職業執行者の俺、 天使と悪魔と契約して異世界を生き抜く!!(旧題: 漆黒の執行者)

サクえもん

第八話 三人のステータス

 白井雪 年齢 17歳 性別 女性 
 レベル:1  職業:聖女
 魔力:2000/2000
 筋力:400
 防御力:400
 素早さ:300


 時坂詩織 年齢 18歳 性別 女性 
 レベル:1  職業:忍者
 魔力:700/700
 筋力:400
 防御力:200
 素早さ:700


 時坂胡桃 年齢 16歳 性別 女性 
 レベル:1  職業:歌姫
 魔力:1500/1500
 筋力:200
 防御力:800
 素早さ:500


 三人のステータスは全体的に見ても高く、 優みたいに一つだけダントツに低いといったものはみられなかった。


 <アクティブスキル>
 ファイアー
 サンダー
 ウィンド
 バインド
 フラッシュ
 ヒール
 アイス
 <パッシブスキル>
 基本属性全適正
 光属性適性
 回復魔法適正
 聖女の祈り
 氷魔法適正
 杖適正
 ハープ適正
 レイピア適正


 ただステータスだけではどのような戦闘スタイルなのか決めることはできなかったためひとまず雪のものから確認したのだが、 優は雪のスキルを見て絶句した。
 雪は非常に多くの魔法を習得でき、 優の物と比べるとその差は歴然であった。
 それだけでなく雪にも優と同じでユニークスキルが存在しており、 聖女の祈りと呼ばれる物であった。
 また氷魔法と呼ばれるものは魔法の適性の内、 水と雷に適性のある者にたまに出現するらしく、 これをエクストラスキルと人々はよんでいた。


 「なあ雪。 質問なんだけど聖女の祈りのスキルの効果を教えてくれないか?」
 「いいよ。 ええとね。 聖女の祈りの効果は、 私に誰か思い人がいる場合、 その思い人とどんなに離れていてもその人の生死がわかって命の危険が迫ると教えてくれるスキルらしいよ」
 「なんだ。 ユニークスキルだっていうのに、 微妙な効果だな。 そういえば雪って好きな人いるのか?」
 「いるよ」
 「そ、 そうか」


 雪の表情は至って真剣なようすであった。
そんな雪の様子に優は驚きを隠せなかった。


 「だから私はこのスキルがあってくれてよかったと思うよ。 だって私にとって自分の命よりその人の命の方が大事だから……」
 「そっか。 全く雪にそこまで思ってもらえるなんてそいつはとんだ幸せ者だな。 一度でいいから顔を見てみたいもんだよ」


 雪は優の言葉に大きなため息をもらした。   


 「それじゃあ次は姉さんのスキルを確認させてもらうな」
 「いいわよ」


 <アクティブスキル>
 シャドーロック 
 スモーク
 フラッシュ
 身代わりの術
<パッシブスキル>
 ストーキングアイ
 影魔法適正
 闇魔法適正
 光魔法適正
 忍術適正
 刀適正
 

  詩織の戦闘スタイルは優と違いバランスが取れていたため、 優と同じで奇襲をこなすのも可能であり、 前衛で味方を守ることも可能といったものであった。
 また影魔法も雪の氷魔法と同じエクストラスキルであり、 闇魔法と光魔法を持っていることによって出現するといったものであった。


 「そう言えば姉さんは最初から職業スキルがあるんだな」
 「どうやらそうみたいね」
 

 職業スキルとはその職業限定で習得できるスキルのことであり、 詩織の場合は忍術適正と言ったものに当たる。


 「よく見たら姉さんにもユニークスキルあるじゃないか」


 ただそのユニークスキルの名前はストーキング。
 この時点でこのスキルがまともなものではないと指し示しているようなものである。


 「私のユニークスキルの効果だけど一人を対象に発動するもので、 その人が今どこで何をしていようが確認できると言ったものらしいわね」


 そういう詩織の口元には何かいやらしい妄想をしたのか涎が垂れていた。


 「姉さん。 先に言っておくけどそのスキルを俺に使ったらもう金輪際姉さんと口きかないから」
 「わ、 わかったわよ。 全く優ちゃんは、 本当に照れ屋なんだから!」


 詩織は優が今油断していると思たのか抱き着こうとしたがあっさりとよけられてしまい、 地面で呻いていた。


 「さて最後に胡桃のものを見せてもらおうか」
 「わかったよ!」


 <アクティブスキル>
 ヒーリングソング
 アタックソング
 ディフェンスソング
 スピードソング
 シャイン


 <パッシブスキル>
 極限集中
 光魔法適正
 ハープ適正
 直剣適正
 歌適性


 胡桃の職業は歌姫と呼ばれるものであり、 この職業の人間は自身の声を使って歌を歌い、 その歌の種類によって上げたい対象者のステータスを底上げするといったことが主な役割である。
 また例にもれず胡桃にもユニークスキルは存在しており、 名を極限集中と言った。


