漆黒王の英雄譚

黒鉄やまと

第32話 魔力は使えなくても

俺が右頬を叩くと親父はぶっ飛んで壁を突き破った。

「・・・・・・あれ?」

「アルト、やり過ぎじゃない?」

「いや、アル兄さん。俺魔力使えないんだよ?5歳の張り手で大の大人が飛ぶなんてあるはずないよ。多分親父が自分から飛んだんだ」

俺は一応目を逸らしてみる。
しかし現実は甘くなかった。

「俺には本当に飛ばされたように見えたが・・・姉上はどうでしたか?」

「私もそう思う。お母様達はどう?」

「ごめんねアルト・・・」

「今のはアルトが飛ばした」

「アルト君ですねぇ〜」

兄弟と母親からの痛恨の一撃!!

「やっぱりそうだったんだ・・・」

親父はゼーダさんに助け出されている。

「けど、どうしてなんだい?アルトは魔力を使えないはずだろう?」

「うん、どうしてだろう・・・」

その日は親父は気絶したままだったので親父ぬきで食事をした。

翌日とりあえずヴァイス兄さんと模擬戦をしてみることにした。
親父達は周りで見ている。

「それじゃあアルトよ。最初は軽く行くか?」

「うん、だんだん早く強くお願い」

「わかった」

そして剣を持ってみる。
剣は鉄製の片手剣。通常の5歳児ならば両手を使ってもモテるはずがない。しかし・・・


「あれ?軽いな」

すんなり持てました。超軽いです。

「親父、この剣紙でできてるとかないよな」

「そんなわけないだろ。」

「だよなぁ・・・とりあえずヴァイス兄さん、お願い」

「おう、わかった」

それから模擬戦をしてみたのだが、ヴァイス兄さんは魔法を使わずに普通にやった。

俺も魔力を使わないで普通にやった。

結果は・・・

「しょ、勝者・・・アルト」

勝ってしまった・・・

「ヴァイス兄さん大丈夫?」

「う、うむ。まさか魔力を使わない相手に負けるとは思わなかった。しかし何故なんだ?」

「うーん・・・みんなはなんかわかる?」

近くに来た家族に聞いてみる。
するとフィーナ姉さんが口を開けた。

「元々の力が凄いんじゃない?」

「基礎身体能力ってこと?」

「だって普通戦う時は魔力で身体強化するでしょ?けどしてないってことはいつもの力ってことじゃないの?」

「なるほど・・・アルト。ステータスを開いてみろ」

「わかった『ステータス』」

名前: アルベルト・クロスフィード
種族: 人族(始祖)

位階: 62
能力: SSS
  -筋力 SSS
  -体力 SSS
  -知力 SS
  -敏速 SSS
  -器用 SS
  -魔法行使力 SSS
  


魔法適性: 炎、水、風、土、光、闇、空間、時間、太陽、月、契約、星座、天体、龍、精霊

スキル: 固有スキル【覡神鳴流】
     固有スキル【我流・聖魔双剣術】
     固有スキル【神眼】
     固有スキル【無限収納】
     固有スキル【創破始焉】
     特殊スキル【世界の瞳】
     加護スキル【神龍化】
     加護スキル【神霊化】
     究極能力アルティメットアビリティ【完全否定】


