黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
239話 死竜討伐戦
「んー、戦争の時とは違った威圧感があるな、これ」
目の前に広がる魔獣たちの群れ。以前は人の軍隊
だったが、あの時とまた違った威圧感がある。雑多に進む魔獣たち。
「こ、これは凄いですね」
隣に立つロナも苦笑いしか浮かばないようだ。数は以前見た時よりも増えている。ここに来る途中で増えたのだろう。その上
「あれは、我が国の兵士たち……」
こちらへと歩みを進めてくる魔獣たちの大群を見て、レグナント殿下が呟く。他にもトルネス兵たちが魔獣たちの中に混ざる者たちを見て騒つく。
……トルネス兵からしたらこれは中々辛いものがあるだろう。目の前に集まる魔獣たちの中にはボロボロになったトルネス兵たちの姿があるのだから。
死竜から発せられる瘴気のせいだろう。本来時間が経ってなるはずのアンデッド化がこの短時間でなっているのは。
ゾンビとなって魔獣たちと歩みを進めるトルネス兵たち。その光景を見てトルネス兵たちは戸惑いの声を上げる。これはやり辛いだろう。
「アルバスト軍、攻撃準備。レグナント殿下、フローゼ様。構いませんね?」
「……いや、我々が先に攻撃しよう。同胞を弔うのは我々の役目だ。トルネス王国の兵士たちよ! 我々を助けるために命を懸けてくれた兵士たちをこのままにして良いのか! あのような姿のままにして良いのか! 同胞に剣を向けるのは辛い。しかし、このまま魔獣として仲間を襲わせるのはもっと辛いはずだ!」
レグナント殿下の言葉に、アンデッド化したトルネス兵たちを見て戸惑っていた兵士たちが決意の篭った目で魔獣たちを見る。
「全軍、攻撃開始!」
「うおおおぉぉぉっっっ!!!」
レグナント殿下の号令で一斉に攻撃を開始する兵士たち。まずは大量の矢が放たれ、魔獣たちの頭の上へと降り注ぐ。
魔獣たちはかなり密集しているため、そこまで狙いを定めなくとも当たる。ドスドスと刺さる矢にゴブリンやコポルトといった低級の魔獣たちは倒れて行く。
しかし、次々と後ろからやって来る魔獣たちに倒れた魔獣はいなかったかのように飲み込まれていく。
「魔法部隊も撃てぇ!」
次々と放たれる矢と魔法。更に投石機も使い、魔獣たちを倒して行く。これが地上の魔獣だけならマシなのだが
「ミリオンバードの群れが来たぞ!」
奴らの中には飛行型の魔獣もいた。1羽見たら100羽は覚悟しろと言われる魔獣ミリオンバードや鳥系の魔獣、虫系の魔獣が飛んで来た。
地上の魔獣に比べたら少ないがそれでも1千近くはいる。奴らは壁の向こうよりまず動く俺たちを狙っているようだ。
「レグナント殿下、フローゼ様! お2人は下がって下さい! ロナ! お2人をお守りしろ!」
俺は右手にレイディアント、左手にシュバルツを握り、飛んで来る魔獣たちを迎え撃つ。まずこちらへ飛んで来たのは、巨大な蜂であるジャイアントビーだ。
ジャイアントビーたちが鋭い針をこちらへと向けて飛んで来た。こいつらも群れで来やがったな。俺はジャイアントビーたちへ向けて風切を五月雨に放つ。
ジャイアントビーたちはバラバラに飛んでくる斬撃に避けようとするが、俺の斬撃の方が速い。避けきれなかったジャイアントビーたちの体を切り裂き、残骸が外壁の外へと落ちて行く。だが、中にはくらわなかったものもいて、そいつらは一斉に迫って来た。
しかし、俺に届く事はなかった。俺の周りにいるアルバスト兵たちが魔法で撃ち落としたからだ。そのまま飛んでくる魔獣たちに向けて魔法や矢を放つアルバスト兵たち。