 「なあ胡桃のユニークスキルの効果ってどういったものなんだ?」
 「ええとね。 このスキルを使っている間はにどんな事をされようが気にせず、 今自身が行っている行動に集中できるみたい。 使いどころとしては私の歌を歌っている最中とかかな」
 「歌を歌うのには集中力がいるのか?」
 「うん。 それに歌の効果はあくまで私が歌を歌っている間だけだからもしその間に敵に攻撃されたら多分痛みで歌を中断しちゃうと思うの。 だからこのスキルは私にとってとてもありがたいものなんだよ!」
 

 胡桃はやや興奮した様子でそう言った。


 「わ、 分かったから落ち着け」
 「ゴメン……」
 「別に謝らなくていいよ」
 「えへへ。 分かった」
 「さてとこれで皆ステータスを確認できたわけだし次は俺のを見せるな。 ステータスオープン」


 三人の反応はシアに見せたときとあまり変わらなかった。


 「優君安心してね。 私が守るから」
 「お、 おう……」
 「ちょっと! 優ちゃんを守るのは私の仕事よ! あんたは胡桃のおもりでもしてなさい!」
 「お姉ちゃん。 冗談にしては全然笑えないよ?」
 「私の言葉は冗談だと思ったならあんたの頭は相当おめでたいわね」
 「あのお三方とも落ち着いてください。 優さんが困っているじゃないですか。 それと優さんの面倒は私が見ますので皆さんはご自分の身を守ることに集中していてください」
 「王女様。 さりげなく毒を吐くのやめてもらえますか? 正直に言いますとかなり不快です」
 「これは失礼いたしました。 優さんの“唯の”幼馴染さん」
 「お前らいい加減にしろ!」


 優が怒鳴っても一向に四人の勢いは止まることはなく、 その醜い言い争いは一時間にわたって続いた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 一時間後。 そこには四人を正座させている優の姿があった。


 「お前ら何か言うことはないのか?」
 「「「「ごめんなさい……」」」」


 四人とて優に迷惑をかけることは本位ではない。
 そのため表面上は反省しているように見せかけてはいた。
 ただし心の中では、 四人とも自分以外の女性をどうやって蹴落そうか黒いこと考えていたのだが四人に甘い優はそのことに気づかなかった。


 「全く。 俺は悲しいよ。 なんでお前たちは仲良くできないんだか……」
 

  この時四人は『お前のせいだよ』とひどく突っ込みたかった。


 「まあさ。 人には相性というものがあるのは俺も理解しているよ? それでも雪達のは異常だよ」
 「だってそれは優ちゃんが……」


 詩織は優が自分達の気持ちを理解してくれないことを不満に思い、 つい本音を漏らしそうになってしまった。


 「何か言いたいことあるの姉さん?」
 「いえ。 何もございません」
 「それなら黙ってて」
 「はい……」
 

 この時詩織以外の三人は優に怒られている詩織を見て嘲笑っていた 
 そんな三人の様子に詩織も気づいたのか下唇を噛み、 怒りをこらえていた。


 「はぁ。 もういいよ。 皆俺の話聞いてみたいだし」
 「優君私はちゃんと聞いていたよ」


 ここで自分は聞いていたアピールをして優に気に入られようとする雪を見て、 三人も負けじと自分も聞いていたとアピールをし始めた。
 そんな様子に優は呆れ果ててしまった。


 「それで俺の話は終わりだけど雪達は何か用事ある?」


 三人は優のその言葉を待っていたと言わんばかりの表情をした。


 「「「ある!」」」
 「それって俺がさっき約束した内容に関係したりするか?」
 「「「うん!」」」
 「やっぱりか……」
 「そりゃあ当然よ!」
 「何せ優君になんでも言うことを聞かせることができるんだからね!」
 「それともお兄ちゃんは私達との約束を破る気だったの?」
 「そ、 そんなわけないよ! ハハハ!」