耐性(常時): 属性魔法耐性、物理攻撃耐性、精神攻撃耐性、状態異常耐性

称号:クロスフィード伯爵家4男、始祖の人族、第一級特異点、神々の神徒、転生者、聖魔滅神剣の主、困難に立ち向かう者、

加護:十二神の加護、八大上級神の加護

「これがアルトのステータスか・・・・・・」

そう言えばステータスを見せたのは初めてだったな・・・

「とんでもないステータスね。あ、これよ。能力のところ。SSSって・・・お父様はどれくらい?」

「Sだな。俺よりも高いのか・・・」

「ということはこれがこんなに高いから魔力で強化しなくても強いってことなんだ」

「それじゃあ魔力を使わなくてもある程度は戦えるってことだな。よし!」

俺はガッツポーズをする。

「けど魔力が使えないと不便よ。私達の生活は魔力に依存している所が多いし、魔道具なんかも魔力を使わないと起動出来ないわよ」

とアイリス母さんが言う。

「そう言えば精霊神の加護が開放されたんだな」

「開放された?どういうことだ?」

「いや、俺の加護が多すぎて一気に加護の力を解放すると魂が壊れて爆発しちゃうらしい。だから、成長と共に少しずつ解放するんだって」

「へぇ、そんなことが出来るのか・・・」

「いや、タクロス様達神だから出来るんだからね」

「わかっているよ。精霊魔法か・・・精霊と契約した者が使えるという魔法だな」

「エルフの人達が使ってるんでしょ?」

「いや?エルフは普通に魔法を使うぞ。確かにエルフは精霊との親和性が他の種族よりも高いから精霊魔法を使う人はいると言われるけど、そこまで多いわけじゃない」

「マジか、初耳学だわ、とある塾講師で顎が出てる有名な某森の1個木をなくした先生も知らないと思う」

「へ?なんて?」

「いや、なんでもない」

俺は精霊魔法の説明を開いた。

精霊魔法
契約した精霊に魔力を渡し、魔法を魔法を行使する。精霊の属性によって魔法の属性が変わる。

「あれ?もしかして・・・」


もしかしたら魔法を使うことが出来るかもしれないぞ・・・・・・

「親父、精霊と契約するにはどうしたらいいの?」

「知るか。知り合いに精霊魔法を使うやつなんていたかなぁ?」

「うーん。私は知らないわ!」

「ん。私も」

「そうね。私も知らないわ。」

親達はダメだった。

「そっか。それじゃあ仕方が無いか。そう言えば親父。アルペリーニ騎士団長がさっさと仕事しろって昨日言ってたよ」

「げ!忘れてた・・・仕方がない。これから行くか」

親父はとぼとぼと戻って行った。

「アルトはこれからどうするの?」

「うーん・・・アシュレイのところにでも行こうかな・・・」

「そう言えば副会長と婚約したんだったな」

「まあね。」

「思いもしなかったなぁ、アルトがアシュレイちゃんと婚約するなんて。」

「俺も王女様と婚約するなんて思いもしなかったよ」

その後俺は馬車を出してもらって王城にやってきた。

「こんにちは」

「こんにちは。クロスフィード家4男アルベルト・クロスフィードです。アシュレイ王女殿下に会いに来ました。これは許可証です。」

「あなたがアシュレイ王女殿下とご婚約された方でしたか。・・・はい。確認しました。どうぞお通り下さい」

「ありがとうございます」

許可証とはハドルフさんが俺が城を出る時にいつでもアシュレイに会いに来れるように用意してもらったものだ。
既に門番の兵士には連絡が行っていたようだ。

俺は王城の中を案内の兵士の後ろを歩く。
しばらく歩くとアシュレイの部屋に着いた。

「アシュレイ王女殿下。アルベルト・クロスフィード様がお越しです。面会をご所望との事です」

兵士の人が扉越しに声をかけると中から声が聞こえた。

「入ってちょうだい」

許可が出たようだ。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

部屋の中に入ると直ぐに抱き上げられる。

「来てくれて嬉しいわ。アルト君」

「ちょっと聞きたいこともあったしね。」

俺の事を抱き上げたのはもちろんアシュレイだ。その横にはクラウディアさんがいる。

「こんにちはクラウディアさん。」

「こんにちは。アルト君」

俺は抱っこされながら挨拶する。

「聞きたいことってなんでしょう?」

「精霊と契約する方法ってどうすればいいかわかる?」

俺は2人に尋ねた。

「アルト君精霊と契約するの?」

「しようと思ってるんだ」

2人はうーんと頭を捻らせる。

「私はわからないですね」

「私もわからないけど、知っている人を知ってるかも」

と、アシュレイは言った。

「ほんと!?その人って・・・」

「多分知っていると思うよ。学院にいるはずだけど」

「なるほど、あの方ですか。そうですね。いると思います」

学院か・・・・・・

「それじゃあ学院に行こっか。紹介してあげる」

「ありがと!アシュレイ」

「うん!」

どうやら学院にいるそうだ。
俺は3人で王城から出て馬車に乗った。



コメント

  • 神弥

    SSSってやばいねwww

    0
  • 音街 麟

    神無月さん
    読み直して来ました。魔力が使えなくなっていたんですよね。究極能力【完全否定】も魔力を使っていましたね…。私の勘違いでした。すみません...。m(_ _)m

    5
  • 神無月

    そもそもそれすら使えない気が...

    2
  • 音街 麟

    究極能力【完全否定】を使えば、魔法を使えるようになるのでは?
    間違えていたらすみません。

    3
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