“無能”から始まる世界最強

つかっちゃ

No.44 エルフの国

飛びたってからおよそ3時間ほどしてやっと森の中にある国が見えてきた。

「飛んで3時間か…かなり遠いな」
「エルフは本当に争いが嫌いなのじゃな。こんなに人里から離れた場所に国を作るなんてのう」
「うぅ…疲れました…」

そんな風に上空で駄弁っていると下の方から声が聞こえてきた。

「貴様ら!そこで何をしている!! 」

下を向くと騎士のような格好をしているエルフ達が居た。金髪で美形、そして何より尖った耳をしている。本当にラノベの世界だよなぁと雅久はぼんやり思っていると

「隊長!何も返事はありません!先手必勝ですよ!」
「そうだな。構え準備!」

すると二十人ほどのエルフ達が一糸乱れぬ動きでこちらに弓を構えた。
あれ、エルフって争いを嫌って人里を離れたんじゃなかった?めっちゃ好戦的じゃないですかぁ〜

「放て!!」

すると風魔法が付与された弓を放ってきた。速さはかなりのもので普通の人間なら反応できずに穿たれただろう。しかし

「あ、雅久さん、私が止めますよ」

そういって前に出たのはエマだった。エマは片手を前に出してある妖術を使った。

「獄熱波」

すると何もない空気中から蒸気が発生し始めた。空気に含まれる微細な水分を全て蒸発させるほどの熱が雅久たちの前半分を覆うように形状を変えた。そのうっすらと赤く発光している半透明の防壁は迫り来る矢を全て次の如く消し炭にした。

「リルちゃんやリオさんの防壁を見て妖術で真似出来ないか試していたら出来たものです。どうですか?」
「へぇ、オリジナルか…凄いな」
「エマは雅久のような創造なる強大なスキルなんかは持っていないのに凄いのじゃ」

思った事を言っただけでエマはくねくねと照れ始めた。

「ま、まぁ?ダンジョンの中でも色々と練習しましたし?」
「あ〜はいはいわかってる分かってる。それより早く下に降りようぜ」

そういいエルフ達が居る丁度前辺りに降りた。エルフ達は後ろに控えていた槍兵達が前に出てきて警戒しているがお構い無しだ。さっき褒められてデレデレしているエマは調子に乗って槍兵達の槍の先、鉄の部分のみに獄熱波を発動させ蒸発させた。エルフ達はかなり驚いた様子で腰が引けている者達が多い。

「こらエマ、警戒されるからその辺りでやめとけよ」
「雅久よ、もうすでに最初から警戒されているのじゃ」

すると後ろに控えていた隊長らしき切れ長な目で金髪をポニーテールに纏めた男前な女性が前に出てきた。

「…何しにこの国に来たんだ?」
「俺らは世界を旅しているんだ。暇だったからエルフの国に来た。それだけだな」
「ほぉ…何か身分を証明できるものは?」
「ギルドのカードで良いか?」

そう言いながらリオとエマにもギルドカードを出すように言ってその女隊長に見えるように出した。すると目を見開いて

「なっ……白金ランクだと!?…そういえばさっきそこの白髪男と銀髪女は羽があったような…一体何者なんだお前たちは…」
「俺とその銀髪、リオは竜人族だ。因みにこっちの黒髪はエマで狐人族だな」
「なっ……狐人族と竜人族…!?狐人族ならまだしも竜人族は滅んだのでは無かったのか!?」

女隊長さん、とても動揺している。それもそうだろう。エマは滅多に人目につく場所には出ない種族で、雅久とリオに至っては滅んだとされる竜人なのだから。

「そんな事はどうでもいい。俺らはギルドの依頼を受けに来ただけだ。あと観光な。別に余計なことはしないから安心しろ」
「ふむ…まあ周りの精霊たちがさっきから反応しないところを見ると本当らしいな。いいぞ、さっさといけ」

女隊長はもう興味ないとばかりに周りの人を引き連れてまた見回りに行ったようだ。途中気になるワードがあったので久々のメーティスさんの出番だ!

(なぁ、エルフって精霊がみえるのか?)
「はい。エルフは精霊と契約ができます。ほかの種族だと召喚術を用いなければいけないのですがエルフ達はそこにいるだけで精霊達を呼び寄せます。」
(へぇ、なら俺もやろうと思えば精霊と契約を結ぶ事ができるんだな)
「はい」

へぇ、いい事を知ったな。また今度機会があれば試してみようと思った雅久だった。
街に入る前に雅久は

「そういえば今更だけどエマには武器作ってやってなかったな」
「そういえばそうですね。でも使わなくても大体の敵は倒せてしまうので」
「でもなぁ、一応持っとけ」

雅久はスキル“創造”を使い、ベースを魔鉱石に、神晶石で凝ったデザインにした、持ち手の方に紫色の宝石も埋め込んである“扇子”を作った。

「これはなんですか?」
「扇子だな。効果としてはまだはっきりとできているわけじゃないが妖術使用時のアシストとか魔法使用時の威力増大、魔力消費軽減をつけている」
「す、凄いですね…」
「因みにクラスは俺のベガルタやリオのカドゥケウスと同等だな。まあ、魔扇ってとこだろうな」

そういって雅久はエマにその魔扇を渡す。嬉しいのかエマはほっぺたを染めつつ聞いてきた。

「えっと…名前、つけてくれませんか?」
「ん?名前か。そうだな………魔扇リジルはどうだ?」
「魔扇リジル…いいですね!ありがとう御座います!大切に使いますね!」

そういってエマは嬉しそうに眺め、そして大切に大切に亜空間倉庫にしまった。

「そんじゃ、ギルド行って依頼を受けつつ息抜きするか」
「はい!」「そうじゃな」「きゅう!」

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