 優の態度は非常に白々しかった。
 仮にこんな態度に騙される人間がいるとすれば余程の馬鹿ぐらいな物である。


 「さてと。 それじゃあ一番危険性が高い姉さんから」
 「私と結婚して!」
 「はい却下。 第一姉弟で結婚はできないだろうが!」
 「ふふふ、 甘いわね優ちゃん! この世界は、 姉弟でも結婚できるのよ! 本にそう書いてあったわ!」
 「な、 なんだと! そ、 それなら仕方がない。 とでも言うと思ったか! とにかくそれ以外のお願いじゃないとダメ!」
 「ぶ~! わかったわよ。 じゃあこの部屋に私も一緒に住む! そこの赤髪女も一緒に住んでるから別に問題ないでしょ?」
 

 俺はこの言葉にグウの音も出ず、 詩織のこのお願いに対して反論したのは意外にもシア一人であり、 雪と胡桃は詩織の意見を通すようむしろ援護していた。


 「そ、 それじゃあ次は胡桃な」
 「私もお兄ちゃんと同じ部屋に住む!」


 これに対し優は無言で頷くしかなかった。 
 実は胡桃は初めからこのことについてお願いするつもりであった。
 ただし之はあまり優から許可される見込みが高くはなかった。
 そんな時さすがは姉妹と言うべきか詩織は自分と同じ意見を言ってきたのである。
 そのため胡桃は詩織の意見を援護し、 自分の望みを考えようとしたのだ。


 「じゃ、 じゃあ最後に雪」
 

 この時優は内心安堵していた。
 -きっと常識人の雪のことだ。 自分にそう不都合なことはお願いしてこないだろう。
 だが優のそんな期待はあっさり打ち砕かれた。


 「わ、 私も優君と一緒の部屋で一緒に住みたいんだけど......ダメかな?」
 

 ーおう、 雪お前もか。
 雪とて最初からこのようなことを望んでいたわけではない。
 ただ自分以外の女は優に近づくのがどうしても我慢ならなかったのだ。


 「結局皆願い事一緒じゃないか……」


  優はこれからの生活の事を思うとため息しか出てこなかった。
 ちなみに先ほどから会話に参加してこないシアだが部屋の隅で体育座りをしており、 時折ブツブツと一人事を言っていた。
 そんな様子に優は関わらないほうが得策だと判断した。
 

 「そう言えばこの部屋ってベットって一つしかなかったよな?」
  

 それもそのはず何せ元々ここは二人で住む予定であった場所だ。
 一応五人でも寝られないことはないのだがその場合かなり密着しなければならず、寝返りなどはとても打てる状況ではなかった。
 そのため優は自分はソファで寝ると主張したのだがその意見は四人にあっさりとかき消されてしまった。
 その結果優は打つ手がなくなり、 五人で寝ることが決定してしまった。
 そして現在四人は自分がどこで寝るか揉めていた。
 

 「私は優君の隣がいいな?」
 

 雪が懇願するような瞳で優を見る。


「ちょっと待ちなさいよ。 優ちゃんの隣は私よ」
「お姉ちゃんは床で寝なよ。 私がお兄ちゃんの隣で寝るから」
「お三方ともここは元々私と優様の部屋なんです。 ですのでここは家主である私の意見が通されるのは当然の事ではないでしょうか?」
「あんたこそ昨日優ちゃんの隣で寝たんだから今日は我慢しなさいよ」
「あの俺はベットの端で……」
 「「「「それはダメ(です)!」」」」
 「そうですか……」


 結局話し合いで決まることはなく、 じゃんけんをし場所を決めることとなり、 その結果優を真ん中として雪が右隣り、 シアが左隣り、 詩織が雪の後ろ、 胡桃がシアの後ろとなりこれを1日おきにローテーションすることと言った結果に落ち着いた。
 またその他の様々なことについても約束事を設けた。
 例を挙げるとすれば風呂への入浴順なのである。
 

「ふんふ~ん。 ふ~ん」


 今は機嫌よさそうにしているシアだが実は先ほどまでは非常に機嫌が悪く、 雪達の部屋の変更の許可を王に取りに行こうとしなかった。
 そのため優はシアを協力させる為、 城から出たら一日二人きりでデートをしようと提案をしたのだ。
 そこからのシアの動きは迅速であり、 あっという間に王から許可を取ってきた。
 この時優は少々判断を間違えたかもしれないと思ったのだが今更考えたところで後の祭りである。
 その後優たちは何事もなく一日を終えた。

コメント

  • 白華

    主人公キモ

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