クラス転移でみんな勇者なのに俺だけ魔王だった件

ニートは引きこもりたい

エルの強さ

突然ですが今、町の外にいます。
あの後、結局町にいる理由もなかったしとりあえず外に出て違う町に向かおうという事にしたが,はっきり言って町を出る時が1番大変だった。
なぜなら今はエルがついてきているわけで当然町に入る時いなかった子供を見て衛兵が怪しんでこちらの事情を根掘り葉掘り聞くものだから仕方なく,本当に仕方なくエルを俺の妹設定にしておいた。
自分で決めておいてなんだがかなり苦しい言い訳だと思う。
ちなみにエルにはとりあえず上は白の布服を着せ下は青のスカートを履かせている。

「そういやエルって戦えるのか?」

俺は唐突にそう思ったので聞いた。

「うん,もちろん戦えるよ。」

もちろんなんだ。

「ちなみにどのくらいの強さなんだ。」

「えーと,上級悪魔くらいなら余裕で倒せるよ。」

えっ,マジで!
悪魔って位は知らんけど俺がこの前倒したムラクモ見たいのだろ。
アレを余裕って,エルさんスゲー。
そんな風に他愛もない会話をしていると急にエルが,

「お兄ちゃん誰か襲われてるよ。」

そんな事を言ってきた。

「襲われてるってどこで?」

「あの森の近くで。
戦況はね女の人がそろそろ襲われそう。」

ちょっと待てそれはかなりマズイだろ。
なんで平然と語ってられるのエルさん。

「どうする助けに行く?」

「知っちゃたからには助けねえとなんか満足しないから助けに行くか。
ついでに実際にエルの戦いを見せてくれよ。」

「うんいいよ。」



「よし,コレでやっと終わったな。」

「意外と粘ったなコイツら。」

「まあまあ、苦労した分コレからお楽しみの時間ってわけだけどな。」

そういう盗賊の周りには10人くらいの兵士が死んでいた。

馬車の中には緑色の髪の女の子が一人とすでに死にかけの老兵が1人いるだけだ。

「お前らさっさと終わらせるぞ。」

盗賊のリーダーがそう言うと部下の1人が

「親方空から女の子が!じゃなくて向こうからガキが2人やってきますぜ。」

何故セリフを間違えたかはわからないが,また獲物が増えたらしい。
そう思ったリーダーはつい口元が緩んでしまった。
相手が魔王と天使とも知らずに。


ゼンたちが馬車に着いた時すでに盗賊は居なくなっていた。

「じゃあエルとりあえず俺は馬車の中を見てくるから周りの奴ら任せたぞ。
お前の実力しっかり見せてもらうからな。」

「うん,任せてお兄ちゃん。」

当然周りに盗賊が隠れている事を知ってるゼンはそう言い馬車の中を確認しようとすると,

「くっ攻めて1人でも道連れに殺してやる。」

そう言いいきなり老兵がゼンに剣を構え突撃してきた。
それをゼンは片手であっさり止め首をトンっとしてしっかり気絶させておいた。
(1度コレやってみたかったんだよね。)
さて,エルの方はどうなったかな。


「さあ、出てきなよおじさん達。」

エルがそう言うと周りの木から数十人の男達が出てきた。

「よくわかったなお嬢ちゃん。
コレでもうまく隠れたつもりだったんだけどねぇ。」

そう言いながらも男は冷や汗をかいていた。
何故,隠れるのに慣れている自分達を簡単に見つけられたか全くわからないしはっきり言って不気味だった。
だが,男の口元はしっかり笑っていた。

すると,突然後ろから数人の盗賊がエルに襲いかかってきた。

魔法を放つ者,剣で刺してくる者色々いたが全員エルに触れれもせず吹き飛んだ。

「私ってそんなに弱そうに見えるのかな?」

ゼンに言われた事を気にしながらも盗賊達に追撃する。

驚いていた盗賊達が再び襲いかかってくると上からの無数の光の矢が落ちてきて盗賊達を殺していく。

「なんだよこの強さただのガキじゃねえ。」

盗賊の1人がそう嘆いていると

「怯えんな,相手はたった1人だ。
数ではこっちが勝ってるんだ行くぞ。」

リーダーに喝を入れられ気をとりなおして今度は遠距離でエルを魔法や弓矢で遅い始める。

無数の飛来物をエルは全てその場から一歩も動かず避け,

「火雷球」

そう唱えると頭上から火と雷をまとった球が落ちてきて盗賊達を襲った。

「「「「「ギャァァァァァァァ」」」」」

「強すぎんだろバケモノかあのガキは!」

そうして圧倒的な力の差を見せつけられやっと盗賊のリーダーは気づいた。
(完全な判断ミスだ。クソ,この場は引くしかねぇ。)
しかしそんな事を目の前の天使が許すはずもなく,

「凍れ。」

その一言でこの森全てが氷の大地に変わった。


馬車から出たゼンは,
んっ?
(この数十秒で何があったんだろーなぁ。)
凍った森を見て現実逃避をしていた。

「あっお兄ちゃん。
ちゃんと1人残らず倒しておいたよ。」

無邪気な笑顔でエルがそう言いながらゼンに抱きついてくる。
(コレ,絶対俺より強いだろ。コレじゃあガイド天使っていうより戦闘天使だろ。)
エルの頭を撫でながらそう思っていると,

「ううーん,一体何がってなんじゃこりゃあー!」

どうやら老兵が目覚めたらしい。
(うんわかるよその気持ち俺もそう思ってるもの。)
心の中でゼンは激しく老兵に同意した。

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