地上波トルネス兵たちに任せて、空から来る魔獣を受け持つ。これは前の作戦会議で話し合っていた事だ。
外壁へと近づいて来る魔獣だが、前もって準備していた落とし穴などにはまって行く。しかし、その落とし穴も次々と魔獣が落ちていくせいで埋まり、意味を無くす。
それに、想定より魔獣の数が増えているのも問題だった。作戦段階では最終的な数が7千程度と予想していたが、数は9千近くまで膨れ上がっていた。
1番の理由はやはり兵士のアンデッド化だろう。本来なら1ヶ月近くはかかるはずなのに、数日でなるなんて誰が予想できるだろうか。
その上、アンデッド化したのは兵士だけじゃない。魔獣たちも同じようにアンデッド化しているのだ。それらがおおよそではあるが2千近く。
しかも、普通の魔獣と違って痛覚が無いため、余計に厄介だ。普通の魔獣なら魔法や矢が当たると、痛みで怯むのだが、アンデッドは怯まない。その差がかなり厄介なのだ。
そんな奴らが大群に混ざっているため、思うように数が減らない。
「キィィィ!!」
飛んで来る魔獣たちを捌いていると、どこから金切り声のようなものが聞こえてきた。声のした方を見ると、そこには顔は女性なのだが、腕の代わりに大きな翼に、足は鳥の足をした魔獣が集まっていた。
「ちっ、ハーピィーか! 魔法障壁準備!」
俺の言葉に近くにいた兵士たちが眼前に魔法障壁を張る。それと同時にハーピィーから放たれる魔法。こちらは魔法障壁で防ぎ、魔法や矢で応戦するが、倒せたのは数体ほどだった。
それから、魔法や矢を放ち続けるが、怯む事のない魔獣の群れ。死竜も離れたところに飛んで高みの見物。数は半数近く減らしたが、怯むどころか勢いが増して行く。そして
「ギィガァァァアア!!」
死竜が吠えた。
目の前に広がる魔獣たちの群れ。以前は人の軍隊
だったが、あの時とまた違った威圧感がある。雑多に進む魔獣たち。
「こ、これは凄いですね」
隣に立つロナも苦笑いしか浮かばないようだ。数は以前見た時よりも増えている。ここに来る途中で増えたのだろう。その上
「あれは、我が国の兵士たち……」
こちらへと歩みを進めてくる魔獣たちの大群を見て、レグナント殿下が呟く。他にもトルネス兵たちが魔獣たちの中に混ざる者たちを見て騒つく。
……トルネス兵からしたらこれは中々辛いものがあるだろう。目の前に集まる魔獣たちの中にはボロボロになったトルネス兵たちの姿があるのだから。
死竜から発せられる瘴気のせいだろう。本来時間が経ってなるはずのアンデッド化がこの短時間でなっているのは。
ゾンビとなって魔獣たちと歩みを進めるトルネス兵たち。その光景を見てトルネス兵たちは戸惑いの声を上げる。これはやり辛いだろう。
「アルバスト軍、攻撃準備。レグナント殿下、フローゼ様。構いませんね?」
「……いや、我々が先に攻撃しよう。同胞を弔うのは我々の役目だ。トルネス王国の兵士たちよ! 我々を助けるために命を懸けてくれた兵士たちをこのままにして良いのか! あのような姿のままにして良いのか! 同胞に剣を向けるのは辛い。しかし、このまま魔獣として仲間を襲わせるのはもっと辛いはずだ!」
レグナント殿下の言葉に、アンデッド化したトルネス兵たちを見て戸惑っていた兵士たちが決意の篭った目で魔獣たちを見る。
「全軍、攻撃開始!」
「うおおおぉぉぉっっっ!!!」
レグナント殿下の号令で一斉に攻撃を開始する兵士たち。まずは大量の矢が放たれ、魔獣たちの頭の上へと降り注ぐ。
魔獣たちはかなり密集しているため、そこまで狙いを定めなくとも当たる。ドスドスと刺さる矢にゴブリンやコポルトといった低級の魔獣たちは倒れて行く。
