異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜

カズヤ

ゴールドルーキーは突然に24

残るは旧伯爵邸だけだ。

俺とアリシアは急ぎ旧伯爵邸へ向かった。

旧伯爵邸はその名の通り、占領される前まではこの街の領主が住んでいた建物で、2階建の洋風な造りの荘厳な建物である。

入口にゴブリンが1体立っているが、これをアリシアの魔法で瞬殺する。

ドアを開け中へ入ると大きな回り階段があり、2階と左右へ行ける様になっている。

「アリシアは1階を頼む。俺は2階へ向かう。何度も言うが、くれぐれも無理はするな。魔人と遭遇したら直ぐに知らせろ。」

「了解しました。ワタルさんもお気をつけて。」

そう言って俺達は二手に分かれる。

俺が2階を選んだのは幹部クラスは2階にいる可能性が高いと考えたからだ。

その予想は的中する。

2階へ上がった途端、中からアンデットが3体飛び出してくる。それは上に幹部がいる事を証明していた。

アンデットと対峙して俺は国王から貰った2本の剣を鞘から抜く。
少し短い刃渡りは建物の中で使用するのに合っているし、魔法を使えば先程の様に予想以上の被害を出しかねないと思ったからだ。

身体強化の魔法を無詠唱で自分に向かってかける。

3体の内1体が攻撃を仕掛けてきた瞬間、此方も攻撃を開始する。

イリア様との特訓のお陰で3体のアンデットは殆ど止まっている様に見える。

1体目は上段から袈裟斬りの体制だったので胴を切り裂く、2体目はその動きの流れのまま上段へ剣を持っていき袈裟から下へ向け斬りつける。最後の1体は頭部めがけてもう1本の剣で突き刺した。

意外とあっさり倒せた。
これもイリス様とやった特訓の成果だなと思いながら先程アンデット達が飛び出してきた部屋のドアを開ける。

そこには体長2mを優に超える大きな魔人が座っている。
その両脇にそいつより少し小さい魔人が2体立っており、こいつらが指揮官と士官クラスの魔人だと直ぐに分かる程さっきまでの奴らとは雰囲気が違う。

大将らしき魔人は座ったまま動かない。

「グハハ、人間のクセになかなかやるではないか!先程の爆発も貴様の仕業か?」

さっきの失敗を思い出し、少し恥ずかしくなる。

「あ、あぁ、そうだよ!悪いかよ!」

恥ずかしさのあまり、少しおかしな回答をしてしまった。

「人間の割には強い力を持っている様だが少し調子に乗り過ぎたな。お前ごとき、この2人で十分だ。まぁ、万が一にも勝つ事が出来れば俺様が相手してやるよ。」

えらい余裕だな。
まぁ魔族の中でも上位の自分達が、人間に負けるなんて思わないのが普通なんだろうな。

そう思いながら剣を構える。

そして次の瞬間、左の剣で左手に立っている魔人を突き刺し返す力をそのまま右側に向かわせ右の剣で右手の魔人を斬り倒した。
そしてそのまま目の前に座ったままの大将へと向かう。

刹那の出来事に中央の魔人が気付いたのは自分の喉元へ2本の剣が突き刺さった後だった。

「悪いな。お前と話をする為に来た訳じゃないし、お前に相手をして貰いたい訳でもないんだ。お前より遥かに強い存在を俺は知ってるからな。
まぁ、油断したお前らが悪い。」

「異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く