異世界を楽しみたい転生者

Gai

第139話少年期[129]自己紹介

ゼルートはローガスの魔槍を持っている右手にスタンの魔法を使い、一瞬だけ痺れさせた。

「がぁ!?」

そしてゼルートは一瞬だけローガスの手から魔槍が離れたのを見逃さず、右足で蹴り飛ばしそのままローガスの腕をつかみ一本背負いをし地面に叩き付けた。

「がはっ!!」

ローガスは地面に勢いよく叩き付けられ、肺の中にあった空気が全て外に出てしまい呼吸がまともに出来なかった。
ゼルートはそんなローガスに手を緩めず、アイテムリングから素早くロングソードを出しローガスの顔の横に突き刺し、一言つぶやいた。

「これ以上戦うってんなら、五体満足は保証しない。こっからは試合じゃなく、殺し合いの死合だ。・・・・・・それでもまだやるか?」

ゼルートがそう言うとローガスは今自分がどのような状況なのかを理解し、悔しそうに顔を歪めた。

その様子を見たガレスは決着が着いたと思い摸擬戦を止めた。

「そこまで!!! 勝者は、冒険者ゼルートだ!!!」

ガレスがそう言うと、周りで模擬戦を見ていた冒険者や商人、一般人から大きな歓声が起きた。
中には今回の模擬戦でどちらが勝つか賭けをしていた者もいたらしく、勝ったの負けただの今日は酒飲み放題だの色々な声がゼルートの耳に入ってきた。

(本当にこの世界の人たちは賭け事が好きみたいだな。俺が確か・・・・・・ドウガンって冒険者と戦った時も賭けをしていた奴が多かったしな。さて、中には商人達もいたみたいだし、俺があの坊ちゃん貴族がアゼレード公爵家の顔に泥を塗るって言った事が現実になりそうだな。まぁ、俺が大声で言ってたっていうのも影響がありそうだが、俺は真実を言っただけなので罪はないだろう・・・・・・おそらく)

ゼルートは今になって自分の言動が少し心配になったが、後の祭りということで気にしない事にした。

戦いを見終えたアレナはゼルートがやりすぎなくて良かったとホッとした。
ルウナは少しだけだが自分が戦っても良かったか? と少し後悔していた。
ガレスはアレナと同じように、ゼルートがローガスを必要以上に叩きのめさなかったのでホッとした。むしろローガス程の技量がある者を、あそこまで簡単に怪我をさせず完勝した事にゼルートへの評価が上がった。

セフィ―レはルウナより自分がやはり戦っておけば良かったという思いが強く、ゼルートが圧勝した事によって自分の考えが間違っていなかったことが証明されて嬉しかったが、少し複雑そうな顔をしていた。

残りの従者三人は自分達が予想していた結果とは全く違う結果になり、驚きを隠せないでいた。
そのうちの従者の中で回復を務める女が、何かに気づいたようでブツブツとつぶやき始めた。

それからはお互いに自己紹介を始めた。

「ガレス殿から聞いているとは思うが私がセフィ―レ・アゼレードだ。武器は主にレイピアを使う。魔法は風と火を使える。短い間だがよろしく頼む。そして出来れば後で私とも摸擬戦をして欲しい」

ゼルートは差し出された手を苦笑いしながら握手した。

(この人も中々に戦闘凶だな。ルウナといい勝負かもな。というかセフィ―レさんがこんな性格ってことはミーユさんも実はこんな性格なのか? ・・・・・・それは嫌だな)

ゼルートの頭の中でのミーユは基本クールで優しい人というイメージなので、出来ればそれが崩れてほしくなかった。

そして次は短髪で茶髪のノリが軽そうな青年が自己紹介をした。

「次は俺だな。初めまして、ソブル・デーケルだ。武器は主に短剣を使う。魔法は土が少し使える。ダンジョン内では斥候を担当することになっている。あんた達の噂は聞いている。頼りにさせてもらうぜ」

ソブルの言葉を聞いてゼルートは、この前のオークとゴブリンの群れを討伐したのをもう知っている事に驚いた。まだ群れを倒し終わってから一週間程度しか経っていない筈なのに、何故もう情報を得ているんだと気になったが、そこは貴族独自の情報網があるんだなと思い納得した。

次にショートカットの男勝りの顔をしている女性の番だ。

「次は私の番だな。名前はカネル・サートリアという。主に使う武器は大剣だ。この中では一応タンクの役割をしている。魔法は水を使うかとが出来る。良ければだが時間があるときに是非私とも摸擬戦をして欲しい。よろしく頼む」

ゼルートはまたか・・・・・・と心の中で大きなため息をついた。

(いや、別に嫌と言うわけではないし、こういう人が嫌いなわけではないんだけど、なんだかな~~~~)

ゼルートは自分の周りにいる戦闘凶の多さに少し頭を悩ませた。
だが、このときゼルートは自分もスイッチが入れば同類だということを、頭からすっぽ抜けていた。

そして最後は大人しそうで、母性がある金髪美人の女性だ。

「最後は私ですね。リシア・ナルファーと申します。武器は主にメイスを使います。魔法は光を主に使い、回復役を務めています。短い間ですがよろしくお願いします」

リシアが頭を下げると修道服? の上からでもわかる大きな胸が強調されゼルートは赤面してしまった。
ゼルート達も軽い自己紹介を終えてから場所に乗り込み目的地のダンジョンがある街、バーコスに向かった。

コメント

  • ノベルバユーザー370362

    噂を聞いていると言っただけなのに、何故一週間前のことと結びついたんだろう。

    0
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品