悪役令嬢を助けるために俺は乙女ゲームの世界を生き抜く!
39.攻略対象
「……ふう、中々のボリュームの上、美味しかったな」
俺は目の前の食べ尽くして何も乗っていない皿を見て呟く。俺が頼んだのはオーク肉のステーキ定食というかなり量の多い定食だ。
ファンタジー世界で有名なオークの肉を厚く切った肉に、食堂で作られた特製タレがかかったステーキで、ゲームの世界のせいか何故かあるご飯と一緒に食べると止まらなくなる、とても食べ応えのある定食だった。
「確かに美味であった。ここのシェフを褒めてやろう」
俺の隣に座るユータスがそんな偉そうな事を言っているが、このメンバーの中で1番早く美味しそうに食べていたのはユータスだ。これは照れ隠しなのだろう。
「でも、女の子には少し量が多いわね。もう少し少な目でも良いかしら」
「そうですね。この栄養が貴方みたいに胸にいけば良いのですが、お腹周りだと困ります」
そう話すのはクロエとユーリエの2人。クロエの隣でエンフィも自分のお腹を触っていた。2人ともそんな気にする事ないと思うけどな。
その2人を見た後に机の一番端に座る女生徒、メルフィーレの方を見ると
「ねえねえ、学園生活どんな感じ? 楽しい?」
と、エレネが絡んでいた。学園生活どう、って、まだ始まって1日しか経ってないのに答えにくいだろうに。
「……わ、私はその、今まで見て来た世界と違い過ぎて、少し困惑しています」
「あー、わかるそれ。わたしも今まで(前世)とは全く違う生活だから少し慣れるのに苦労したもの」
「もう慣れたのですか? 私はまだ慣れません。今まで(孤児院)の生活とはかけ離れ過ぎて……」
……なんだか、微かに話が噛み合っていないような。それでも、楽しそうに話しているから……いいのか?
「そ、それで、どうしてメルフィーレさんは、レストランの方にいたのですか? 誰かと食事でも?」
そこに俺も尋ねようと思っていた事を代わりに尋ねてくれたマイル。マイルの言葉を聞いてメルフィーレは、顔をうつむかせてしまったが。
うーん、なんだかゲームに出て来るヒロインに比べてかなり暗い感じがするのは俺だけだろうか。ゲームの中では、学園入学当初に何をされても、せっかく入学させて貰ったのだから頑張らなきゃ! みたいな感じだったような。
「……私、どうやらクラスの女子生徒の皆さんから目を付けられているようでして。親の顔を知らない孤児が殿下に助けてもらえるなんて、って」
昨日の事が尾を引いているのか。話を続けるメルフィーレの言葉を聞く限りでは、その女生徒にレストランで一緒に食べようと誘われたので行ったところ、あの男たちに絡まれたらしい。女生徒たちがいなかったらしいので、まあ、彼女の言う通り嵌められたのだろう。
エレネたちとメルフィーレが話す光景をしばらく眺めていると、突然食堂の入り口辺りにいた学生たちがざわつき始める。一体何事かと思って入り口を見ていると、学生の集団が食堂へ入って来た。
その集団は真っ直ぐと俺たちがいる席へと向かって来た。集団の先頭にいる男……まあ、兄上なのだが、兄上は俺を見ると顔を歪めて睨んで来る。本当に俺の事が嫌いだな。
「どこにもいないと思ったらこんなところにいたのか、メルフィーレ。みんなお前がいなくなって心配していたんだぞ?」
そう思っていると、今まで見た事もないような笑みをメルフィーレに見せて話しかけ始めたではないか。ゲームの中の映像で見た時のように。
……どう言う事だ? まだ、始まって1日しか経っていないのに、どうしてこれほど好感度が上がっているんだ?
「あ、わ、私は……」
それに反してメルフィーレは物凄く困った表情を浮かべているが、何処と無く嬉しそうな表情を浮かべている。その表情を見た兄上も更に笑みを浮かべていた。
見た感じメルフィーレは意識してやっているわけじゃないだろうけど、兄上は確実にメルフィーレに魅了されている。これもゲームの補正なのか?
「もう食事は終わってしまったみたいですね。僕たちの食事に誘うつもりでしたが」
兄上と同じように笑みを浮かべる緑髪の男、メーテル。その後ろには他の攻略対象もいた。
以前、訓練場で出会った将軍の息子である赤髪の少年、アウレス・バルトロメオ。
侯爵家の1つ、アルバースト家の生まれで、魔法師家系である青髪を後ろで1つに束ねている男、カインズ・アルバースト。
腰に剣を携えているのは、剣の腕だけならばアウレスの父親である将軍により上と言われている母親を持つ白髪の少年、リグレット・ハーデンベルツ。
国境の守護神と呼ばれ、守りなら右に出る者がいないと言われるほどの実力を持つ辺境伯の息子で、黒髪の少年、ディムルット・ローエンベルト。
これに兄上を合わせた6人がメルフィーレの攻略対象になる……のだが、理由はわからないが、なぜか6人ともメルフィーレに対して好感を持っているように見える。
「デザートだけでも食べに行こうぜ。勿論俺が持つからよ」
アウレスがメルフィーレの手を取ると、メルフィーレは慌てて立ち上がる。そして、俺たちに頭を下げてから、兄上たちの後ろを付いて食堂を出て行ってしまった。
……これは、早めに彼女と話をするべきかな?
