世界に復讐を誓った少年
93.僕の女
「あなたとの婚約は無くなったのよ、ローレン。何度言えばわかるの?」
「そんな事は関係ありません。私はあなたを守るために訓練して来て、そして家を抜け出しここまで来たのです。私が何としても守りますから、帝都へ戻りましょう!」
「痛っ!」
エリーゼの腕を遠慮無しに力強く握る男。あいつ僕のものに何をしているんだ。無言のまま屋敷に入ろうとすると
「止まれ。ここから先は皇女殿下の屋敷となっている。許可のない者は入れない」
と、剣を抜いて止められた。リーシャが普段腰に差してある剣に手をかけ前に出ようとするが、手で止める。ミレーヌも睨まないの。
「僕の名前はクロト。エリーゼとは知り合いなのだけど、聞いてないかな?」
「聞いていないな。それと、皇女殿下を呼び捨てにするのは不敬に値する。捕らえさせて貰う」
……全く話を聞かないな、こいつら。仕方ない、ここはエリーゼを呼んだ方が早いか。そう思っていたら、向こうが僕に気が付いてくれた。
先ほどまで、本当に嫌そうな顔をしていたエリーゼだけど、僕を見つけるならぱぁーと表情が明るくなり、こちらへと走ってくる。
僕たちを通さないように剣を構えていた兵士たちを押し退けて僕の前に立つエリーゼ。目をキラキラとさせながら
「ハルト様、お待ちしておりました!」
と、嬉しそうに言ってくれる。可愛い奴め。僕が手を広げてあげると、エリーゼは周りを見て少し恥ずかしそうにしながらも、抱きついて来た。
後ろからは呆れたような声が聞こえてくるけど、許してほしいな。力強く抱きしめると、エリーゼも頭を擦り付けるように抱きついてくる。
僕は彼女の桃色の髪を優しく撫でながらこちらに向けてくる視線の元を見る。さっきまでエリーゼに迫っていた男がこちらを睨んでいた。
僕に抱きつくエリーゼを唖然と見ながらも僕を睨んでくる男。僕はその男に見せつけるように、エリーゼの唇を奪い、小ぶりな胸を掴む。
エリーゼの色っぽい吐息が鼻から抜けるが、僕は気にせず力強く、男へ見せつけるようにエリーゼを貪る。帰る前の1月間ほど、僕を忘れられないように、エリーゼには色々と覚えさせたからね。体が面白いように反応してくれる。
当然、それを黙って見ていられない男は、怒りに赤を通り越して黒へと変わった憤怒の表情でこちらへとやって来る。
「貴様! エリーゼ様に何を!」
「ぶはっ……何をって僕のものであるエリーゼに留守番していたご褒美をあげているんだよ」
「エリーゼ様が嫌がっているだろうが! 今すぐに離れろ!」
ぷっ、何を見当違いな事を言っているんだ、こいつは。今のエリーゼの表情を見て、どうしてそう思えるんだ?
「くくっ、お前はこの表情を見てもそんな事が言えるのか?」
「やんっ、は、恥ずかしいです、ハルト様ぁ」
無理矢理エリーゼの顔を男の方へと向けさせると、エリーゼは腕の中で恥ずかしいと身をよじる。今まで見たことの無いエリーゼの雌としての顔に、男は唖然とした表情で見て来る。
「こういう事だからエリーゼにはもう近づかないでくれるかな? それに、君は1度エリーゼを裏切って、第1皇子の元へと行ったんだろ? 今更婚約者づらして来るなよ」
ヤった後の落ち着いた時間の時に聞いた事がある。彼女には婚約者がいる事を。そいつに裏切られている事も。僕の言葉に狼狽える男は、仕方なかった、とか、父上の命令、だとか、ぶつぶつぶつぶつと情けなく言い訳をしてくる。そして
「……こんな女、エリーゼ様じゃない。こんな娼婦みたいな女、あの、綺麗で美しいエリーゼ様な訳がない。ははっ! そうだ、私は何を勘違いしていたんだ! こんな売女のような女がエリーゼ様なわけないじゃないか! 貴様! エリーゼ様の偽物を使って帝国へ宣戦布告するとは! 万死に値するぞ!」
あーあ、ついに壊れてしまった。自分が受け入れられない現状に、無理矢理勝手な妄想を押し付けて納得し始めた。
それに、可愛いエリーゼに向かって色々と言って来て。殺して……そうだ。
「そこまで言うなら、僕を殺してみろ」
「っ! 死ねっ!」
もう一度男を挑発するようにエリーゼの胸を後ろから左手で鷲掴みするところを見せると、怒り狂った男が剣を振り下ろしてくる。いくら違うと言っても、見た目は……というよりエリーゼ本人だ。なんだかんだ言っても、脳は本人だと思っているのだろう。そして、その本人に対しての僕の行為が許せないようで。
