世界に復讐を誓った少年
50.選べる未来
「……あ〜、かったりぃ〜。なんで俺がこんな離れまで来なきゃ行けねえんだよ。せっかく女どもと遊んでたのによ」
「仕方なかろう。以前現れた目標を神官どもに任せていたら逃したのだから。あのお方も今回は逃がすわけないと思っているのだ」
「はぁ、あの人が1回でもヤラせてくれるなら俺もやる気が出るだがなぁ」
「口を慎め、蟹座。私だからまだいいものの、あの方の信者なら、お前の事を殺しに来るぞ?」
「はっ、殺せるもんなら殺してみろってんだよ。はぁ、速くつかねえかねぇ?」
「ふん、聖王国最速のペガサスに乗っていると言うのに。本来なら馬車で1年近くかかる距離を2週間で飛ぶのだぞ? 贅沢を言うな」
「へいへい。あーあ、向こうで良い女はいないかねぇ。そういえば、目標も女だっけ? 可愛かったら殺す前に楽してもらおうかね」
◇◇◇
「……そんなもの認められるわけないだろう」
僕の前で忌々しそうに僕を睨みつけて来る国王。周りに座る大臣たちも僕を睨んで来る。全員が射殺すように視線を向けて来る中、ミレーヌはにこにこと、フィアは不安そうに、僕は悠々と席に座る。
「今回の件は私の確認不足にあっただろう。父……国王陛下もこんな私のために手を打ってくれた。その結果に少し不手際があったが、結果的には約束は守られた。それではダメなのか?」
「ふーん、国はその程度の事も守れないのにか?」
「……それは」
僕の言葉に顔を顰める王太子。しかし、今回の事は自分が原因のため強く言えないようだ。
「まあ、考えといてよ。国が無くなるのとどっちが良いか」
それだけ言い残して僕は部屋を出る。この後は僕に対する罵言雑言の嵐だろう。
「ハルト様は意地悪ですね。夜と一緒です!」
「……その言い方はやめてくれよ。それに意地悪じゃ無いよ」
にこにこしながらそんな事を言うのはやめてくれよ。恥ずかしいじゃないか。
「でも、あの人たちには決められないと思いますよ。この国からフィストリア教を追い出すなんて」
笑いながらそんな事を言ってくるミレーヌ。彼女が今言った内容は、僕が先ほど国王たちへと提案した事だ。
僕の最終的な目標はフィストリアを殺す事だ。それまでに少しでも教会の力を削ごうと考えたのが今回の事だ。
別に1つ1つ潰していっても良いのだけど、それこそ時間がかかってしまう。この大陸の人族の国に必ずあるからね。
まあ、大抵の国が教会を追い出すなんて出来ないだろう。そんな事をすればこの大陸最大の大国、フィスランド聖王国と敵対する事になる。
こんな端っこの国だとそんな事は無いだろうけど、それでも国民の大半が信仰しているため問題は必ず起こるだろう。
まあ、教会をこの国から追い出すのは無理だと僕も思う。その結果、国王たちがどのように行動を起こすのかが楽しみなのだけどね。
「……あなたたちはこの国をどうしたいのだ」
そんな事を考えていると、後ろからぽつりとかけられる声。振り返れば、少し離れたところで立ち止まっていたフィアがいた。綺麗な顔を歪ませて、手をぎゅっと握って僕を見ていた。
「この国を乗っ取るわけでもない。かといって放って置くわけでもない。中途半端に口を出して皆を惑わせる。あなたたちは何がしたいのだ! 目的を果たしたのならさっさと出て行ってくれ!」
涙を零しながら激しく叫ぶフィア。ここまで我慢していたのが爆発しちゃったかな? それを見たミレーヌが怒り露わにして、フィアに何かを言おうとするけど僕が手で制する。
ふむ、この国の事は正直言ってどうでも良い。隷属していない奴らなんて全く信用出来ないしね。現に国王たちの事なんか全く信用していない。裏切ら事を前提に全て進めている。
だけど……うん、これも運命ってやつかな? そういうのは信じた事なかったけど、この国を選んだお陰でミレーヌに会えたし、フィアにも会えた。それにマルスとティエラという拾い物もあった。
それにどうせこの国の名前を借りるのだ。ついでに行っていっても良いだろう。僕はフィアの下まで行き、綺麗な顎に手を添えて顔を上げさせる。僕と視線が交わるティア。
「な、何を……」
「フィア、君がこの国の女王になれ。そうすれば僕は自分の持てる力を全て使ってこの国を守ってあげるよ」
「なっ!?」
僕の提案に驚きの声を上げるフィア。彼女が女王になれば、間接的にはこの国は僕の物になる。僕が王になっても良いけど向いてないからね。そんな事をしている暇も無いし。
「そ、そんな事を……それは父上とヘンリルを殺せと言っているようなものじゃ無いか!」
「別に殺さなくても良いよ。隠居なりなんなりさせればいい。まあ、僕的には反乱などが起きないように殺した方が良いのだけど。
だけど、これはかなりの譲歩だと思って欲しい。正直に言えば僕は自分の物以外はどうでも良い。殺したい、憎いとすら思っている。それなのに、殺さないでいるのは生活のためでもあるけど、今は僕の配下であるフィア、君がそう願うからだ。その気になればいつでも殺せるのを、していないのは君が自分を犠牲にしているからだ。その事を考えて欲しい」
「わ、私は……」
「まあ、直ぐに決める必要はない。考えるといいよ。どれがこの国のためになるか。ただ、間に合わないようにはしないとね。取り返しのつかない事になった時に後悔しても遅いから」
僕はそれだけ言ってその場を後にした。途中でミレーヌが「やっぱり意地悪ですぅ」と言ってきたが、そんな事は無い。殆ど選択肢が無いとしても自分の未来を選ぶ機会があるだけマシだ。僕みたいに一方的に消される事だってあるのだから。
