黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
217話 森に住む女性
「ちょっ! な、なんで服を着ないのよ! 露出狂かなんかなの、この変態!!」
「仕方ないだろ! 汚れていた服は全部水で洗ってびしょびしょなんだ! 着れるわけないだろ!」
目の前の黒髪の美女が乾いた木の枝に火打ち石で火を付けているところ、腰に布を巻いただけの格好で向かうと怒られた。さっきから本当に何だよ、こいつ。
俺は服を着て来いと怒る女の言葉を無視して、焚き火の前にどかっと座る。女が睨んでくるが無視だ。
「それで、お前は誰なんだ? この森の中で何をしているんだ?」
「……その言葉をそっくりそのままあなたに返すわ。あなたこそ、この森で何をしているのよ? あなた、中央の人間ってやつよね? こんな辺境の大平原の中まで来るって事は、冒険者ってやつ?」
少しキラキラした目で尋ねてくる女。森や外の話が気になるようで、他にも色々と聞いて来た。俺も聞きたい事があるし、森の外の事を話すぐらい何も問題は無いので、彼女の質問に答えて行く。
彼女の名前はミレイヤと言うらしく、俺の予想通りこの大平原の中で住むアールヴ族と呼ばれる一族らしい。長い耳が特徴的でアールヴ族は皆長いのだとか。
詳しい理由はわからないそうだが、伝承では、普通の人間が、魔獣が蔓延る大平原の中で、より早く危険を察知するための器官が発達したためだと、言われているそうだ。
そんな彼女が知らない外の話を聞く度に一喜一憂してくれる。俺たちの中では普通の事も、森から外に出たことがないと言う彼女にとっては特別なものらしい。
「それにしてもよく大食いに食べられたのに生きていたわね」
「……もう少しで、グラトニーワームと胃液の波で死にかけたけどな」
「それでも、凄いわよ……そうね、あなたよく鍛えられているもの。私の村にもあなたほど剣に卓越した人はいないわ」
そう言って俺の体をじっくりと見るミレイヤ。そして自分が俺の体を凝視していたのに気が付いたのか慌ててそっぽを向く。なんだか変な空気になったから話題を変えるか。
「なぁ、ミレイヤ。ここがアルバスト王国からどの位置にあたるかってわからないか? 早く戻りたいのだが、さっきも話した通りグラトニーワーム食われて抜け出してからずっと土の中にいたからさ。ここがどの辺りかわからないんだよ」
「うーん、悪いわね。私もさっき話したけど生まれてから1度も森の外に出たことがないの。だから、どの位置に国があるかなんて知らないのよ。もしかしたら、おばば様なら知っているかも知れないけど」
「おばば様?」
「ええ、私たちアールヴ族を纏める族長よ。なんでも知っているんだから」
すとーんと音がしそうなほどぺったんこな胸を張るミレイヤ。なんだか、変に落ち着く。ヴィクトリアたちが胸を張るとぷるんと揺れるからな。周りの男たちの視線にイラッとしなくていい。でも、俺の視線に気が付いたミレイヤが睨んでいた。
「なに人の胸をじろじろと見ているのよ! この変態!」
「別に見てないさ。ただ、俺の妻たちみたいに揺れなくて楽そうだなぁと思って。俺の妻たちは肩こりに悩んでいたからな」
俺がそう言うとブチっと何かが切れる音がした。そして気が付けばミレイヤが側に置いてあった弓を握って構えていた。
「し……」
「し?」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺はミレイヤの機嫌が収まるまで矢を放たれたのだった。
◇◇◇
「レディウスがいなくなったってどういうこと!?」
レディウスたちが出発してから4週間が経った頃、新しいアルノード伯爵領から私たち宛に手紙が届いた。宛名はヴィクトリアだったので、無事着いたという報告だと思って手紙を開けて内容を見たら、とんでも無い事が書いてあった。
私の叫びにヘレスティアとセシルが泣きだしちゃったけどロナとヘレナがあやしてくれる。だけど、2人とも私の叫んだ内容に耳は傾けていた。
私は一旦落ち着くために深呼吸をして手紙の続きを読んで行く。
手紙の内容は、途中魔獣には襲われはしたけど、2週間の行程を終えて無事にアルノード伯爵領へと辿り着いた事。
そこで、冒険者ギルドから獣人は認めないとふざけた手紙が届いていたことや、街の状況が書かれていた。
まずは、ギルドを正すために、翌日に冒険者ギルドへ向かったら、冒険者たちに大平原の中に転移をさせられたらしい。
そこで、冒険者たちに襲われていたところを、グラトニーワームという巨大な魔獣が乱入、そのグラトニーワームにレディウスが食べられて、グラトニーワームはそのまま地中に潜ってしまったため行方不明に。
最後の部分を読んだ時にはまるで時間が止まったように周りの音が聞こえなくなっていた。レディウスが行方不明って……
今、グリムドを筆頭に大平原の中を捜索させているようだけど、普通の森とは違う大平原。出てくる魔獣のレベルも違うため、捜索には難航しているらしい。
一緒にいたパトリシアが最後の場所を知っているために今向かっているそうなのだけど、グラトニーワームが逃げた後だから殆ど手がかりになるのは見つかりそうに無いかも……という手紙だった。
「ヘレネー様……」
「……おばあ様はまだ街にいたわよね。ちょっと早いけど、向こうに向かうわよ」
私達が行ってどうこうなる問題じゃ無いけど、ここで黙って待っていられないわ。
……レディウス、無事でいてよ。こんな可愛い子供たちを残して行かないでよ!
