職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第四十話 看病

 俺は、 目がさめると上半身裸の状態で、 ベットの上で寝ていた。


 「あれ、 俺はなんでこんなとこで寝てるんだ?」
 

 俺が頭の中で疑問に思ってると部屋の扉が、 開かれミスティが現れた。
 ミスティは、 俺を見た瞬間手に持っていた桶を落とした。


 「あ、 あんた目がさめたの!」
 「ああ、 今目がさめた。 それで今俺は、 どういう状況なんだ?」
 「そんなことよりあんた。 あたしが、 あんたに何したのか覚えてる?」
 「ん? いや全然覚えてないが? てか、 お前俺に何をしたんだ?」
 「お、 覚えてないならいいのよ!」
 「なんかそう言われるとすごく気になるな」
 「いいから! あんたは、 まだ毒が抜けたばかりなんだから寝てなさい」
 「そう言えばこの部屋お前の寝室だな。 いいのか? 俺がこの部屋にあるベット使っても」
 「あんたは、 病人なんだからそんなこと気にしてるんじゃないわよ! いいから早く寝てなさい」
 「それと最後にもう一つだけ質問いいか?」
 「な、 何よ?」
 「お前は、 どうやって治療したんだ? 確かグリフォンの毒は、 エリクサーがいるはずだろ?」
 「そんなの私が持ってたエリクサーをあんたに飲ませただけよ」
 「おいおい。 お前俺のためにあんな高価なものを使ってくれたのか?」
 「し、 仕方ないじゃない! 一応あんたは、 私の命の恩人なわけなんだし。 ともかくもういいでしょう! 早く寝なさい!」
 「ああ……」


 なぜあいつは、 あそこまで顔が真っ赤で焦ってるんだ?
 そんな事よりもルーは、 今どこにいるのか連絡を取らないとな。


 (ルー。 今いいか?)
 (いいわよ! ああ、 久しぶりの優の声だ! 早く会いたいわ!)
 (お、 おう。 それで今そっちは、 何処にいるんだ?)
 (今は、 二十一階で優たちを待ってるって感じね。 ちなみに二十一階からは、 海のフィールドよ)
 (そうなのか。 てかダンジョンの中に海ってどんな構造になってるんだよ)
 (ねえ、 そんなことより優は今どこにいるの?)
 (ああ、 実はな……)


 俺は、 ルーに今の状況について説明した。


 (そうなの。 でも優。 あなた危なかったのよ?)
 (危なかったとは?)
 (グリフォンの毒は、 優みたいな不死の人間に対しても有効で、 あまりにも毒をくらいすぎてたら、 優は死んでたのよ?)
 (おいおい。 不死でも死ぬことってあるのかよ)
 (それはそうよ。 それとあまりに体へのダメージがひどくて、 体をバラバラにされた場合も死ぬわね。 だから今後は、 その点に注意して戦闘してね)
 (わかった。 ありがとうな)
 (さて、 優は今ケガをしてるみたいだから会話もうきるわね)
 (ルーからそう言うなんて珍しいな。 どうしたんだ?)
 (だって優は、 まだ毒が抜けたばかりで体力があまり戻ってないでしょう?)
 (よくわかったな)
 (当り前よ! 私が優のことで知らないことなんてないんだから!)
 (それは、 それで怖いな)
 (そんなことより優は、 早く体を休めなさい。 そして明日元気な姿で私にみせてね)
 (了解した)


 そう言って、 俺たちは会話をきった。


 「それで盗み聞きとは、 あまりいい趣味じゃないぞミスティ?」
 「な、 なんでわかったの?」
 「勘。 そんなことよりなんで盗み聞きなんてしてたんだ?」
 「いや、 最初はするつもりは、 なくてただ食事を持ってこようと思っただけで、 でもあんたが誰かと会話をしてるような感じだったから部屋に入るタイミングを逃しちゃって」
 「そうならそうと言え」
 「なんで私が、 あんたに怒られなくちゃいけないのよ! そんなことより口を開けなさい! ご飯食べさせてあげるから!」
 「いや、 それくらい自分で食えるから……」
 「四の五の言わず黙って口を開けなさい!」
 「わ、 わかったよ」
 「それでいいのよ。 この私があんたのために作ってあげたんだから感謝しなさい!」
 「ああ、 本当に色々感謝してるよ。 ありがとな」
 「何よ。 急にそんな優しそうな声をだして」
 「いや、  もしお前がエリクサーを持ってなかったら俺は死んでたからな。 素直に感謝してるだけだよ」
 「それを言うのは、 私の方よ。 もしあんたがあの時私を突き飛ばさなかったら多分毒以前に、 グリフォンの攻撃で死んでたわよ」
 「なら、 お互い様だな」
 「ええ、 そうね」