「仕方なかろう。以前現れた目標を神官どもに任せていたら逃したのだから。あのお方も今回は逃がすわけないと思っているのだ」
「はぁ、あの人が1回でもヤラせてくれるなら俺もやる気が出るだがなぁ」
「口を慎め、蟹座。私だからまだいいものの、あの方の信者なら、お前の事を殺しに来るぞ?」
「はっ、殺せるもんなら殺してみろってんだよ。はぁ、速くつかねえかねぇ?」
「ふん、聖王国最速のペガサスに乗っていると言うのに。本来なら馬車で1年近くかかる距離を2週間で飛ぶのだぞ? 贅沢を言うな」
「へいへい。あーあ、向こうで良い女はいないかねぇ。そういえば、目標も女だっけ? 可愛かったら殺す前に楽してもらおうかね」
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「……そんなもの認められるわけないだろう」
僕の前で忌々しそうに僕を睨みつけて来る国王。周りに座る大臣たちも僕を睨んで来る。全員が射殺すように視線を向けて来る中、ミレーヌはにこにこと、フィアは不安そうに、僕は悠々と席に座る。
「今回の件は私の確認不足にあっただろう。父……国王陛下もこんな私のために手を打ってくれた。その結果に少し不手際があったが、結果的には約束は守られた。それではダメなのか?」
「ふーん、国はその程度の事も守れないのにか?」
「……それは」
僕の言葉に顔を顰める王太子。しかし、今回の事は自分が原因のため強く言えないようだ。
「まあ、考えといてよ。国が無くなるのとどっちが良いか」
それだけ言い残して僕は部屋を出る。この後は僕に対する罵言雑言の嵐だろう。
「ハルト様は意地悪ですね。夜と一緒です!」
「……その言い方はやめてくれよ。それに意地悪じゃ無いよ」
にこにこしながらそんな事を言うのはやめてくれよ。恥ずかしいじゃないか。
「でも、あの人たちには決められないと思いますよ。この国からフィストリア教を追い出すなんて」
笑いながらそんな事を言ってくるミレーヌ。彼女が今言った内容は、僕が先ほど国王たちへと提案した事だ。
僕の最終的な目標はフィストリアを殺す事だ。それまでに少しでも教会の力を削ごうと考えたのが今回の事だ。
別に1つ1つ潰していっても良いのだけど、それこそ時間がかかってしまう。この大陸の人族の国に必ずあるからね。
まあ、大抵の国が教会を追い出すなんて出来ないだろう。そんな事をすればこの大陸最大の大国、フィスランド聖王国と敵対する事になる。
こんな端っこの国だとそんな事は無いだろうけど、それでも国民の大半が信仰しているため問題は必ず起こるだろう。
まあ、教会をこの国から追い出すのは無理だと僕も思う。その結果、国王たちがどのように行動を起こすのかが楽しみなのだけどね。
「……あなたたちはこの国をどうしたいのだ」
そんな事を考えていると、後ろからぽつりとかけられる声。振り返れば、少し離れたところで立ち止まっていたフィアがいた。綺麗な顔を歪ませて、手をぎゅっと握って僕を見ていた。
「この国を乗っ取るわけでもない。かといって放って置くわけでもない。中途半端に口を出して皆を惑わせる。あなたたちは何がしたいのだ! 目的を果たしたのならさっさと出て行ってくれ!」
涙を零しながら激しく叫ぶフィア。ここまで我慢していたのが爆発しちゃったかな? それを見たミレーヌが怒り露わにして、フィアに何かを言おうとするけど僕が手で制する。
ふむ、この国の事は正直言ってどうでも良い。隷属していない奴らなんて全く信用出来ないしね。現に国王たちの事なんか全く信用していない。裏切ら事を前提に全て進めている。
だけど……うん、これも運命ってやつかな? そういうのは信じた事なかったけど、この国を選んだお陰でミレーヌに会えたし、フィアにも会えた。それにマルスとティエラという拾い物もあった。
それにどうせこの国の名前を借りるのだ。ついでに行っていっても良いだろう。僕はフィアの下まで行き、綺麗な顎に手を添えて顔を上げさせる。僕と視線が交わるティア。
「な、何を……」
「フィア、君がこの国の女王になれ。そうすれば僕は自分の持てる力を全て使ってこの国を守ってあげるよ」
「なっ!?」
僕の提案に驚きの声を上げるフィア。彼女が女王になれば、間接的にはこの国は僕の物になる。僕が王になっても良いけど向いてないからね。そんな事をしている暇も無いし。
「そ、そんな事を……それは父上とヘンリルを殺せと言っているようなものじゃ無いか!」
「別に殺さなくても良いよ。隠居なりなんなりさせればいい。まあ、僕的には反乱などが起きないように殺した方が良いのだけど。
だけど、これはかなりの譲歩だと思って欲しい。正直に言えば僕は自分の物以外はどうでも良い。殺したい、憎いとすら思っている。それなのに、殺さないでいるのは生活のためでもあるけど、今は僕の配下であるフィア、君がそう願うからだ。その気になればいつでも殺せるのを、していないのは君が自分を犠牲にしているからだ。その事を考えて欲しい」
「わ、私は……」
「まあ、直ぐに決める必要はない。考えるといいよ。どれがこの国のためになるか。ただ、間に合わないようにはしないとね。取り返しのつかない事になった時に後悔しても遅いから」
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コメント
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
信者がいない神は無能神だからか?