神王のスローライフまで

グランアース

第3章第26話  告別式



リルは、あの部屋に入って出てくるまでに1日間必要だった。
リルは、短期間にお父さんを亡くしてさらにはお兄さんを亡くしたのだ。
それで、1日で立ち直れるのは凄いと思う。

その二日間、なにもしていないことはないが住民の無事を確認したり色々でとても大変だった。

レオナード王太子、リルのお兄さんはこちらに黒い塊が急にやってきてこの町の建物を破壊して行ったと言う。

それを止めようとして、近くにいた王太子が参戦。
激闘の末に、多大な犠牲者を出しながらも相手を退かした。
ただ、その時に王太子がケガをしてそれが原因で亡くなったそうだ

他にもいくつかの犠牲者が怪我の原因で亡くなられた。
近衛騎士や衛兵、軍人などだ。

他にも、家の崩壊に巻き込まれた一般人なども含まれる。

「くそっ!魔王の動きを予想していたらこんなことにならなかったのに。」

「ごめんね...... りゅうくん。私があんな高出力の魔法を放つからだよね。それで.......」

「華楓のせいじゃない。予想していなかった俺のせいだ。」

「龍一様。準備ができました。」

「そうか、じゃあみんなを集めてくれ。その後開始する。」

それで、この町にいるほとんどの人が草原に集まった。
草原には、亡くなられた人達が並んでいる。
王太子は、一番前に置かれている。

「これより、告別式を行う。聖職者、前に」

「尊き命が失われたことに、祈りを捧げます。」

「我らを守るため、前線に出られた王太子殿下を感謝します。我等一同、さらに奮闘を捧げます。」

それから、確認された死亡者の名前を一人一人紹介した。
そのなかでも、王太子殿下も呼ばれた。

「これより、聖火を放ちます。これが最後の別れです。皆様、最後の言葉をお伝えください。」

皆、口々に述べた。

「それでは、お別れです。」

その言葉と同時に聖火が放たれた。
その炎は天を焦がすほどの威力で燃えがり、その中から、一つ一つ光が空に登って行った。


「安らかに眠ってくれ。恨むならこの事に気づけなかった俺を恨め。」

「りゅうくん...... 」

「龍一様!」

「どうした?」

「カレン皇女が面会を求めています。」

カレン皇女、無事だったと聞いてるけどどうしたんだろう。

「急な用事があるそうで」

「わかった、直ぐに行く。」

その兵士に案内されて、カレン皇女がいる部屋に来た。

「入るぞ。」

「えぇ、どうぞ。」

そこには、カレン皇女が旅の支度をして待っていた。

「龍一様、あの時の返事を教えて下さい。」

「もう、そんな時期なのか...... 」

「はい。」

カレン皇女の急ぎ用があるとのことはこの事だったのだ。
それも、直ぐに返事を出さないといけない前回の交渉内容だった。






































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