しかし、次々と後ろからやって来る魔獣たちに倒れた魔獣はいなかったかのように飲み込まれていく。
「魔法部隊も撃てぇ!」
次々と放たれる矢と魔法。更に投石機も使い、魔獣たちを倒して行く。これが地上の魔獣だけならマシなのだが
「ミリオンバードの群れが来たぞ!」
奴らの中には飛行型の魔獣もいた。1羽見たら100羽は覚悟しろと言われる魔獣ミリオンバードや鳥系の魔獣、虫系の魔獣が飛んで来た。
地上の魔獣に比べたら少ないがそれでも1千近くはいる。奴らは壁の向こうよりまず動く俺たちを狙っているようだ。
「レグナント殿下、フローゼ様! お2人は下がって下さい! ロナ! お2人をお守りしろ!」
俺は右手にレイディアント、左手にシュバルツを握り、飛んで来る魔獣たちを迎え撃つ。まずこちらへ飛んで来たのは、巨大な蜂であるジャイアントビーだ。
ジャイアントビーたちが鋭い針をこちらへと向けて飛んで来た。こいつらも群れで来やがったな。俺はジャイアントビーたちへ向けて風切を五月雨に放つ。
ジャイアントビーたちはバラバラに飛んでくる斬撃に避けようとするが、俺の斬撃の方が速い。避けきれなかったジャイアントビーたちの体を切り裂き、残骸が外壁の外へと落ちて行く。だが、中にはくらわなかったものもいて、そいつらは一斉に迫って来た。
しかし、俺に届く事はなかった。俺の周りにいるアルバスト兵たちが魔法で撃ち落としたからだ。そのまま飛んでくる魔獣たちに向けて魔法や矢を放つアルバスト兵たち。
地上波トルネス兵たちに任せて、空から来る魔獣を受け持つ。これは前の作戦会議で話し合っていた事だ。
外壁へと近づいて来る魔獣だが、前もって準備していた落とし穴などにはまって行く。しかし、その落とし穴も次々と魔獣が落ちていくせいで埋まり、意味を無くす。
それに、想定より魔獣の数が増えているのも問題だった。作戦段階では最終的な数が7千程度と予想していたが、数は9千近くまで膨れ上がっていた。
1番の理由はやはり兵士のアンデッド化だろう。本来なら1ヶ月近くはかかるはずなのに、数日でなるなんて誰が予想できるだろうか。
その上、アンデッド化したのは兵士だけじゃない。魔獣たちも同じようにアンデッド化しているのだ。それらがおおよそではあるが2千近く。
しかも、普通の魔獣と違って痛覚が無いため、余計に厄介だ。普通の魔獣なら魔法や矢が当たると、痛みで怯むのだが、アンデッドは怯まない。その差がかなり厄介なのだ。
そんな奴らが大群に混ざっているため、思うように数が減らない。
「キィィィ!!」
飛んで来る魔獣たちを捌いていると、どこから金切り声のようなものが聞こえてきた。声のした方を見ると、そこには顔は女性なのだが、腕の代わりに大きな翼に、足は鳥の足をした魔獣が集まっていた。
「ちっ、ハーピィーか! 魔法障壁準備!」
俺の言葉に近くにいた兵士たちが眼前に魔法障壁を張る。それと同時にハーピィーから放たれる魔法。こちらは魔法障壁で防ぎ、魔法や矢で応戦するが、倒せたのは数体ほどだった。
それから、魔法や矢を放ち続けるが、怯む事のない魔獣の群れ。死竜も離れたところに飛んで高みの見物。数は半数近く減らしたが、怯むどころか勢いが増して行く。そして
「ギィガァァァアア!!」
死竜が吠えた。
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コメント
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
この世界にスキルは無いのか………