俺は目の前の食べ尽くして何も乗っていない皿を見て呟く。俺が頼んだのはオーク肉のステーキ定食というかなり量の多い定食だ。
ファンタジー世界で有名なオークの肉を厚く切った肉に、食堂で作られた特製タレがかかったステーキで、ゲームの世界のせいか何故かあるご飯と一緒に食べると止まらなくなる、とても食べ応えのある定食だった。
「確かに美味であった。ここのシェフを褒めてやろう」
俺の隣に座るユータスがそんな偉そうな事を言っているが、このメンバーの中で1番早く美味しそうに食べていたのはユータスだ。これは照れ隠しなのだろう。
「でも、女の子には少し量が多いわね。もう少し少な目でも良いかしら」
「そうですね。この栄養が貴方みたいに胸にいけば良いのですが、お腹周りだと困ります」
そう話すのはクロエとユーリエの2人。クロエの隣でエンフィも自分のお腹を触っていた。2人ともそんな気にする事ないと思うけどな。
その2人を見た後に机の一番端に座る女生徒、メルフィーレの方を見ると
「ねえねえ、学園生活どんな感じ? 楽しい?」
と、エレネが絡んでいた。学園生活どう、って、まだ始まって1日しか経ってないのに答えにくいだろうに。
「……わ、私はその、今まで見て来た世界と違い過ぎて、少し困惑しています」
「あー、わかるそれ。わたしも今まで(前世)とは全く違う生活だから少し慣れるのに苦労したもの」
「もう慣れたのですか? 私はまだ慣れません。今まで(孤児院)の生活とはかけ離れ過ぎて……」
……なんだか、微かに話が噛み合っていないような。それでも、楽しそうに話しているから……いいのか?
「そ、それで、どうしてメルフィーレさんは、レストランの方にいたのですか? 誰かと食事でも?」
そこに俺も尋ねようと思っていた事を代わりに尋ねてくれたマイル。マイルの言葉を聞いてメルフィーレは、顔をうつむかせてしまったが。
うーん、なんだかゲームに出て来るヒロインに比べてかなり暗い感じがするのは俺だけだろうか。ゲームの中では、学園入学当初に何をされても、せっかく入学させて貰ったのだから頑張らなきゃ! みたいな感じだったような。
「……私、どうやらクラスの女子生徒の皆さんから目を付けられているようでして。親の顔を知らない孤児が殿下に助けてもらえるなんて、って」
昨日の事が尾を引いているのか。話を続けるメルフィーレの言葉を聞く限りでは、その女生徒にレストランで一緒に食べようと誘われたので行ったところ、あの男たちに絡まれたらしい。女生徒たちがいなかったらしいので、まあ、彼女の言う通り嵌められたのだろう。
エレネたちとメルフィーレが話す光景をしばらく眺めていると、突然食堂の入り口辺りにいた学生たちがざわつき始める。一体何事かと思って入り口を見ていると、学生の集団が食堂へ入って来た。
その集団は真っ直ぐと俺たちがいる席へと向かって来た。集団の先頭にいる男……まあ、兄上なのだが、兄上は俺を見ると顔を歪めて睨んで来る。本当に俺の事が嫌いだな。
「どこにもいないと思ったらこんなところにいたのか、メルフィーレ。みんなお前がいなくなって心配していたんだぞ?」
そう思っていると、今まで見た事もないような笑みをメルフィーレに見せて話しかけ始めたではないか。ゲームの中の映像で見た時のように。
……どう言う事だ? まだ、始まって1日しか経っていないのに、どうしてこれほど好感度が上がっているんだ?
「あ、わ、私は……」
それに反してメルフィーレは物凄く困った表情を浮かべているが、何処と無く嬉しそうな表情を浮かべている。その表情を見た兄上も更に笑みを浮かべていた。
見た感じメルフィーレは意識してやっているわけじゃないだろうけど、兄上は確実にメルフィーレに魅了されている。これもゲームの補正なのか?
「もう食事は終わってしまったみたいですね。僕たちの食事に誘うつもりでしたが」
兄上と同じように笑みを浮かべる緑髪の男、メーテル。その後ろには他の攻略対象もいた。
以前、訓練場で出会った将軍の息子である赤髪の少年、アウレス・バルトロメオ。
侯爵家の1つ、アルバースト家の生まれで、魔法師家系である青髪を後ろで1つに束ねている男、カインズ・アルバースト。
腰に剣を携えているのは、剣の腕だけならばアウレスの父親である将軍により上と言われている母親を持つ白髪の少年、リグレット・ハーデンベルツ。
国境の守護神と呼ばれ、守りなら右に出る者がいないと言われるほどの実力を持つ辺境伯の息子で、黒髪の少年、ディムルット・ローエンベルト。
これに兄上を合わせた6人がメルフィーレの攻略対象になる……のだが、理由はわからないが、なぜか6人ともメルフィーレに対して好感を持っているように見える。
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