職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第四十六話 VSリヴァイアサン

 俺達は、 リヴァイアサンに吐き出された後、 急いで海からでて、 陸地へと辿り着いた。


 「ゆ、 優さん無事ですか?」
 「ああ、 なんとかな」
 「それでこれからどうしましょうか?」
 「とりあえずルーに連絡を取ってみるから、 少し待っててくれ」
 「わかりました」


 俺は、 エレンにそう言った後、 エレンから離れ、 ルーへと連絡を取った。


 (ルー。 今いい……)
 (優! 今どこにいるの! 夜からずっと姿が見えなくて心配してたんだから!)
 (悪い。 実は……)
 

 俺は、 ルーへと今の状況を説明した。
 

 (それで優は、 これからどうするつもりなの?)
 (多分リヴァイアサンの野郎は、 未だに海の中にいて俺たちが入ってくるのを待っている。 だから俺は、奴を殺す。 そして、 殺した後お前たちのいる場所へと合流するつもりだ)
 (わかったわ)
 (それと一つ頼みがある。 俺たちは、 今自分たちの正確な位置すら理解できていない。 だからお前たちと合流するのは、 今の状況では難しい。 だから空中になんでもいいから魔法を打ち上げてくれ。 それでお前たちの居場所を探してみるから)
 (わかったわ。 すぐに取り掛かるわね)


 俺が、 ルーにお願いしてから数分してから、 魔法は、 空へと打ち上げられた。 
 どうやら、 位置的には、 俺たちの居る場所からそれほど離れていなかったらしい。
 その点は、 不幸中の幸いだ。
 

 (どう? 確認できた?)
 (ああ、 ばっちりだ。 それじゃあ、 きるな)
 (ええ、 気を付けてね)


 俺は、 そうしてルーとの会話をやめた。


 「優さん。 それでどうするのか決めましたか?」
 「ああ、 とりあえずリヴァイアサンの奴を殺す」
 「そ、 そんなの無理ですよ!」
 「無理じゃない。 とりあえずここからは、 俺一人でやる。 だからお前は、 離れてろ」
 「嫌です!」
 「お前は、 俺があいつを倒せないと思っているのだろ? なら、 俺から離れて……」
 「私は、 優さんのことを見捨てないって決めたんです! だから優さんが、 どんなに無謀なことに挑戦しようとしていてもそれで、 自分の命を失うことになったとしても最後まで付き合います!」
 「はあ、 わかったよ。 だが、 正直お前は、 自分の身を守ることだけを考えろ」
 「わかりました。 それで優さんは、 どうやってリヴァイアサンを仕留める気なんですか?」
 「まずは、 これを使って奴を海面から引きずり出す」


 俺が、 そう言って作ったのは、 魚雷だ。
 そして俺は、 奴に向かってこれを投げつけるつもりだ。
 奴の体は、 巨体のため海に入らずとも位置を確認できるのは、 幸いだった。


 「さて、 ここでお前に一つだけ条件がある」
 「なんですか?」
 「今から俺がしたことを絶対に他言するな。 もし他の人間に話したら……」
 「話したら?」
 「お前を殺す」


 俺は、 そう殺気を込めた目で、 エレンを見た。
 それに対してエレンは、 コクリと頷いた。
 その時俺は、 エレンの目を見た。
 彼女の目は、 とても澄んでいて、 俺の言うことを守ろうとする意志が感じられた。
 そして、 俺は、 リヴァイアサンを殺す作業に取り掛かった。
 

 「オラオラオラ!」
 

 そして、 俺は魚雷をひたすら投げ続けた。
 多分一発では、 に対してダメージは与えられないだろう。
 だから俺は、 何十発、 何百発、 何千発と投げ続けた。
 そんなことをし続け、 ちょうど五千発投げたあたりで、 奴は耐え切れなくなり海面へと浮上してきた。
 俺は、 それに対し腰に下げてあった、 銃を一発奴の顔目掛け打ち込んだ。
 リヴァイアサンが、 海面に出てきたのは、 数秒だがその間に俺が、 あいつの顔に禁呪が刻まれた銃弾を撃ち込めたことで、 俺の勝ちは、 確定した。


 「さて、 これでチェックメイトだ」


 俺は、 最後にそう言い禁呪の発動のトリガーを指で音を鳴らし、 起動させた。
 俺が、 音を鳴らした瞬間海中で、 すさまじい爆発音がした。
 そして、 リヴァイアサンの肉片と思われるものが海面へと浮かんできた。