「マルス」
「はっ、はい!」
カンッ! と弾かれる男の剣。僕と男の間に、指示通りマルスが入って来て、男の剣を弾いたのだ。手には黒騎士の職技である装備召喚で召喚された黒剣が握られている。
「こいつに勝てないようじゃあ、僕の相手なんか無理だよ。僕たちの中では1番下だからね」
「ぐっ! しゃ、精進します!」
下と言っても、周りが強過ぎるだけだから気にしなくてもいいのだけど。マルスの実力は普通の大人相手では相手にならない。なんて言ったって、リーシャが師匠として鍛えているからね。当然男も
「なっ!? くっ、くそぉっ!」
マルスに押される一方だ。マルスが剣を上に打ち上げて、同時にがら空きの腹へと蹴りを入れる。男は見るからに貴族の剣だったから、蹴られるなんて思っても見なかったのだろう。驚いた表情で地面に転がる。そして
「け、蹴るなんて卑怯なげへぇ!?」
黒剣が胸元へと突き刺さる。マルスには剣を向けて来た相手には容赦をするなと伝えているし、リーシャも教えている。それに、数回戦争を経験させているから、殺し合いにも少し慣れて来た。こちらが手を抜けば殺されるのを体で実感しているマルスは、忌避感を覚えたとしても、戦いに手を抜いたりはしない。
そんな事をすれば自分が死ぬ他に、後ろの者も傷付くのはわかっているから。マルスの大切な者が。
男は胸元に突き刺さる剣を抜こうと暴れるが、更に深くマルスは突き刺し、男は次第に動かなくなっていく。
元婚約者が死んだというのに、僕に甘えてくるエリーゼ。うんうん、可愛いな。
周りが恐ろしいものを見るような視線を向けてくるけど、僕たちは無視したまま屋敷へと入る。屋敷の中にはみんないるかな?
「そんな事は関係ありません。私はあなたを守るために訓練して来て、そして家を抜け出しここまで来たのです。私が何としても守りますから、帝都へ戻りましょう!」
「痛っ!」
エリーゼの腕を遠慮無しに力強く握る男。あいつ僕のものに何をしているんだ。無言のまま屋敷に入ろうとすると
「止まれ。ここから先は皇女殿下の屋敷となっている。許可のない者は入れない」
と、剣を抜いて止められた。リーシャが普段腰に差してある剣に手をかけ前に出ようとするが、手で止める。ミレーヌも睨まないの。
「僕の名前はクロト。エリーゼとは知り合いなのだけど、聞いてないかな?」
「聞いていないな。それと、皇女殿下を呼び捨てにするのは不敬に値する。捕らえさせて貰う」
……全く話を聞かないな、こいつら。仕方ない、ここはエリーゼを呼んだ方が早いか。そう思っていたら、向こうが僕に気が付いてくれた。
先ほどまで、本当に嫌そうな顔をしていたエリーゼだけど、僕を見つけるならぱぁーと表情が明るくなり、こちらへと走ってくる。
僕たちを通さないように剣を構えていた兵士たちを押し退けて僕の前に立つエリーゼ。目をキラキラとさせながら
「ハルト様、お待ちしておりました!」
と、嬉しそうに言ってくれる。可愛い奴め。僕が手を広げてあげると、エリーゼは周りを見て少し恥ずかしそうにしながらも、抱きついて来た。
後ろからは呆れたような声が聞こえてくるけど、許してほしいな。力強く抱きしめると、エリーゼも頭を擦り付けるように抱きついてくる。
僕は彼女の桃色の髪を優しく撫でながらこちらに向けてくる視線の元を見る。さっきまでエリーゼに迫っていた男がこちらを睨んでいた。
僕に抱きつくエリーゼを唖然と見ながらも僕を睨んでくる男。僕はその男に見せつけるように、エリーゼの唇を奪い、小ぶりな胸を掴む。
エリーゼの色っぽい吐息が鼻から抜けるが、僕は気にせず力強く、男へ見せつけるようにエリーゼを貪る。帰る前の1月間ほど、僕を忘れられないように、エリーゼには色々と覚えさせたからね。体が面白いように反応してくれる。
当然、それを黙って見ていられない男は、怒りに赤を通り越して黒へと変わった憤怒の表情でこちらへとやって来る。
「貴様! エリーゼ様に何を!」
「ぶはっ……何をって僕のものであるエリーゼに留守番していたご褒美をあげているんだよ」
「エリーゼ様が嫌がっているだろうが! 今すぐに離れろ!」
ぷっ、何を見当違いな事を言っているんだ、こいつは。今のエリーゼの表情を見て、どうしてそう思えるんだ?
