世界に復讐を誓った少年
33.王城での戦い
「行ケ、オ前タチ」
ネロの指示に動き出すオプスキラー。あんまり殺すなよー。生きている兵士も少な過ぎると困るからな。
そして、流石にさっきの門を破壊する音のせいか、城の中から兵士がやってくる。外からもやってきた。あらら、普通に挟まれてしまった。
「な、何だこの化け物は!?」
「怯むな、お前たち! 将軍たちがいない今、王都を守るのは俺たちの役目だ! 攻撃開始!」
現れた兵士たちはオプスキラーに向かって魔法を放ってくる。放ってくる魔法で多いのはやはり火魔法だろう。死霊系の魔物だとわかっていれば使ってくるからな。だけど、その事を対策していないわけないだろ?
オプスキラーの体内には、吸魔結晶というのが埋められている。僕の魔力で作った人工の魔結晶を使って、クロノが作ったものだ。初めにクロノが作った吸魂のネックレスを参考にされている。
吸魔結晶はその名の通り魔力を吸収する結晶であり、内外問わずに装備している者に触れる魔力を吸収する。
なので、敵からの攻撃である魔法の魔力すら吸収してしまうのだ。これで、オプスキラーに対する火の魔法も吸収している。
ただ、当然ながらデメリットがある。それは、装備者自身の魔力も吸収してしまう事だ。そのため、装備者は魔法を放つ事が出来ず、装備している間も自身の魔力が吸われてしまつのだ。
目の前のオプスキラーたちも現在進行形で吸われている。こいつらは、魔力が無くなると死体に戻ってしまうので、それまでにある程度進まないと行けない。吸魔結晶は、防御の面では便利だが、改良の余地は大いにありだな。
ただ、それを差し引いても使えるし、元々魔法の使えないオプスキラーたちには関係無い。あいつらの強さは、物理攻撃を殆ど受けない防御力と、全てを叩き潰す攻撃力だ。
今も、兵士たちを襲っている。あんな筋力で殴られたら、鎧を着た兵士でも耐えきれないだろう。あっ、そうだ。あいつも使おう。
「ネロ、あいつらを使おう。いい、ミレーヌ?」
「私は構いません。ハルト様のご意志のままに」
ミレーヌの頷きを見て、再びネロに指示を出す。ネロはニヤリと笑った……様な雰囲気を出して地面に手を付ける。そして、魔力を注ぐと、新たな僕が地面から現れる。
現れたのは4体の魔物。1体目は全身を赤く染めた魔物。2体目は首のない巨人。3体目は目や口を縫われて閉ざされた女。そして4体目は右腕が剣と一体化したゾンビ。
こいつらは、ミレーヌの元仲間とAランク冒険者だ。あの時殺した後に改造して配下にしておいたのだ。
ミレーヌに暴言を吐いていたリーダーっぽい奴は、ゾンビの上位種であり、鋭い爪と毒を持つクリムゾンリーパーへと。
盾を持っていたでかい奴は、リーシャと近しい種族であるジャイアントデュラハンに。
ミレーヌに命乞いをしていた女は、呪いを与える魔物、カースエンチャンターへとなった。
最後のAランクの冒険者は、右手が風の魔剣と融合したゾンビソルジャーと。
それぞれが強力な新たな僕となったのだ。ミレーヌは何か感じるかな? と、思ったけど、僕の役に立てるのが羨ましいと、彼らに嫉妬をしていた。可愛い。ミレーヌは側にいるだけで役に立っているから。こんなささくれた心を持つ僕を癒してくれる存在として。
「行ケ」
ネロの指示で走り出すクリムゾンリーパーとゾンビソルジャー。ジャイアントデュラハンはカースエンチャンターを守るように立ち、カースエンチャンターは縫われているはずの口から、呪いの呪文を唱える。
「は、速い!? ぼ、ぼうぎょ、ぎゃ!」
「や、奴らを近づけさ……へぇ」
