかった気がする。
膨らみの方はカルラが念入りに削っていたので意図的なのかも知れ無いが・・・
まぁ、そんな訳で3位で通過したので、二次予選はC組になった。
二次予選はA・B・Cの各組8クランで競ってそれぞれ1位のクランが決勝進出になる。
ただし予選突破が3クランではシードされたクランと合わせて7クランとなってしまうので、二次予選で敗退したクランで敗者復活戦が行われ勝ち残った1クランが本戦に駒を進める事ができる。
一次予選の翌日、二次予選も朝一から始まる。
今週はクラン対抗戦週間なので授業は無いのです。
まぁ、体育祭が1週間続くみたいな?感じです。
「二次予選の課題はクランを2チームに分けてもらい2つの課題に挑戦してもらう。1チーム最大5人までで同じ生徒が2チームのどちらにも登録する事は禁止だ」
元々5人しかいない俺達クラン『MIツクール』は人員的には元々不利である。
ここで更に2チームに分けられても大して影響はないと思う。
「1つ目の課題は魔法陣作成だ。どんな魔法陣でも構わないが制限時間内に書き上げた魔法陣の出来を評価する」
俺の得意分野が来たな。
「2つ目の課題はバトルロイヤルだ。第3闘技場に移ってバトルロイヤルで勝敗を競ってもらう。優勝者には500点、準優勝者には300点、3位には200点、4位には100点、5位には50点を与える。但し使用する魔法や魔術は中級までとし、死者を出した場合はその者にマイナス500点だ。ここで個人が取得した点数は所属するクランに加点することとなる」
ふむ、如何に手加減をして勝ち抜くかと言う微妙な戦いになると言う訳だな。
「魔法陣はこの場で、バトルロイヤルは第3闘技場でチーム編成表を提出してもらう。チーム編成は30分以内に決め各場にいる教師にチーム編成表を提出する事。良く考えてチームを編成するんだぞ」
「チーム分けか、唯でさえ少ない人員の私達には厳しいわね」
「そうでも無いと思うけど?」
カルラの考えにクララが応える。
「だって、クリストフ1人と私達4人で分ければ良いんじゃない?」
クララはサラッと言うが、それはクラン対抗戦の前に俺を頼らないと言う決意に反する考えだね。
カルラ達は少し苦々しい表情をしている。
でも人員の少ない俺達のクランではベストな選択だろう。
俺もクララと同じように思っていたから別に良いけどね。
「それは・・・」
「構わないよ。それに人員が少ない以上は贅沢は言っていられないしさ」
俺の言葉にカルラも意を決したのだろう、軽く頷く。
「一次予選も最後にクリストフに頼った事になってしまったし、私達の力不足を痛感するわね。・・・クリストフ、悪いけど1人でお願いするわ」
「「ごめんねクリストフ君」」
ペロンとプリッツが謝辞を述べるもそんな事を気にする事自体問題外だ。
俺達は友達でクランの仲間であるのだから、御互いが頼り助けるのが当たり前だし、こう言う大会では力のある者が皆をフォローし、皆を引っ張って行くのは自然の形だ。
俺を頼らないと言う気持ちは大事だが、勝ち残らなければ話にならないので何が優先されるべき事か皆も分かっているだろう。
「気にしなくてもいいよ。で、どちらに行けば良いかな?私的にはどちらも自信はあるよ」
「私的には魔法陣作成に行きたいわね。クリストフには悪いけど戦闘は流石に上級生に勝てる気がしないし、何より『MIツクール』の本領は魔法陣作成にあると思うし」
「クララの言う通りね。悪いけどボク達は魔法陣の方にするわ。クリストフにはバトルロイヤルの方を頼むわ」
「了解した」
「いい皆、クリストフに頼った以上は私達は何としても高得点を取るのよ!」
カルラの鼻息は荒い。
そして皆もカルラ同様気合を入れている。
と言うわけでバトルロイヤルのチーム編成表を持って俺は第3闘技場に向う。
チーム編成表と言っても書かれている名前は俺だけなんだけどね。
闘技場に向って歩いている俺の周りは当然の事だけど同じ目的の生徒達も居る。
時々俺の顔を見て「げっ」とか聞こえてくる。
本人の目の前で言うのは止めて欲しいな。
「ん、君1人かい?」
「はい、私達のクランは人員不足なので」
「そうか、ではこのゼッケンを付ける様に」
ゼッケンには『C-1』と記載されている。
一次予選3位なのでC組の中で1番目と言う意味ではないだろうか?
暫くすると出場する8チームが揃ったようだ。
俺達クラン『MIツクール』以外は5人のチーム編成が多い。
先ほどから俺に対する視線が多い気がするのだけど、やっぱバカボン戦で注目を浴びてしまったせいかな?
「やあ、ブリュトゼルス君だったね。僕は3回生のセブルス・エンデルバーグだ、君の強さは知っているけど負けないからね」
「クリストフ・フォン・ブリュトゼルスです。宜しくお願いします」
いきなりですね。
相手が名乗っているし、上級生だし、失礼のないように自己紹介をしましたよ。
その後は何人か同じように話しかけてくる上級生がいたが、恐らくは顔を売りたいのだと思う。
ブリュトゼルス辺境伯家は大貴族だからこの王立魔法学校を卒業した魔法使いや魔術師の就職先としては王家を除けば最大規模だからね。
「全員揃ったな。試合を開始する前に注意事項を再度説明する。使用できるのは中級までの魔法か魔術だけだ。怪我は仕方が無いが死者を出した場合はマイナス500点だ」
試合前の注意事項を徹底する男性教師。
今回は女性の教師も混ざっている。
教師陣が魔法陣に魔力を供給し結界を張っていく。
「では、二次予選C組によるバトルロイヤルを行う。『はじめ!』」
説明をしていた男性教師の合図でバトルロイヤルは開始された。
散らばっていた生徒達が一斉に魔法詠唱に入ったり魔法陣に魔力を供給しはじめる。
で、その標的は俺だ。
先ずは発動の早い魔術が俺を襲う。
俺は高密度の魔力障壁を展開しこの攻撃を受ける。
そして魔法詠唱が終わったようで続けざまに魔法が俺を襲う。
30人以上?の生徒からの攻撃を一身に受け、爆煙が俺の周囲に立ちこめる。
まぁ、強いと思われている俺を全員で集中攻撃するのはセオリーと言えばセオリーなのかも知れないがあからさま過ぎる気もするな。
俺が普通の生徒ならここで退場処か死んでいるって感じだよね。
全員の攻撃を受けて俺が死んだら得点はどうなるのだろうか?
全員マイナス500点でカルラ達は何もしなくても二次予選通過じゃね?
何れにしろダメージを受ける気は無いけどね。
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