悪役令嬢を助けるために俺は乙女ゲームの世界を生き抜く!
23.婚約者
俺の袖を引っ張る黒髪黒目の少女。肩より少し長い目の艶やかな黒髪をしており、腰には一振りの刀が差されている。俺と目が合うとニコッと笑みを浮かべる表情はとても可愛らしいのだが……誰?
「遠路はるばる……という訳ではございませんが、よくぞ来られました、ジークレント殿下。私、王妃様の姉であるミエーラ・コーネリアと申します」
と、困っていると、宰相と話をしていた伯爵が俺に挨拶をして来た。少女には悪いが先に挨拶だ。
「初めまして。こういう時はコーネリア伯爵と呼んだら良いのか、それとも、ミエーラ叔母さんと呼んだら良いのか」
「公の場では伯爵の方がよろしいでしょう。プライベートの場では殿下の呼びたいようで構わないですね」
俺の疑問に宰相が答えてくれる。なるほどね。俺は気を取り直して目の前に立つ母上に何処と無く似た女性を見る。
母上より少しつり目で同じ金髪をサイドテールでくくっている。身長は少し母上より大きいかな。
「まあまあ、ここでお話するより屋敷に向かいましょう。準備は出来ていますので」
「そうですな。それではジーク殿下、向かいましょう」
「わかった。それじゃあ行こうか」
ミエーラ叔母さんの言葉に従い、屋敷へと向かう俺たち。その際気になったのが、俺をジッと見て来た4つの目だった。
4つのうち2つは俺に対して敵意……ではなく対抗心っていうのか。そういうのを感じる。視線の元はミエーラ叔母さんと同じ金髪の少年だった。年は俺より1つか2つ上だ。まあ、叔母さんの息子だろう。
そして、もう2つが先ほど俺の袖を握った少女だ。彼女は俺から目を話す事なくジッと見てくる。どうしてそんな見てくるのか不思議で仕方がなかったが、後でわかるだろうと、宰相とミエーラ叔母さんの後について行く。
屋敷の中へと案内されてから、それぞれが休む客室へと案内される。予定では1週間を予定しているため荷物もそこそこにあるのを、メルティアとエンフィが運んで行く。俺が手伝おうとすると怒るから全て任せている。
荷物を置き終えると、再びみんなで集まる。席に座っているのは宰相と俺、ミエーラ叔母さんと黒髪の少女だった。メルティアとエンフィは荷ほどきをしているためここにはおらず、テルマもその手伝い、レイチェルさんが後ろに立っている。
「それでは改めまして、よくお越し下さいました、ジークレント殿下、宰相閣下。1週間、最大限のおもてなしをさせていただきます」
「ええ、よろしくお願いしますコーネリア伯爵。それでは早速話を進めましょうか。まずは殿下」
「ん? なんだ?」
「実は今回の話なのですが……視察では無いのですよ」
「……ん?」
言っている意味がわからない。俺が首を傾げていると、ニコニコと笑みを浮かべる宰相とミエーラ叔母さん。この2人は当然だが知っているのだろう。
「今回の視察の本当の目的は……殿下の婚約なのですよ」
「……はっ?」
……俺の婚約? ……俺の婚約!?? あまりにも聞き覚えのない言葉に混乱していると、ミエーラ叔母さんの隣に座っていた黒髪の少女が立ち上がって頭を下げて来た。
「先程は先走ってしまい申し訳ございませんでした。私の旦那様となる方が話に聞いていた以上の方で興奮してしまったのです。私の名前はクロエ・コーネリア。よろしくお願いします、旦那様」
物凄く綺麗な笑顔で微笑むクロエ。そこで俺は思い出した。ゲームの中でも確かにジークレントの婚約者は出て来た。だけど、クロエなんて名前じゃなかったのは確かだ。
これは……もしかして、ゲームの内容が若干変わったのか? 本来であれば俺は、兄上との才能の差に嫉妬して努力する事なくダラダラと過ごしながら学園に入学する。
そして、学園で出会ったヒロインに一目惚れして無理矢理迫り、その時好感度が高かった攻略対象に倒されるってのが、序盤の流れだ。
それが、俺が自分の中では真面目に勉強も訓練もしているつもりだ。その結果、少しずつではあるが変わっていっているとすれば……俺のやっている事が間違ってなかったって事だ!
「ほうほう、そんなに嬉しいですか、殿下は。これはこれは」
俺が自分の行いが間違ってなかった事に喜んでいるのを、クロエとの婚約が決まって喜んでいると宰相に勘違いされてしまった。ただ、ここで、訂正するのも変だろう。
だけど、少しでも変えられる事がわかったのは大きい。これを続けていけば彼女を救う事が……そう思った瞬間、俺の喉元にヒンヤリと冷たいのが触れる。
あまりにも突然で自然な感じでレイチェルさんですら反応する事が出来なかった。珍しく宰相の驚いた顔と、知っていたかのように明らミエーラ叔母さんの顔。そして
「まぁまぁ、旦那様ったら。私という伴侶がいながら別の女の事を考えるなんて……思わず嫉妬で切りそうになりましたわ」
そんなとんでも無い事を笑顔で言うクロエ。俺はとんでも無い少女と婚約してしまったのでは無いだろうか?
