異世界エルフの奴隷ちゃん
女のバトル!
コツコツと革靴が床を叩く音が建物の中に鳴り響く。
どこにでもある初心者用のダンジョンの中、3人組のパーティーが探索をしていた。
「うぅぅ……。暗い……。怖い……。ご、ご主人さま……。早く帰りましょうよ」
その内の1人はエルフちゃん(仮)。
長身、スタイル抜群の人が多いエルフ族の中にあって、160センチに満たない小柄な女の子だった。
「……ご主人さま。敵の臭いが近くなってきたぜ」
もう1人は犬耳ちゃん(仮)。
身長はエルフちゃんと同じくらい。
頭からピョコンと生えた獣耳が愛らしいライカンの女の子だった。
「2人とも。安心して。俺がついていれば大丈夫だよ」
最後の1人はご主人さま(仮)。チート職業《勇者》を与えられた世界でたった1人の人間にして、エルフちゃんと犬耳ちゃんの保有主であった。
ダンジョンの中では様々な危険、面倒事が付き纏う。
そういう事情もあって金銭に余裕がある冒険者は、奴隷を引き連れてダンジョンに潜ることが多かった。
「おや。さっそく現れたようだね」
ご主人さまが忠告をした直後、暗闇の中から1匹のモンスターが飛び出してくる。
ブルースライム 脅威LV 1
出てきたモンスターはブルースライムであった。
この世界におけるスライムというモンスターは最弱種として知られていた。
中でもブルースライムは水属性魔法に強い耐性を持っている以外に、特筆するべき注意点が存在しない。
「……おりゃあっ!」
ご主人さまの攻撃。ご主人さまは手にした剣でスライムの体を引き裂いた。
戦闘そのものは1秒としないうちに終了する簡単なものであった。
けれども、奴隷ちゃんたちにとっての本当の戦いは――今まさにこの瞬間に訪れようとしていた。
「「流石はご主人さまです!」」
エルフちゃんと犬耳ちゃん。
2人の口から賞賛の声が上がったのは、ほとんど同時のタイミングだった。
「いやー。それほどでも。たかだかスライムだよ?」
「そんなことはありません! たかがスライム! されどスライムですよ!」
「ご主人さまの剣技! 凄かったぜ! まさに神業! オレ、感動しちまったよ!」
「ハハハ。照れるなぁ……」
2人に褒められた気分を良くしたご主人さまは、顔を赤くして俯いていた。
(勝った! オレの方がエルフよりコンマ1秒早かった!)
(何を言っているんですか! 犬耳さん。貴方の『さすごしゅ』からは全く愛を感じられせんでしたよ!)
エルフちゃん&犬耳ちゃんは、周囲に気付かれないよう互いの足を踏みつけあって、対立していた。
どちらがよりご主人さまからの寵愛を受けられるか?
このところ2人は女同士の苛烈なバトルを繰り広げていたのだった。
どこにでもある初心者用のダンジョンの中、3人組のパーティーが探索をしていた。
「うぅぅ……。暗い……。怖い……。ご、ご主人さま……。早く帰りましょうよ」
その内の1人はエルフちゃん(仮)。
長身、スタイル抜群の人が多いエルフ族の中にあって、160センチに満たない小柄な女の子だった。
「……ご主人さま。敵の臭いが近くなってきたぜ」
もう1人は犬耳ちゃん(仮)。
身長はエルフちゃんと同じくらい。
頭からピョコンと生えた獣耳が愛らしいライカンの女の子だった。
「2人とも。安心して。俺がついていれば大丈夫だよ」
最後の1人はご主人さま(仮)。チート職業《勇者》を与えられた世界でたった1人の人間にして、エルフちゃんと犬耳ちゃんの保有主であった。
ダンジョンの中では様々な危険、面倒事が付き纏う。
そういう事情もあって金銭に余裕がある冒険者は、奴隷を引き連れてダンジョンに潜ることが多かった。
「おや。さっそく現れたようだね」
ご主人さまが忠告をした直後、暗闇の中から1匹のモンスターが飛び出してくる。
ブルースライム 脅威LV 1
出てきたモンスターはブルースライムであった。
この世界におけるスライムというモンスターは最弱種として知られていた。
中でもブルースライムは水属性魔法に強い耐性を持っている以外に、特筆するべき注意点が存在しない。
「……おりゃあっ!」
ご主人さまの攻撃。ご主人さまは手にした剣でスライムの体を引き裂いた。
戦闘そのものは1秒としないうちに終了する簡単なものであった。
けれども、奴隷ちゃんたちにとっての本当の戦いは――今まさにこの瞬間に訪れようとしていた。
「「流石はご主人さまです!」」
エルフちゃんと犬耳ちゃん。
2人の口から賞賛の声が上がったのは、ほとんど同時のタイミングだった。
「いやー。それほどでも。たかだかスライムだよ?」
「そんなことはありません! たかがスライム! されどスライムですよ!」
「ご主人さまの剣技! 凄かったぜ! まさに神業! オレ、感動しちまったよ!」
「ハハハ。照れるなぁ……」
2人に褒められた気分を良くしたご主人さまは、顔を赤くして俯いていた。
(勝った! オレの方がエルフよりコンマ1秒早かった!)
(何を言っているんですか! 犬耳さん。貴方の『さすごしゅ』からは全く愛を感じられせんでしたよ!)
エルフちゃん&犬耳ちゃんは、周囲に気付かれないよう互いの足を踏みつけあって、対立していた。
どちらがよりご主人さまからの寵愛を受けられるか?
このところ2人は女同士の苛烈なバトルを繰り広げていたのだった。
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