「くくっ、お前はこの表情を見てもそんな事が言えるのか?」
「やんっ、は、恥ずかしいです、ハルト様ぁ」
無理矢理エリーゼの顔を男の方へと向けさせると、エリーゼは腕の中で恥ずかしいと身をよじる。今まで見たことの無いエリーゼの雌としての顔に、男は唖然とした表情で見て来る。
「こういう事だからエリーゼにはもう近づかないでくれるかな? それに、君は1度エリーゼを裏切って、第1皇子の元へと行ったんだろ? 今更婚約者づらして来るなよ」
ヤった後の落ち着いた時間の時に聞いた事がある。彼女には婚約者がいる事を。そいつに裏切られている事も。僕の言葉に狼狽える男は、仕方なかった、とか、父上の命令、だとか、ぶつぶつぶつぶつと情けなく言い訳をしてくる。そして
「……こんな女、エリーゼ様じゃない。こんな娼婦みたいな女、あの、綺麗で美しいエリーゼ様な訳がない。ははっ! そうだ、私は何を勘違いしていたんだ! こんな売女のような女がエリーゼ様なわけないじゃないか! 貴様! エリーゼ様の偽物を使って帝国へ宣戦布告するとは! 万死に値するぞ!」
あーあ、ついに壊れてしまった。自分が受け入れられない現状に、無理矢理勝手な妄想を押し付けて納得し始めた。
それに、可愛いエリーゼに向かって色々と言って来て。殺して……そうだ。
「そこまで言うなら、僕を殺してみろ」
「っ! 死ねっ!」
もう一度男を挑発するようにエリーゼの胸を後ろから左手で鷲掴みするところを見せると、怒り狂った男が剣を振り下ろしてくる。いくら違うと言っても、見た目は……というよりエリーゼ本人だ。なんだかんだ言っても、脳は本人だと思っているのだろう。そして、その本人に対しての僕の行為が許せないようで。
「マルス」
「はっ、はい!」
カンッ! と弾かれる男の剣。僕と男の間に、指示通りマルスが入って来て、男の剣を弾いたのだ。手には黒騎士の職技である装備召喚で召喚された黒剣が握られている。
「こいつに勝てないようじゃあ、僕の相手なんか無理だよ。僕たちの中では1番下だからね」
「ぐっ! しゃ、精進します!」
下と言っても、周りが強過ぎるだけだから気にしなくてもいいのだけど。マルスの実力は普通の大人相手では相手にならない。なんて言ったって、リーシャが師匠として鍛えているからね。当然男も
「なっ!? くっ、くそぉっ!」
マルスに押される一方だ。マルスが剣を上に打ち上げて、同時にがら空きの腹へと蹴りを入れる。男は見るからに貴族の剣だったから、蹴られるなんて思っても見なかったのだろう。驚いた表情で地面に転がる。そして
「け、蹴るなんて卑怯なげへぇ!?」
黒剣が胸元へと突き刺さる。マルスには剣を向けて来た相手には容赦をするなと伝えているし、リーシャも教えている。それに、数回戦争を経験させているから、殺し合いにも少し慣れて来た。こちらが手を抜けば殺されるのを体で実感しているマルスは、忌避感を覚えたとしても、戦いに手を抜いたりはしない。
そんな事をすれば自分が死ぬ他に、後ろの者も傷付くのはわかっているから。マルスの大切な者が。
男は胸元に突き刺さる剣を抜こうと暴れるが、更に深くマルスは突き刺し、男は次第に動かなくなっていく。
元婚約者が死んだというのに、僕に甘えてくるエリーゼ。うんうん、可愛いな。
周りが恐ろしいものを見るような視線を向けてくるけど、僕たちは無視したまま屋敷へと入る。屋敷の中にはみんないるかな?
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
17
-
-
140
-
-
1978
-
-
4503
-
-
107
-
-
4
-
-
49989
-
-
55
-
-
37
コメント
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
クルトになってたぞ