 そう言って俺らは、 互いの顔を見て笑った。


 「そんなことより早く口を開けなさい。 ご飯がさめるでしょ」
 

 どうやらミスティは、 俺の体調を気遣っておかゆを作ってくれたらしい。


 「ああ、 わかった」
 「ふうふう。 はい、 アーン」
 「さ、 さすがにそれは、 恥ずかしいのだが……」
 「アーン!」
 「あ、 アーン」
 

 ミスティが、 作ったおかゆは、 卵を入れてありとてもおいしかった。


 「ど、 どう? おいしい?」
 「ああ、 とてもおいしいよ」
 「そ、 そう。 ならもっと食べなさい!」


 そう言ってミスティは、 笑顔で俺に食べさせてくれた。


 「ご馳走様」
 「何よ? その挨拶は?」
 「ああ、 これは、 俺の出身の国では、 食べ終わったら必ず言う言葉だよ」
 「ふ~ん変わってるのね。 それとあんた今日は特別に風呂入っていいわよ」
 「え? いいのか?」 
 「あんた寝てるときすごい汗かいてたのよ? だから体がべたべたするでしょ?」
 「言われてみればそうだな」
 「だから今日は、 特別に使っていいわよ。 まあ、 もしあんたが今日中に目がさめなかったらあたしがあんたの体を拭いてあげようと思ってたのだけどね」
 「ああ、 だからさっきお前は、 桶を持っていて、 俺は上半身裸の状態で寝ていたのか」
 「もしかしてそっちのほうがよかった? 仕方ないわねあんたがどうしてもっていうならこの私が……」
 「いや、 風呂のほうがいい」
 

 俺が、 そう言うと普段からつり目な目をさらに、 つり上がらせた。
 あれもしかして怒ってる?
 そして、 無言で俺の腹に一発拳を入れてきた。


 「グ八ッ!」
 「ふん!」


 ミスティは、 俺を殴った後怒りながら部屋を出て行った。
 なんなんだあいつは?
 そんなことより風呂だ! 
 だが、 風呂と言えば今まで一人で入れた試しがあまりない。
 だが、 ここにはあの姉妹はいない。
 なので必然的に俺は、 一人でゆっくりできるというわけだ。
 さて、 そうと決まったら早く風呂に入るか!
 こうして、 俺は服を着てからバスルームへと向かった。
 バスルームに行く途中、 ミスティの姿が見えないのは気になったが、 まあ気にしないようにしよう。
 俺が、 浮かれた気分のままバスルームの中に入るとその中には、 全裸のミスティがいた。


 「へ?」
 「え、 ちょ、 ちょとなんであんたがここにいるのよ! この変態!」
 「だって、 お前がさっき風呂使っていいって……」
 「それは、 普通私が入った後でしょう! そんなことより早く扉を閉めなさい!」
 「す、 すまん!」
 

 俺は、 その後全力で扉を閉めた。
 そして扉を閉めてから十分後、 パジャマを着たミスティが出てきた。
 

 「ねぇ。 あんたどこまで見たの?」
 「どこまでとは?」
 「わ、 私の裸の事よ!」
 「え、 ええと全部?」
 「この変態! やっぱりあんた私のことをそう言う目で見てたのね!」
 「お、 落ち着け! 俺はお前の全裸を見たからと言って全然興奮していない!」
 「興奮しなさいよ!」
 「ええ! お前興奮したって言ったら絶対に俺の事殺そうとするじゃないか!」
 「え、 私の体を見て興奮したの?」
 「いや。 全然。 ただ綺麗な体してるとは、 思った」
 「ん~! もういい! おやすみ!」


 そう言って、 ミスティは俺に制裁を加えないままどこかに行ってしまった。
 なんなんだあいつ?
 そんなことより今は、 風呂だ。
 俺は、 バスルームの中に入ってすぐに服を脱ぎ風呂へと入っていった。
 ここの風呂は、 城の物と比べるとかなり小さく俺の家の風呂とたいして変わらないくらいの大きさだったが、 かえってそれが落ち着いた。





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