職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第四十二話 合流

 俺がミスティへの仲間宣言をした夜から時は、 移り俺たちは、 朝早くから起き二十層をあっという間に越え、 今はやっとルーたちとの合流できたところなのだが今俺は、 ある窮地に立たされている。
 それは……


 「ねぇ優。 これはどういうこと? もしかして浮気なのかな? 浮気ならお仕置きしなくちゃね。ふふふふふふふふふ。 あはははははははははは!」


 そう言うルーの今の状態は、 目に光が一切感じられず、 まるで深淵を感じさせるほど濁っていた。 
 なぜルーが、 こんな状態にあるかというと今の俺の状態にある。
 今俺の右腕には、 なぜかミスティが抱き着いているのである。
 しかもかなり力が強くて、 俺が離れろと言っても全く離れてくれない。
 

 (ルー! 浮気言うな! 俺たちは、 今は弟子と師匠の関係だろ!)
 (ふふふふ。 優が悪いのよ。 私がいないからって浮気なんてするから……)
 (お願いだから! 俺の決めた設定だけは守って! じゃないと面倒なことになるから!)


 「ええと、 優。 とりあえず久しぶりなんだぜ」
 「ああ、 マチルダ。 久しぶり」
 「それで、 ミスティはなんで優の腕に抱き着いてんだ?」
 「それは、 私も気になります! もしかして二人は、 二日の間で恋人にでもなったんですか!」


 マチルダは、 それほど興味がなさそうだが、 それとは逆にエレンの方は興味津々のようだ。
 エレンに関しては、 目がハートマークになっている。
 さすがは、 女子。
 こういう話が大好きなようだ。
 しかしエレンが最後に言った言葉のせいで、 ルーがさらにやばい状態に!
 本当にどうしよう。


 「ねぇ優。 そんなことより早く進みましょう?」
 「一体誰のせいでこんなことに。 てかお前俺の事を名前で……」
 「それがどうしたのよ? 仲間なら名前で呼び合うのは、 当然でしょう?」
 「あのミスティが、 他人のことを名前で呼んでるぜ。 優お前一体どんなトリックをしたんだよ」
 「や、 やっぱり二人は、 恋人同士なんですね! とてもお似合いです!」
 「な、 誰と誰がお似合いよ! 全く!」
 「ミスティさん。 なぜ口ではそう言いながら顔は嬉しそうなんだ?」
 「うっさい!」
 「ねぇ優。 少しこっちに来てくれる?」


 ああ、 俺は今からお仕置きされるのか。
 一体何をされるんだろうな。
 首以外の骨を全部へし折るくらいなら全然楽でいいんだけどな。
 

 「ええと。 ルーが呼んでるから少し行ってくるな。 だから腕から離れてくれないか?」
 「嫌よ!」
 「お、 お願いだからいうこと聞いてくれ!」
 「わ、 わかったわよ。 だからそんな泣きそうな顔するんじゃないわよ。 そんなに私に抱き着かれるのが嫌だったの?」


 ミスティは、 そう言いながらしょんぼりした様子だった。


 「いや。 お前に抱き着かれるのは、 別にいいんだよ。 ただこれ以上お前に抱き着かれてると俺へのお仕置きが大変なことになるんだよ」
 「お仕置き?」
 「ああ、 ルーの弟子になる条件として、 異性に近づくことが基本禁止なんだよ。 それを破るときついお仕置きをされるわけ。 それじゃあ、 ちょっと逝ってくるわ」
 「あ、 あんたの言ってる意味のニュアンスが違うわよね!?」


 俺は、 ミスティたちから離れ一人ルーに近づいて行った。


 「さて優。 覚悟はできたんでしょうね?」
 「ああ、 お前の満足のいくまで好きにするがいいさ」
 「じゃあ、 そうさせてもらうわね……」


 それから一時間俺の悲鳴が、 ダンジョン内に響き渡った。
 その間ミスティたちは、 お仕置きのあまりの恐ろしさに目をそらしていた。


 「はい。 これで終わりよ」
 「……」
 

 俺は、 体が痛すぎて何も言えなかった。
 しかもルーの奴。
 俺の不死の再生力が、 間に合わなくなるくらい痛めつけやがった。


 「大丈夫? 立てる?」
 「……」


 あなたが俺を立てなくなるまでお仕置きしたんじゃないですか。
 お仕置きの最中、 不死のはずなのに何度三途の川を見たことやら。


 「優が立てないのなら仕方ないわね。 私が優をお姫様抱っこして……」
 「さて! 今日もダンジョン攻略頑張るか!」
 「チッ!」


 危ない。
 もう少しで男として、 致命的な物を失うところだった。
 俺のお仕置きが終わったことに気づいて、 ミスティたちもこちらに近づいてきた。


 「優。 あんた体大丈夫なの?」
 「ああ、 こんなの日常茶飯事だ。 気にするな」
 「そ、 そう。 私のせいでごめんなさい」
 「だから、 気にすんなよ。 お前は悪くないって」


