世界に復讐を誓った少年
79.とある少女の過去(2)
「それじゃあ、始めるぞ。まずはセルシグからだ」
女神様から天啓を貰った日の夜。家族みんな屋敷の地下へとやって来ていた。今から青龍の涙の適性を見るためだ。誰でも使えるみたいだけど、オルタイン家は代々より適性のある方に家を継がせて来たみたい。
お兄は手渡された青龍の涙を力強く握り締めて、魔力を流す。すると、青龍の涙が青く輝いていく。でも、しばらくすると光が収まってしまった。お兄の方を見ると、物凄く疲れた表情を浮かべていた。
「次はシーシャだ。やってみるんだ」
私は言われたようにお兄から青龍の涙を手渡されて、同じように魔力を注ぐ。すると、さっきのお兄以上に輝く青龍の涙。それに青龍の涙から水が溢れ出し、私の体にまとわりついて来るのだ。
「うむ、決まったな。オルタイン家はシーシャに任せる事になる。これからは魔法と同時にその青龍の涙の使い方を学ぶのだ」
えっ? わ、私がオルタイン家を継ぐの? 突然な事にびっくりした私は固まってしまったけど、はじめに動いたのはやっぱりお兄で
「待ってください、父上! それなら私はどうなるのですか!? 天啓を受けてからこの4年間、私は跡を継ぐために学んで来たというのに!」
「セルシグにはシーシャの補佐をして貰いたい。シーシャはまだ子供だ。セルシグ、頼んだぞ」
「……わか、りました」
その日から私の魔法の勉強と共に青龍の涙の使い方の勉強が始まった。毎日学ぶ事が多くて、魔法に合わせて領主になるための勉強もあったから、大変だったけど、パパやママに褒められるのは嬉しかったから頑張った。
だけど、私が勉強を頑張るにつれてお兄は私に接して来なくなった。話すとすれば私が尋ねたりした時ぐらい。お兄から話して来る事は無くなってしまった。
次第に顔を合わせる時間も短くなっていき、お兄は家にいる事も少なくなって来た。
そんな日々が続いて1年近くが経ったある日の事だった。夜遅くで眠っていると自分の部屋に眠っていると、屋敷の中が騒がしいのに気が付いた。寝ぼけながらも起きてみると、屋敷の中で悲鳴が聞こえて来るのだ。
訳もわからずに部屋の中で固まっていると、勢い良く開けられる扉。入って来たのは侍女の1人で所々怪我をしていた。
「お、嬢様、お逃げください」
「な、何があったのよ!」
ふらふらとする侍女に私は慌てて近寄ると、侍女はその場で膝をついてしまう。さっきは気がつかなかったけど、お腹からかなりの血が流れていた。
「この屋敷には賊が入りました……セルシグ様が手引きしたのです。当主様と奥方様はセルシグ様に嵌められて魔力封じの腕輪を付けられて捕らえられました。私はお嬢様をお逃しするように言われて……さあ、早く行きましょう!」
「で、でも、あなた怪我をして。それにパパやママも」
「おっ、こんなところにもいやがったぜ!」
私が侍女と話をしていると知らない男たちが入って来た。侍女は男たちに向けて水魔法を放つ。まるで壁になるかのように溢れ出る水。そして、そのまま侍女は私を担いで窓から飛び出してしまった。
屋敷から逃げる途中で青龍の涙を持つ男と出くわした。侍女は直ぐに男へと攻撃をするけど、男も強かった。結果は相討ち。私は侍女に青龍の涙を託されて、侍女は息を引き取った。私の目に映ったのは、所々から燃える大切な屋敷だった。
それから、私の逃避行が始まった。まずは動き辛いので髪を切って、裏道にいるには派手な服を汚れたものに変えて。
誰か助けてもらえそうな人を探した。その間にパパやママが死んだ事を知り、私は行方不明になっていた。オルタイン家はお兄が継いで、行方不明の私に賞金をかけて探しているそうだ。
絶対に捕まってやるもんか。私は絶対にお兄を……いや、セルシグを許さない。パパをママを大切な居場所を壊したセルシグを許さない。絶対に。
◇◇◇
「それが、2週間前の事でした。セルシグは私を恨んでいたのでしょう。自分がなるはずだった後継者の座を私に取られて」
「……醜い奴だ。いや、それが普通なのか。僕にはそういう経験が無いからわからないけど、それでも、家族を、妹を殺すなんて僕からしたら考えられない……僕が生きていて欲しいと願っても無理だったのに」
「……クロノさん?」
おっと、少し殺気が漏れていたな。僕は首を横に振り、何でもないと伝える。それよりも
「その、君の兄をどうにかしないとね。誰か助けになってくれそうな人はいないのかい?」
「ママに聞いた話なのですが、今の貴族には はそれぞれの派閥があるようなのです。理由は皇帝陛下が、帝位について、1番の支持を得たものに継がせると言ったからです。そのせいで、それぞれの貴族たちが今いるそれぞれの皇族へと派閥が別れました。
その中で四獣家ら、朱雀家と白虎家は第1皇子派、玄武家は第2皇子派、そして、私の家青龍家は第1皇女はに属していました。だから」
「その第1皇女になら助けてもらえるかも知れない?」
僕の言葉に頷くシーシャ。それならやる事は決まったね。何も迷う事は無い。
「それじゃあ、準備したら今夜、城に忍び込もうか」
僕の言葉に唖然とするシーシャ。さて、色々と必要になるから買ってくるかな。さっき作った魔剣も売りに行って材料を買うためのお金も作らないとね。
