チートあるけどまったり暮らしたい

なんじゃもんじゃ

028 単位修了試験

 


「ボク、算術は苦手だな・・・でも算術の下級単位は取っておきたいから頑張るぞ!」


「僕は比較的に算術は得意だから中級までは単位を取ろうと思っているよ。でもカルラさんと違って魔史があまり得意じゃないんだよね」


「クリストフは単位修了試験は5科目だったよね?算術、歴史、魔史、国語、バルムス古代語だっけ?全部上級まで受けるの?」


「うん上級を受ける予定だよ。でも魔物学はまったく勉強していないから最初から授業を受ける予定をしている」


「はぁ、首席合格様は余裕だね・・・ボクも1回生の内に上級の単位を幾つか取れるように頑張ろうっと。ね、ペロン」


「うん、頑張ろう!」


 4月中は単位修了試験期間だから皆がピリピリしている。
 1組の人間は入学試験の上位30人が集められている事から単位修了試験を幾つも受験する実力者達ばかりだ。
 特にピリピリ感が強い様だ。


 俺は5科目の上級まで単位を取るつもりなので、4月一杯は試験漬けになる。


 単位は各科目、下級・中級・上級があり、俺達王立魔法学校の生徒は卒業までに上級単位を10科目以上取らなければ卒業できない。


 そして下級単位を取っていないと中級の単位修了試験を受験する事ができないし、上級を受験しようと思えば、中級の単位を取っている必要があるので、俺の様に1回生で5科目を上級単位まで取ろうと思うと15回もの単位修了試験を受験する事になる。
 意外とハードである。


 そして俺達生徒もハードだが、教師陣も試験の採点を直ぐにしなければならないので何日か徹夜になる事もあるとクリュシュナス姉様から聞いている。
 生徒も大変だが、教師は総力戦だ。


 こんな感じで4月は過ぎるので授業はない。
 ないと言っても単位修了試験を受けない者もいるのでそう言った生徒には簡単な課題だけ与えて自由にさせている。


 それと1回生はクランの活動も禁止されている。
 単位修了試験は2回生や3回生も受ける為にクランの活動で上級生が1回生の面倒を見れないので、1回生のクラン活動は5月からしか認められていないのだ。


 単位修了試験は毎日最低1科目は行われている。
 俺は5科目を受験しているので試験が無い日もあるが、その代わりダブルヘッダーもある。
 4月2週目は下級の単位修了試験しか行われないし、3週目は中級の単位修了試験、4週目は上級の単位修了試験が固まるのでどこまで受験するかで忙しい時期は変わるが、俺は4週目まで予定がビッシリだ。
 とは言え、下級単位や中級単位が取れなければそれで終わりだけどね。


 2週目、下級単位の単位修了試験が全て終了した。
 単位修了試験の結果は翌日には発表される。
 俺は5科目全部合格し中級の単位修了試験の受験資格を手に入れた。


 カルラは算術、歴史、魔史、バルムス古代語、魔物学を受験し全て合格したが、中級の単位修了試験を受けるのは魔史とバルムス古代語だけだと言う。


 ペロンは算術、歴史、魔史、国語、バルムス古代語、地理学の6科目を受験しこちらも全て合格している。
 そして中級の単位修了試験を受験するのは算術、国語、バルムス古代語、地理学の4科目だ。


 3週目、中級単位の単位修了試験が全て終わった。
 俺は危なげなく5科目全て合格したし、カルラも2科目共合格した。
 しかし、ペロンはバルムス古代語を落としてしまった。それでも3科目は合格している。


 4週目の単位修了試験が始まった。
 カルラとペロンは上級にはチャレンジしないそうだ。
 俺は算術、歴史、魔史、国語、バルムス古代語の5科目を受験するのだが、1回生の姿はやはり少ない。
 カルラやペロンも試しに受ければ良いのにと思ったのだが、2人共気力が続かないと言っていた。


 因みに金髪巻き髪の第3王女様も上級の単位修了試験を幾つか受験している。
 バカボンも中級の単位修了試験までは見た記憶があるが、上級では見ていない。


 で、上級の単位修了試験の結果だが、俺は5科目全て合格した。


「5科目共上級単位を取ってしまうなんて信じられないわよ!ボクなんか上級にチャレンジさえしていないのに」


「流石クリストフ君だね」


「首席合格様は爆ぜろ!」


「何でやねん!」


 思わずカルラに突っ込んでしまった。


 ブルーム先生曰く、5科目全てでトップ3入りの成績だったらしいので、口の悪いブルーム先生から珍しくお褒めの言葉を頂いた。
 ブルーム先生が若い女教師ならメッチャ嬉しいのだろうが、オッサンのブルーム先生なので地味に嬉しいって感じだ。


 で、全ての合否が発表された後、王女様が「次は負けないわ!」って一言だけ言い放って睨んできた。
 王女様は7科目で上級単位修了試験を受験したらしいが、3科目の合格に留まったそうだ。
 そんな事は俺の責任では無いと思うが、何だか負けず嫌いな王女様が可愛く見える。


 何であれこれで俺は決闘の準備に注力できる。
 今までも色々と想定してそれなりに準備はしているが、単位修了試験が有ったのでやはりそちらに意識が持っていかれていた。


 クリュシュナス姉様に聞いたのだが、決闘騒ぎが盛り上がっているので当日は観客も入るし、それを仕切る為に生徒会が出張るらしい。


 で、クリュシュナス姉様は・・・


「あのアホをぶち殺して遣りなさい!」


 と過激なお言葉です。
 父上と良い、ブリュトゼルス一族はバカボンを目の敵にしている様だ。
 父上は親の方が特に嫌いみたいだけど。


「クリストフに決闘なんて申し込んだだけでも死罪に値するけど、クリストフに傷でも付けたら私があのアホを地獄に送り込んで遣るわ!」


 過保護って感じだけどちょっと嬉しい。
 でもクリュシュナス姉様の目が怖いです。


 

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品