チートあるけどまったり暮らしたい
032 決闘2
『さあ、審判である魔術講座のクリス・シーレンス先生25歳、恋人募集中が豊満な胸を揺らし闘技場中央へ向います。
・・・ナイスなボディーを強調する悩ましい姿で闘技場の中央に立ちました。晴れの舞台で気合を入れています!』
リンダ先輩、シーレンス先生が鬼の形相で怒鳴っているぞ?
しかし、あんなに色っぽい格好をしなくても良いのに・・・この世界でミニなんて珍しいぞ。
「双方、前へ」
シーレンス先生の声に促され闘技場の中央に進む。
闘技場は1m程の高さがあり、直径15m程の円形になっている。
敷き詰められた石畳は大理石の様な輝きを見せるも滑ると言う事も無く靴はしっかりとグリップしている。
「闘技場には高度な防御結界が張られているので君達が扱えるであろう魔法や魔術を放っても観客に被害は出ないようにしている。しかし、君達は防御結界に守られる事は無いので下手をすれば死に至る。・・止めるのであれば今の内だぞ」
シーレンス先生は俺とバカボンの顔を交互に見て意思を確かめる。
てか、俺は今のところ王級魔法が使えるのですが、それを防げるのかな?
マジックアイテムで結界をはるのだとは思うけど、王級魔法を使える者なんて滅多に現れないから想定していないんじゃない?
「ではルールを説明する。魔法や魔術に体術、それにマジックアイテムなど基本的に何でもありだ。相手が降参する、気絶する、死亡する、で勝負ありとなる。それと私が戦闘継続が困難や危険だと判断した場合は止めに入るが制止を聞かなかった場合は反則負けになるからな」
再びシーレンス先生は俺とバカボンを交互に見るので頷いておく。
「最後に・・・決闘である以上、最悪は死に至る事もあるし重傷を負って生涯癒えない傷を負う事になる事もあるが、覚悟は良いな?」
俺とバカボンは無言で頷く。
バカボンはズーッと俺を睨んでいるので、話を聞いているのかは不明だ。
「では開始位置まで戻ってくれ。私が『始め』と合図したら決闘開始となるからな」
『シーレンス先生25歳、恋人募集中、以下略からルールの説明があり、両者は開始位置へ戻ります』
「そのアナウンス五月蝿いぞ!リンダ覚えておけよ!」
シーレンス先生は随分男勝りな喋り方なんだな・・・見た目は色っぽいのに。
俺達が開始位置に着いたのを見てシーレンス先生は闘技場を下りて、副審の2人の教師と目線で合図しあうと闘技場に防御結界がはられる。
「双方、準備を!・・・神聖バンダム王国の作法に則り、ここに決闘を認める。『始めっ!』」
シーレンス先生が合図をしたと同時にバカボンは魔法陣に魔力を供給し魔術を発動させる。
発動した魔術は火属性の中級魔術のファイアストームだ。
あ、魔法も魔術も同じ魔法名が多いので気にしないでね。
炎の渦が俺に向って飛んでくる。
これをまともに受ければ俺は死にはしないだろうが大火傷間違いなしの攻撃だ。
『お~っと、開始早々ワーナー君が電光石火とも言える速さで火魔術を放ったぁぁぁっ!』
炎の渦が収まると何事も無かったかのように佇む俺を見てバカボンは驚愕の顔をする。
炎が完全に消える前にバカボンの顔を見たが、勝ち誇っていた。
でもその程度で俺を倒せると思っていた事に対して腹が立つ。
俺ってそんなに弱いと思われていたのだろうか?
・・・いつか聞いてみたいな。
『お~っと、これはどうした事でしょう!クリストフ君は無傷ですっ!クリュシュナス様、解説をお願いします』
『はい、あれは時空属性の結界ですね。左腕に嵌めている腕輪がマジックアイテムで、常時発動型の結界が周囲に展開されているのです』
ちょっとクリュシュナス姉様、決闘中に種明かししないでよ!
『もしかして、今話題のブリュト商会が発売している【障壁の腕輪】ですか?』
『そうです。ブリュト商会はクリストフが経営していますし、ブリュト商会で扱っているマジックアイテムはクリストフが発明した物ですね』
わわわわ!何でこんな処で個人情報を駄々漏れにしているの!
クリュシュナス姉様、勘弁してよ!
『なぁぁぁぁんとぉぉぉぉっ、今話題のブリュト商会はクリストフ君のお店だそうです!しかぁぁぁぁっも、マジックアイテムは全てクリストフ君の発明品と言う衝撃の事実でぇぇぇぇすっ!』
俺は身内の暴露でSPが0になりそうだ・・・
そんな時に空気の読めないバカボンは次の魔法陣に魔力を供給し魔術を発動する。
しかも魔力を供給した魔法陣は1つだけではなく、3つ、・・・4つの魔術を発動させたようだ。
『クリュシュナス様、クリストフ君とお近づきになりましたらブリュト商会の商品をお安く購入できるのでしょうか?』
『分かりませんが、家族には色々と便宜を図って貰っています』
その話っていつまで続くのかな?
決闘の話をして欲しいのですけど・・・
と、とにかく、次から次に襲ってくるバカボンの魔術だが、その程度では俺の障壁を破壊する事は出来ない!
この腕輪自体はブリュト商会で販売している物とまったく同じ物で、シリアルナンバー1の初回生産品ではあるが、特級位の威力がないと障壁を破壊する事ができないのだ。
しかも時空属性は弱点属性がないので安定した性能が保証できる。
さて、そんな感じで馬鹿君は魔術をバンバン放っているので魔力の使い過ぎて疲労困憊といった感じで、肩で息をしている。
そして俺を取り捲く障壁は安定してバカボンの魔術を防いでいるし、障壁の腕輪は嵌め込まれた魔結晶から魔力を供給しているので俺の魔力は減る事はない。
バカボンは無駄撃ちばかりして奥の手を出さないのだけど・・・
まさかとは思うが、奥の手を用意していないのだろうか?
ちょっと覗いてみようかな・・・
え、覗けるのかって?
だって俺の心眼の眼には千里眼機能もあるんだよ、マントの裏にある物を見るなんて雑作もないよ。
え!女子生徒の・・・を見てるんじゃ無いかって?!
ははは・・・そ、そんな事してないよ?
・・・
ゴホンッ!
とにかく、バカボンの攻撃は今のところ俺には届かないのだ!
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