 「さて、 これで一丁上がりだな」
 「ゆ、 優さん! 一体何をしたんですか!」
 「それは……」


 俺が、 喋ろうとした瞬間、 俺の体に異変が起きた。


 「ゲホッ……」
 「ゆ、 優さん! 大丈夫なんですか! 口から凄まじいほど血を吐いてますよ!」
 

 どうやら、 俺の体は、 魚雷を沢山作り続け、 ただでさえ大変なことになっていたのにも関わらず、 俺が最後に禁呪を使ったせいで、 完全に内蔵がすべて破裂したようだ。


 「ゆ、 優さん! しっかりしてください! 優さん!」
 

 全く。
 このダンジョンに入ってから、 俺何回気絶してるんだよ。
 それに、 エレンの奴泣いてるじゃないか。
 全く俺は、 少し無理しただけですぐ回復するから大丈夫だと伝えてやりたいな。
 だが、 声が出ない。
 これは、 参った。
 だんだん息もできなくなってきた。
 まあ、 少し眠れば回復するだろう。
 俺は、 そんなことを考えながら、 地面へと倒れた。


 俺が次に目がさめたとき、 俺は、 エレンに膝枕をされていた。
 エレンは、 どうやら寝ているようだった。
 全く暢気なものだ。
 俺は、 そんなことを思いながら起き上がろうとしたが、 起き上がれなかった。
 どうやら禁呪を使うと相当なダメージが、 あるようだ。
 ちなみに俺が、 リヴァイアサンへと使った禁呪の名前は、 エクスプロージョン。
 あの禁呪は、 魔法陣を書いた場所に、 大爆発を起こすものなのだが、 俺はこの禁呪を奴の内部に打ち込み、 発動させたことによってバラバラにしたという寸法だ。
 それと俺が、 起きようと必死に体を動かしたせいでエレンも起きたようだ。


 「優さん! 目がさめたんですね! 本当に良かったです!」
 

 エレンは、 そう俺に言いながら大粒の涙を流した。
 そして、 その涙は、 下にいる俺の顔も濡らした。
 

 「ああ、 だからとりあえず泣き止め。 正直女性の涙は、 見ててこっちがつらい」
 「す、 すみません。 そんなことより優さん体は、 大丈夫なんですか! 一時期心臓も停止してたんですよ!」
 「大丈夫だ。 まだ体は、 重くて立ち上がることは、 できないがな」
 「そ、 そうですか」


 エレンに、 どうやら俺のことでかなり迷惑をかけてしまったようだ。


 「すまないな。 心配させて」
 「本当にですよ。 これからは、 もう二度とあんなことしないでください」


 エレンは、 そう言いながら俺の頭を撫でてくれた。
 正直かなり恥ずかしい。


 「そう言えば、 私。 多分優さんの子供妊娠してます」
 「は?」
 「だから責任取ってください」
 「ちょ、 ちょっと待って! なぜ急にそうなる!」
 「だって、 私優さんにキスしましたし、 それと私は優さんのことが好きです」
 「待て待て! 話が急展開すぎて理解できんぞ! それとお前いつ俺にキスした!」
 「キスしたのは、 優さんの心臓が止まった時ですね。 その時人口呼吸をしたので。 それと私が優さんのことを好きだと自覚したのは、 優さんが死にかけていた時の事ですね。 正直あのまま優さんが死んでしまったら、 私も後を追う覚悟もしてましたし。 それに優さんは、 私のことを自分の命を懸けてまで守ってくれたじゃないですか。 そして、 何より今まであった人の中で一番優しい人間だと感じたからです」
 「それで、 俺にどうしろと?」
 「それは、 当然私と結婚してもらいますよ? 何せ私は、 優さんの子供を妊娠しているのですから」
 「そのことなんだが、 悪い。 俺は、 お前に一つ嘘をついた。 本当は、 キスで子供はできないんだ」
 「そうなんですか? それじゃあどうやって子供は、 できるんですか? 何なら今から試しましょう! 私優さんとの子供欲しいです!」
 

 ダメだこいつ。 
 完全に恋する乙女状態で、 俺の意見を聞いてくれる気がしない。


 「子作りの仕方は、 絶対に言えん!」
 「な、 なんでですか!」
 「恥ずかしいことだからだ! そんなことより俺は、 お前とは絶対に付き合わないぞ!」
 「優さんがそう言っても私は、 絶対にあきらめませんからね!」


 どうしてこうも女性というのは、 めんどくさい生き物なんだ。
 おれは、 この後結局自身の体が動けるようになるまで、 エレンからひたすら質問攻めをされた。



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