 そうして俺は、 ミスティの頭を撫でたのだが……


 「ふふふふ。 優まだお仕置きが足りなかったのかしら?」
 「あのさすがにもう勘弁してください! これ以上は、 本当に死ぬ!」
 「冗談よ」
 「よかった。 それでこっからどうやって進むんだ?」
 

 なぜ俺がそう聞いたのかと言うと、 俺たちの前には海が広がっており、 階段なども見当たらないからだ。


 「そうですね。 多分次の階に上がるには、 海の中を潜って探さなくてはいけないのだと思います。 また、 こういう場合上の階への上がり方は、 階段ではなく、 魔法陣が海の中に隠されていて、 それに触ったら上の階に上がれる仕組みになっていると思います」
 「へぇ、 そんな仕組みがあるんだな。 なんでエレンは、 そんなこと知ってるんだ?」
 「前に海があるダンジョンに入ったことがあるからです。 何せ私は、 魚人なので水中でも呼吸ができますから」
 「それで、 その時海に入る時は、 どうしたんだ?」
 「私たちの場合は、 水着を着て入りましたね」
 「水着か。 お前たちは、 今持ってるのか?」
 「私は、 持ってます」
 「俺は、 持ってないぜ」
 「私もね」
 「私もよ」
 「なるほど。 じゃあ、 今から俺が持ってない人の分のを作るから、 サイズだけ教えてくれ」
 「わかったぜ」
 「それ、 セクハラに値するから今後注意しなさいよ? まあ、 私はあんたがそんなつもりで聞いてるわけじゃないと知ってるから、 教えてあげるけど」
 「優は、 私のサイズをよく知ってるわよね?」


 そう言ってルーは、 何か含みのある笑みを浮かべてきた。


 「ねぇ優。 なんであんたこの女のサイズ知ってるの?」


 ミスティは、 そう言いながら俺に詰め寄ってきた。
 あれ? もしかしてかなり怒ってる?


 「そんなの決まってるじゃない。 それは、 私と優が……」
 「ええとな! それは、 ルーと最初あった時、 こいつ下着をつけていなくてな。 それをやばいと思った俺がこいつにサイズを聞いて一緒に下着を買いに行ったんだよ! だからその時聞いたサイズを覚えてるんだ」
 「ふ~ん。 まあ、 いいわ。 信じてあげる」
 「あ、 ありがとう」


 全くルーの奴相当さっきの事相当根に持ってるな。
 危うくばれるところだった。
 それから、 俺は自分のセンスにのっとり三人に似合う水着を作った。
 ルーには、 白のビキニを作ってやった。
 なぜ白なのかというとやはり金髪には、 白だと感じたからだ。
 マチルダには、 競泳用水着みたいな感じのデザインにし、 お尻にある尻尾もだせるように穴もしっりあけて作った。
 ミスティには、 ピンクのワンピースタイプのものにした。
 本人は、 ビキニタイプの水着がよかったらしいのだが、 絶対に似合わないと思ったので却下した。


 「よし。 それじゃあ行くか!」
 「そうですね!」


 そう返事したのは、 エレンなのだが、 体に身に着けているのは完全に紐で見えちゃいけない部分だけしか隠れておらず、 完全に痴女にしか見えなかった。
 それを俺以外の三人も見たようで俺たちは、 口をそろえてこう言った。


 「「「「「アウト!」」」」
 「ええ! な、 なんでですか! これは魚人族に伝わる伝統的な衣装で……」
 「いいからあんたはこっちに来なさい! それと優! こいつの分も作ってあげて! サイズは、 こいつから無理やりにでも聞き出して教えるから!」
 「了解した!」
 「まさか、 エレンがあんなに残念な奴だったなんて思わなかったぜ」
 「優は、 ああいうの好きなの? 好きなら着てあげても……」
 「好きなわけないだろ! あんなの着るのはただの変態だ!」


 俺は、 あれからミスティにエレンのサイズを聞き、 水着を作ってやった。
 エレンの水着は、 水玉のビキニにした。


 「お、お待たせしました」
 「はあ。 まさかお前があんなにポンコツだったなんて予想外だったよ」
 「本当にすみません」
 「別に謝らなくてもいい。 さて行くか!」


 そうしてやっと俺たちは、 海へと入っていった。



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