クリムゾンリーパーが1番前にいた兵士の喉元を爪で突き刺し、指示を出す兵士へとゾンビソルジャーは風の刃を放った。風の刃により首が飛ぶ兵士。
それから他の兵士はというと、耳元を抑えて膝をつき始める。カースエンチャンターの呪いが効き始めたのだ。兵士たちの耳には、死者の叫びが聞こえているだろう。だが、それが効くのは魔力抵抗の低い奴だけだ。
兵士のうちの何人かは、カースエンチャンターの呪いを耐えて、オプスキラーたちと交戦している。まあ、こちらが押しているのには変わりないが。
「燃え散れ!」
しかし、次の瞬間、オプスキラーたちが一瞬に消し炭へと変わってしまった。へぇ、噂通りだね。兵士たちの後ろから、後ろで一括りにした赤紙を揺らしながら、悠然と歩む女性。手には炎を纏わせた剣が握られている。ふむ、彼女が……。
「私の大切な家族である民を、大切な家であり伝統ある王城を汚すことは許さん! メストア王国第1王女、アークフィア・メストアの名にかけて、貴様たち侵入者を倒す!」
そう言い、更に炎の勢いが増した剣を振る。各国から『炎姫』と、呼ばれる女性、アークフィア・メストアか。噂に違わぬ実力はあるようだ。まずは様子見でクリムゾンリーパーとゾンビソルジャーを向かわせる。
まずはゾンビソルジャーが風を纏わせた右腕の剣を振り下ろす。炎姫はそれを下から剣で弾くと、そのままゾンビソルジャーを切り裂いた。中々の速さだ。
咄嗟に横にずれたため、ゾンビソルジャーは左腕が切り落とされただけだが、切り口から発火し、ゾンビソルジャーを燃やそうとしている。
炎姫は、そのままゾンビソルジャーにとどめを刺そうとするが、入れ替わるようにクリムゾンリーパーが爪を振る。炎姫も爪から出る毒に気が付いているのか、掠らないように大きく避けて、炎の斬撃で放ち牽制してくる。
クリムゾンリーパーは近づく事が出来ずに体中を斬撃で切られ既に満身創痍だ。やっぱり、炎姫相手では荷が重かったか。せっかくの能力の持つ配下だ。ここで消えても痛手にはならないが、いないよりいた方が良い。
ネロに指示を出して彼らを下がらせる。それと同時に近寄らせないため、ミレーヌに魔法を放ってもらい、先程の炎姫のように牽制をしてもらう。
だが、残念な事にこちらの魔法は彼女の炎に燃やされてしまった。直径が30センチほどの球体が彼女を守るように浮いているのだ。そして、魔法が迫ると自動的に防御するのだ。2つ同時でも分裂して防いでくる。いいなぁ、あれ。僕も後でやってみよう。
それよりも、炎姫の登場で士気が上がるメストア王国兵士たち。背後のオプスキラーはまだ存在しているが、炎姫側の方は既に倒し切られてしまった。
まさか、吸魔結晶の許容量を超えるとは。恐ろしい程の魔力の量だな、炎姫。吸収しきれなかった炎でオプスキラーたちが焼かれてしまったのだから。
仕方ないが、ここは予定通りに行くとしようか。僕も戦ってみたいのだけど、彼女が出た方が確実だ。今は任せるとしよう。将来的には僕が出ても勝てるようにはするけど。
「それじゃあ、予定通り任せたよ、リーシャ。ミレーヌは僕たちを守るために防御魔法を。巻き込まれるのはごめんだからね」
「わかりました!」
「ふふっ、任せろマスター。主の剣である私が道を切り開いてやる!」
僕がお願いした事が嬉しいのか、楽しそうに歩み出すリーシャ。彼女の周りが輝き出すと、彼女に付き添うように回る7本の剣。確か彼女にも二つ名があるとか言っていたな。それは
「『七剣』のリーシャ、マスターの命により、貴様を倒させてもらう!」
さあ、炎姫よ。彼女に本気を出させる事が出来るかな?