「遠路はるばる……という訳ではございませんが、よくぞ来られました、ジークレント殿下。私、王妃様の姉であるミエーラ・コーネリアと申します」
と、困っていると、宰相と話をしていた伯爵が俺に挨拶をして来た。少女には悪いが先に挨拶だ。
「初めまして。こういう時はコーネリア伯爵と呼んだら良いのか、それとも、ミエーラ叔母さんと呼んだら良いのか」
「公の場では伯爵の方がよろしいでしょう。プライベートの場では殿下の呼びたいようで構わないですね」
俺の疑問に宰相が答えてくれる。なるほどね。俺は気を取り直して目の前に立つ母上に何処と無く似た女性を見る。
母上より少しつり目で同じ金髪をサイドテールでくくっている。身長は少し母上より大きいかな。
「まあまあ、ここでお話するより屋敷に向かいましょう。準備は出来ていますので」
「そうですな。それではジーク殿下、向かいましょう」
「わかった。それじゃあ行こうか」
ミエーラ叔母さんの言葉に従い、屋敷へと向かう俺たち。その際気になったのが、俺をジッと見て来た4つの目だった。
4つのうち2つは俺に対して敵意……ではなく対抗心っていうのか。そういうのを感じる。視線の元はミエーラ叔母さんと同じ金髪の少年だった。年は俺より1つか2つ上だ。まあ、叔母さんの息子だろう。
そして、もう2つが先ほど俺の袖を握った少女だ。彼女は俺から目を話す事なくジッと見てくる。どうしてそんな見てくるのか不思議で仕方がなかったが、後でわかるだろうと、宰相とミエーラ叔母さんの後について行く。
屋敷の中へと案内されてから、それぞれが休む客室へと案内される。予定では1週間を予定しているため荷物もそこそこにあるのを、メルティアとエンフィが運んで行く。俺が手伝おうとすると怒るから全て任せている。
荷物を置き終えると、再びみんなで集まる。席に座っているのは宰相と俺、ミエーラ叔母さんと黒髪の少女だった。メルティアとエンフィは荷ほどきをしているためここにはおらず、テルマもその手伝い、レイチェルさんが後ろに立っている。
「それでは改めまして、よくお越し下さいました、ジークレント殿下、宰相閣下。1週間、最大限のおもてなしをさせていただきます」
「ええ、よろしくお願いしますコーネリア伯爵。それでは早速話を進めましょうか。まずは殿下」
「ん? なんだ?」
「実は今回の話なのですが……視察では無いのですよ」
「……ん?」
言っている意味がわからない。俺が首を傾げていると、ニコニコと笑みを浮かべる宰相とミエーラ叔母さん。この2人は当然だが知っているのだろう。
「今回の視察の本当の目的は……殿下の婚約なのですよ」
「……はっ?」
……俺の婚約? ……俺の婚約!?? あまりにも聞き覚えのない言葉に混乱していると、ミエーラ叔母さんの隣に座っていた黒髪の少女が立ち上がって頭を下げて来た。
「先程は先走ってしまい申し訳ございませんでした。私の旦那様となる方が話に聞いていた以上の方で興奮してしまったのです。私の名前はクロエ・コーネリア。よろしくお願いします、旦那様」
物凄く綺麗な笑顔で微笑むクロエ。そこで俺は思い出した。ゲームの中でも確かにジークレントの婚約者は出て来た。だけど、クロエなんて名前じゃなかったのは確かだ。
これは……もしかして、ゲームの内容が若干変わったのか? 本来であれば俺は、兄上との才能の差に嫉妬して努力する事なくダラダラと過ごしながら学園に入学する。
そして、学園で出会ったヒロインに一目惚れして無理矢理迫り、その時好感度が高かった攻略対象に倒されるってのが、序盤の流れだ。
それが、俺が自分の中では真面目に勉強も訓練もしているつもりだ。その結果、少しずつではあるが変わっていっているとすれば……俺のやっている事が間違ってなかったって事だ!
「ほうほう、そんなに嬉しいですか、殿下は。これはこれは」
俺が自分の行いが間違ってなかった事に喜んでいるのを、クロエとの婚約が決まって喜んでいると宰相に勘違いされてしまった。ただ、ここで、訂正するのも変だろう。
だけど、少しでも変えられる事がわかったのは大きい。これを続けていけば彼女を救う事が……そう思った瞬間、俺の喉元にヒンヤリと冷たいのが触れる。
あまりにも突然で自然な感じでレイチェルさんですら反応する事が出来なかった。珍しく宰相の驚いた顔と、知っていたかのように明らミエーラ叔母さんの顔。そして
「まぁまぁ、旦那様ったら。私という伴侶がいながら別の女の事を考えるなんて……思わず嫉妬で切りそうになりましたわ」
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