漆黒王の英雄譚

黒鉄やまと

第5話 1年(2)

次に貴族制度である。
この国の貴族は階級順に下から準男爵、男爵、子爵、伯爵、侯爵=辺境伯爵、公爵という順になっている。
準男爵から子爵までが下級貴族、伯爵から大公までが上級貴族とされている。
準男爵は爵位の継承権がなくその一世代だけの貴族だそうだ。主に一時的に名を上げた人がなる貴族と言われている。
子爵からは人によっては領地を持つことが出来、その分発言権は強くなる。
侯爵と辺境伯爵はだいたい権力は同じとされているが諸外国からの脅威や貿易などによって少しだけ辺境伯爵家の方が強いとされている。現在辺境伯爵家は4つあって北のローランド家、南のセンプトベール家、東のトレイニー家、西のアルステット家の4つだ。この国の最北端、最南端、最東端、最西端に領地を持っていて外国からの防壁とも呼べる爵位にある。これを称して四方辺境伯と言うらしい。なんとも単純。

公爵は王族の兄弟やのし上がった貴族が与えられる爵位だ。と言っても王族の兄弟に大きな権力を与えると反乱を起こされかねないので王族の兄弟達は公爵の中でも大公と呼ばれる地位に着く。他にも公爵家には公爵権限という権利がありその権利によって国王の前に貴族を集めることが出来るとされている。ただし、よっぽどの事がない限り発動されない権限で王国の歴史上でも数少ないそうだ。しかしその権力は絶大で指名された貴族は領地にいたとしても絶対に来なければならない。


そしてついに魔法に関してである。
タクロス様達はこの世界は剣と魔法の世界だと言っていた。つまり、魔法がある。
リリスにお願いして早速魔法に関する本を持ってきてもらった。その本がこちら。

『ゴブリンでもわかる魔法の使い方』

なかなかひどいネーミングで薄っぺらい本だが仕方が無いのだ読むことにした。

まずページをめくると書いてあったのは……


『これは魔法の使い方を学ぶ本です。ゴブリンでも分かります』

いや、知るかよって感じだよな。
次のページからはしっかりしたものだと期待して次のページ。

『まずは体内の魔力を感じましょう』


ふむふむ。体内の魔力か。魔力は体内と空気中にあるらしい。人が魔法を使う時は体内の魔力を使うそうだ。そして体内の魔力はへその辺。要するに丹田のあたりにあるらしい。
早速瞑想をして丹田に集中してみる。

…………

………………

……………………

…………………………

………………………………あっ。

少し腹のあたりが暖かく感じてきた。これが魔力か。さらに集中すると身体をゆっくりとだが循環しているのが分かった。
さらにさらに集中すると少しだが動かせることがわかった。
少しずつ動かしながら次のページをめくる。

『魔力を感じたら指先を意識して詠唱する。火属性を使いたい時は「火よ」、水属性を使いたい時は「水よ」、風属性を使いたい時は「風よ」、土属性を使いたい時は「土よ」、雷属性を使いた時は「雷よ」と唱える。』

指先に集中して詠唱する。

「火よ」

すると2、3センチ程のロウソクのような火を予想していたら50センチ程の火柱がたった。

「うわっ!!」

急いで魔力を拡散させて火を消す。

「びっくりした。これは調整という練習が必要だな」

自分に必要なことを確認した上でページをめくる。

『あとは決められた詠唱をすれば魔法が使えます。』

「え、これで終わり?」

と言ってもう1ページめくる。

『追記。先程の詠唱で自分にどの魔法適性があるのか調べることができます。また、出来ない属性もあるのでちゃんと調べるのでしたらステータスを見た方が早いです。』

「なるほど。この五属性はこの方法で調べることが出来ると。ん?まだページがあるな。」

最後かと思ったページの後にまだあることに気がつきそのページをめくってみる。


『追記2。魔力の増やし方は主にふたつ。1つ目は魔力の循環を鍛える。2つ目は魔力を体内から全て外に出し寝る。この2つをすることによって魔力も増加するし魔法の発動が早くなる。また、魔力の量は人によっては限界が決まっている。』

「へぇ。要するに筋トレと同じか。」

筋トレは筋繊維がちぎれるのを肉体がさらに強い結びにするために治すときに強化して治す。それと同じように魔力も次はなくならないように魔力の限界を増やすことが出来るということだろう。

「じゃあ、しばらくの日課はこれだな。」

と、魔法についても学んでから1年がたった現在、魔力は丹田のあたりにあるのを瞬時に体の端から端まで動かすことができるようになった。さらに気がついたことは身体の1部に魔力を集めればその部分を強化することができるという事だ。例えば足に集めれば普通に走るよりも素早く動くことが出来て、目に集めれば遠くを見ることが出来る、それに魔力を身体の周りに均等に纏わせれば魔力の鎧とすることも出来るしその場合は部分強化だけでなく全体的に強化できることがわかった。


そしてそんなことをしながらさらに1年がたちアルベルトは5歳になった。


コメント

  • ノベルバユーザー339205

    ほんの名前が転生しちゃったよ(いや、ごめん)

    0
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