ネロの指示に動き出すオプスキラー。あんまり殺すなよー。生きている兵士も少な過ぎると困るからな。
そして、流石にさっきの門を破壊する音のせいか、城の中から兵士がやってくる。外からもやってきた。あらら、普通に挟まれてしまった。
「な、何だこの化け物は!?」
「怯むな、お前たち! 将軍たちがいない今、王都を守るのは俺たちの役目だ! 攻撃開始!」
現れた兵士たちはオプスキラーに向かって魔法を放ってくる。放ってくる魔法で多いのはやはり火魔法だろう。死霊系の魔物だとわかっていれば使ってくるからな。だけど、その事を対策していないわけないだろ?
オプスキラーの体内には、吸魔結晶というのが埋められている。僕の魔力で作った人工の魔結晶を使って、クロノが作ったものだ。初めにクロノが作った吸魂のネックレスを参考にされている。
吸魔結晶はその名の通り魔力を吸収する結晶であり、内外問わずに装備している者に触れる魔力を吸収する。
なので、敵からの攻撃である魔法の魔力すら吸収してしまうのだ。これで、オプスキラーに対する火の魔法も吸収している。
ただ、当然ながらデメリットがある。それは、装備者自身の魔力も吸収してしまう事だ。そのため、装備者は魔法を放つ事が出来ず、装備している間も自身の魔力が吸われてしまつのだ。
目の前のオプスキラーたちも現在進行形で吸われている。こいつらは、魔力が無くなると死体に戻ってしまうので、それまでにある程度進まないと行けない。吸魔結晶は、防御の面では便利だが、改良の余地は大いにありだな。
ただ、それを差し引いても使えるし、元々魔法の使えないオプスキラーたちには関係無い。あいつらの強さは、物理攻撃を殆ど受けない防御力と、全てを叩き潰す攻撃力だ。
今も、兵士たちを襲っている。あんな筋力で殴られたら、鎧を着た兵士でも耐えきれないだろう。あっ、そうだ。あいつも使おう。
「ネロ、あいつらを使おう。いい、ミレーヌ?」
「私は構いません。ハルト様のご意志のままに」
ミレーヌの頷きを見て、再びネロに指示を出す。ネロはニヤリと笑った……様な雰囲気を出して地面に手を付ける。そして、魔力を注ぐと、新たな僕が地面から現れる。
現れたのは4体の魔物。1体目は全身を赤く染めた魔物。2体目は首のない巨人。3体目は目や口を縫われて閉ざされた女。そして4体目は右腕が剣と一体化したゾンビ。
こいつらは、ミレーヌの元仲間とAランク冒険者だ。あの時殺した後に改造して配下にしておいたのだ。
ミレーヌに暴言を吐いていたリーダーっぽい奴は、ゾンビの上位種であり、鋭い爪と毒を持つクリムゾンリーパーへと。
盾を持っていたでかい奴は、リーシャと近しい種族であるジャイアントデュラハンに。
ミレーヌに命乞いをしていた女は、呪いを与える魔物、カースエンチャンターへとなった。
最後のAランクの冒険者は、右手が風の魔剣と融合したゾンビソルジャーと。
それぞれが強力な新たな僕となったのだ。ミレーヌは何か感じるかな? と、思ったけど、僕の役に立てるのが羨ましいと、彼らに嫉妬をしていた。可愛い。ミレーヌは側にいるだけで役に立っているから。こんなささくれた心を持つ僕を癒してくれる存在として。
「行ケ」
ネロの指示で走り出すクリムゾンリーパーとゾンビソルジャー。ジャイアントデュラハンはカースエンチャンターを守るように立ち、カースエンチャンターは縫われているはずの口から、呪いの呪文を唱える。
「は、速い!? ぼ、ぼうぎょ、ぎゃ!」
「や、奴らを近づけさ……へぇ」