女神様から天啓を貰った日の夜。家族みんな屋敷の地下へとやって来ていた。今から青龍の涙の適性を見るためだ。誰でも使えるみたいだけど、オルタイン家は代々より適性のある方に家を継がせて来たみたい。
お兄は手渡された青龍の涙を力強く握り締めて、魔力を流す。すると、青龍の涙が青く輝いていく。でも、しばらくすると光が収まってしまった。お兄の方を見ると、物凄く疲れた表情を浮かべていた。
「次はシーシャだ。やってみるんだ」
私は言われたようにお兄から青龍の涙を手渡されて、同じように魔力を注ぐ。すると、さっきのお兄以上に輝く青龍の涙。それに青龍の涙から水が溢れ出し、私の体にまとわりついて来るのだ。
「うむ、決まったな。オルタイン家はシーシャに任せる事になる。これからは魔法と同時にその青龍の涙の使い方を学ぶのだ」
えっ? わ、私がオルタイン家を継ぐの? 突然な事にびっくりした私は固まってしまったけど、はじめに動いたのはやっぱりお兄で
「待ってください、父上! それなら私はどうなるのですか!? 天啓を受けてからこの4年間、私は跡を継ぐために学んで来たというのに!」
「セルシグにはシーシャの補佐をして貰いたい。シーシャはまだ子供だ。セルシグ、頼んだぞ」
「……わか、りました」
その日から私の魔法の勉強と共に青龍の涙の使い方の勉強が始まった。毎日学ぶ事が多くて、魔法に合わせて領主になるための勉強もあったから、大変だったけど、パパやママに褒められるのは嬉しかったから頑張った。
だけど、私が勉強を頑張るにつれてお兄は私に接して来なくなった。話すとすれば私が尋ねたりした時ぐらい。お兄から話して来る事は無くなってしまった。
次第に顔を合わせる時間も短くなっていき、お兄は家にいる事も少なくなって来た。
そんな日々が続いて1年近くが経ったある日の事だった。夜遅くで眠っていると自分の部屋に眠っていると、屋敷の中が騒がしいのに気が付いた。寝ぼけながらも起きてみると、屋敷の中で悲鳴が聞こえて来るのだ。
訳もわからずに部屋の中で固まっていると、勢い良く開けられる扉。入って来たのは侍女の1人で所々怪我をしていた。
「お、嬢様、お逃げください」
「な、何があったのよ!」
ふらふらとする侍女に私は慌てて近寄ると、侍女はその場で膝をついてしまう。さっきは気がつかなかったけど、お腹からかなりの血が流れていた。
「この屋敷には賊が入りました……セルシグ様が手引きしたのです。当主様と奥方様はセルシグ様に嵌められて魔力封じの腕輪を付けられて捕らえられました。私はお嬢様をお逃しするように言われて……さあ、早く行きましょう!」
「で、でも、あなた怪我をして。それにパパやママも」
「おっ、こんなところにもいやがったぜ!」
私が侍女と話をしていると知らない男たちが入って来た。侍女は男たちに向けて水魔法を放つ。まるで壁になるかのように溢れ出る水。そして、そのまま侍女は私を担いで窓から飛び出してしまった。
屋敷から逃げる途中で青龍の涙を持つ男と出くわした。侍女は直ぐに男へと攻撃をするけど、男も強かった。結果は相討ち。私は侍女に青龍の涙を託されて、侍女は息を引き取った。私の目に映ったのは、所々から燃える大切な屋敷だった。
それから、私の逃避行が始まった。まずは動き辛いので髪を切って、裏道にいるには派手な服を汚れたものに変えて。
誰か助けてもらえそうな人を探した。その間にパパやママが死んだ事を知り、私は行方不明になっていた。オルタイン家はお兄が継いで、行方不明の私に賞金をかけて探しているそうだ。
絶対に捕まってやるもんか。私は絶対にお兄を……いや、セルシグを許さない。パパをママを大切な居場所を壊したセルシグを許さない。絶対に。
◇◇◇
「それが、2週間前の事でした。セルシグは私を恨んでいたのでしょう。自分がなるはずだった後継者の座を私に取られて」
「……醜い奴だ。いや、それが普通なのか。僕にはそういう経験が無いからわからないけど、それでも、家族を、妹を殺すなんて僕からしたら考えられない……僕が生きていて欲しいと願っても無理だったのに」
「……クロノさん?」
おっと、少し殺気が漏れていたな。僕は首を横に振り、何でもないと伝える。それよりも
「その、君の兄をどうにかしないとね。誰か助けになってくれそうな人はいないのかい?」
「ママに聞いた話なのですが、今の貴族には はそれぞれの派閥があるようなのです。理由は皇帝陛下が、帝位について、1番の支持を得たものに継がせると言ったからです。そのせいで、それぞれの貴族たちが今いるそれぞれの皇族へと派閥が別れました。
その中で四獣家ら、朱雀家と白虎家は第1皇子派、玄武家は第2皇子派、そして、私の家青龍家は第1皇女はに属していました。だから」
「その第1皇女になら助けてもらえるかも知れない?」
僕の言葉に頷くシーシャ。それならやる事は決まったね。何も迷う事は無い。
「それじゃあ、準備したら今夜、城に忍び込もうか」
僕の言葉に唖然とするシーシャ。さて、色々と必要になるから買ってくるかな。さっき作った魔剣も売りに行って材料を買うためのお金も作らないとね。
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