「仕方ないだろ! 汚れていた服は全部水で洗ってびしょびしょなんだ! 着れるわけないだろ!」
目の前の黒髪の美女が乾いた木の枝に火打ち石で火を付けているところ、腰に布を巻いただけの格好で向かうと怒られた。さっきから本当に何だよ、こいつ。
俺は服を着て来いと怒る女の言葉を無視して、焚き火の前にどかっと座る。女が睨んでくるが無視だ。
「それで、お前は誰なんだ? この森の中で何をしているんだ?」
「……その言葉をそっくりそのままあなたに返すわ。あなたこそ、この森で何をしているのよ? あなた、中央の人間ってやつよね? こんな辺境の大平原の中まで来るって事は、冒険者ってやつ?」
少しキラキラした目で尋ねてくる女。森や外の話が気になるようで、他にも色々と聞いて来た。俺も聞きたい事があるし、森の外の事を話すぐらい何も問題は無いので、彼女の質問に答えて行く。
彼女の名前はミレイヤと言うらしく、俺の予想通りこの大平原の中で住むアールヴ族と呼ばれる一族らしい。長い耳が特徴的でアールヴ族は皆長いのだとか。
詳しい理由はわからないそうだが、伝承では、普通の人間が、魔獣が蔓延る大平原の中で、より早く危険を察知するための器官が発達したためだと、言われているそうだ。
そんな彼女が知らない外の話を聞く度に一喜一憂してくれる。俺たちの中では普通の事も、森から外に出たことがないと言う彼女にとっては特別なものらしい。
「それにしてもよく大食いに食べられたのに生きていたわね」
「……もう少しで、グラトニーワームと胃液の波で死にかけたけどな」
「それでも、凄いわよ……そうね、あなたよく鍛えられているもの。私の村にもあなたほど剣に卓越した人はいないわ」
そう言って俺の体をじっくりと見るミレイヤ。そして自分が俺の体を凝視していたのに気が付いたのか慌ててそっぽを向く。なんだか変な空気になったから話題を変えるか。
「なぁ、ミレイヤ。ここがアルバスト王国からどの位置にあたるかってわからないか? 早く戻りたいのだが、さっきも話した通りグラトニーワーム食われて抜け出してからずっと土の中にいたからさ。ここがどの辺りかわからないんだよ」
「うーん、悪いわね。私もさっき話したけど生まれてから1度も森の外に出たことがないの。だから、どの位置に国があるかなんて知らないのよ。もしかしたら、おばば様なら知っているかも知れないけど」
「おばば様?」
「ええ、私たちアールヴ族を纏める族長よ。なんでも知っているんだから」
すとーんと音がしそうなほどぺったんこな胸を張るミレイヤ。なんだか、変に落ち着く。ヴィクトリアたちが胸を張るとぷるんと揺れるからな。周りの男たちの視線にイラッとしなくていい。でも、俺の視線に気が付いたミレイヤが睨んでいた。
「なに人の胸をじろじろと見ているのよ! この変態!」
「別に見てないさ。ただ、俺の妻たちみたいに揺れなくて楽そうだなぁと思って。俺の妻たちは肩こりに悩んでいたからな」
俺がそう言うとブチっと何かが切れる音がした。そして気が付けばミレイヤが側に置いてあった弓を握って構えていた。
「し……」
「し?」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺はミレイヤの機嫌が収まるまで矢を放たれたのだった。
◇◇◇
「レディウスがいなくなったってどういうこと!?」
レディウスたちが出発してから4週間が経った頃、新しいアルノード伯爵領から私たち宛に手紙が届いた。宛名はヴィクトリアだったので、無事着いたという報告だと思って手紙を開けて内容を見たら、とんでも無い事が書いてあった。
私の叫びにヘレスティアとセシルが泣きだしちゃったけどロナとヘレナがあやしてくれる。だけど、2人とも私の叫んだ内容に耳は傾けていた。
私は一旦落ち着くために深呼吸をして手紙の続きを読んで行く。
手紙の内容は、途中魔獣には襲われはしたけど、2週間の行程を終えて無事にアルノード伯爵領へと辿り着いた事。
そこで、冒険者ギルドから獣人は認めないとふざけた手紙が届いていたことや、街の状況が書かれていた。
まずは、ギルドを正すために、翌日に冒険者ギルドへ向かったら、冒険者たちに大平原の中に転移をさせられたらしい。
そこで、冒険者たちに襲われていたところを、グラトニーワームという巨大な魔獣が乱入、そのグラトニーワームにレディウスが食べられて、グラトニーワームはそのまま地中に潜ってしまったため行方不明に。
最後の部分を読んだ時にはまるで時間が止まったように周りの音が聞こえなくなっていた。レディウスが行方不明って……
今、グリムドを筆頭に大平原の中を捜索させているようだけど、普通の森とは違う大平原。出てくる魔獣のレベルも違うため、捜索には難航しているらしい。
一緒にいたパトリシアが最後の場所を知っているために今向かっているそうなのだけど、グラトニーワームが逃げた後だから殆ど手がかりになるのは見つかりそうに無いかも……という手紙だった。
「ヘレネー様……」
「……おばあ様はまだ街にいたわよね。ちょっと早いけど、向こうに向かうわよ」
私達が行ってどうこうなる問題じゃ無いけど、ここで黙って待っていられないわ。
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コメント
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
エルフじゃないの?