クリムゾンリーパーが1番前にいた兵士の喉元を爪で突き刺し、指示を出す兵士へとゾンビソルジャーは風の刃を放った。風の刃により首が飛ぶ兵士。
それから他の兵士はというと、耳元を抑えて膝をつき始める。カースエンチャンターの呪いが効き始めたのだ。兵士たちの耳には、死者の叫びが聞こえているだろう。だが、それが効くのは魔力抵抗の低い奴だけだ。
兵士のうちの何人かは、カースエンチャンターの呪いを耐えて、オプスキラーたちと交戦している。まあ、こちらが押しているのには変わりないが。
「燃え散れ!」
しかし、次の瞬間、オプスキラーたちが一瞬に消し炭へと変わってしまった。へぇ、噂通りだね。兵士たちの後ろから、後ろで一括りにした赤紙を揺らしながら、悠然と歩む女性。手には炎を纏わせた剣が握られている。ふむ、彼女が……。
「私の大切な家族である民を、大切な家であり伝統ある王城を汚すことは許さん! メストア王国第1王女、アークフィア・メストアの名にかけて、貴様たち侵入者を倒す!」
そう言い、更に炎の勢いが増した剣を振る。各国から『炎姫』と、呼ばれる女性、アークフィア・メストアか。噂に違わぬ実力はあるようだ。まずは様子見でクリムゾンリーパーとゾンビソルジャーを向かわせる。
まずはゾンビソルジャーが風を纏わせた右腕の剣を振り下ろす。炎姫はそれを下から剣で弾くと、そのままゾンビソルジャーを切り裂いた。中々の速さだ。
咄嗟に横にずれたため、ゾンビソルジャーは左腕が切り落とされただけだが、切り口から発火し、ゾンビソルジャーを燃やそうとしている。
炎姫は、そのままゾンビソルジャーにとどめを刺そうとするが、入れ替わるようにクリムゾンリーパーが爪を振る。炎姫も爪から出る毒に気が付いているのか、掠らないように大きく避けて、炎の斬撃で放ち牽制してくる。
クリムゾンリーパーは近づく事が出来ずに体中を斬撃で切られ既に満身創痍だ。やっぱり、炎姫相手では荷が重かったか。せっかくの能力の持つ配下だ。ここで消えても痛手にはならないが、いないよりいた方が良い。
ネロに指示を出して彼らを下がらせる。それと同時に近寄らせないため、ミレーヌに魔法を放ってもらい、先程の炎姫のように牽制をしてもらう。
だが、残念な事にこちらの魔法は彼女の炎に燃やされてしまった。直径が30センチほどの球体が彼女を守るように浮いているのだ。そして、魔法が迫ると自動的に防御するのだ。2つ同時でも分裂して防いでくる。いいなぁ、あれ。僕も後でやってみよう。
それよりも、炎姫の登場で士気が上がるメストア王国兵士たち。背後のオプスキラーはまだ存在しているが、炎姫側の方は既に倒し切られてしまった。
まさか、吸魔結晶の許容量を超えるとは。恐ろしい程の魔力の量だな、炎姫。吸収しきれなかった炎でオプスキラーたちが焼かれてしまったのだから。
仕方ないが、ここは予定通りに行くとしようか。僕も戦ってみたいのだけど、彼女が出た方が確実だ。今は任せるとしよう。将来的には僕が出ても勝てるようにはするけど。
「それじゃあ、予定通り任せたよ、リーシャ。ミレーヌは僕たちを守るために防御魔法を。巻き込まれるのはごめんだからね」
「わかりました!」
「ふふっ、任せろマスター。主の剣である私が道を切り開いてやる!」
僕がお願いした事が嬉しいのか、楽しそうに歩み出すリーシャ。彼女の周りが輝き出すと、彼女に付き添うように回る7本の剣。確か彼女にも二つ名があるとか言っていたな。それは
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