黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
160話 依頼完了
「おら、こっちだ」
宿屋へと入って行くレイグについて行くと、レイグは宿屋の食堂へと向かい、奥の1番大きな席にどかっと座る。その左右と後ろに奴隷達が座ったり立ったりして、俺を見てくる。
レイグの左側、俺から見て右側には金髪のグラマラスな女性が座り、反対側には同じく金髪の1番背の低い女の子が座る。
後ろには茶髪の同じ顔をした女性2人が左右対称に立つ。物凄く似ている。見分けるとしたら髪の形ぐらいだろう。
そういえば、あの問題の元凶となった女性はいなくなったな。俺とレイグが争っている間に逃げたようだ。
俺とケイマルさんは、レイグの正面に座り、俺の後ろにレイグの奴隷たちを牽制するようにロナが立つ。
「それで、貴族様が俺たちに何を頼みたいんだよ?」
そんな奴隷たちを見ていたら、レイグが話を切り出して来た。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺の名前は、レディウス・アルノード。爵位は子爵だ。後ろに立つ女の子は、ロナ。俺の従者をしてくれている」
俺が自己紹介をすると、レイグは「アルノード?」と首を傾げる。そこに
「今貴族の中では有名な貴族の名前よ、レイグ。レディウス・アルノード子爵、数年前の戦争で活躍と、トルネス王国で起きた事件を解決した事で、爵位を賜ったのよ。その後、ウィリアム王子の元婚約者であるヴィクトリア・セプテンバームと魔剣王の孫と結婚した、国王陛下にも覚えないい貴族ね。最近は他の貴族に雇われて、傭兵まがいの事もしてるようだけど」
レイグの隣に座るグラマラスな女性が、俺の事を次々と話して行く。この人がこのパーティーの頭脳なのかな? レイグはふーんといった感じだけど。
「アルノード子爵は、昔私を盗賊から救って下さっての、命の恩人なのですよ。その縁もあって、今回の依頼で会うと思ったレイグ殿を頼らせて頂きました」
「なるほどな。ケイマルのおっさんが俺たちを頼って来た理由がわかったぜ。それで依頼の内容は、魔山までの護衛か? 正直に言ってこの人数では、魔山は……」
「いや、護衛じゃなくて、案内だ。魔獣のいるところまでの案内で構わない。案内さえしてもらえば、後は自由にしていい」
「なんだと?」
ん? 俺、なんか変な事言ったかな? 俺の言葉を聞いたレイグの表情が険しくなる。何だよ?
「たかが案内のために俺たちに依頼するのか?」
「ああ。魔山を安全に案内出来るほど知っていているとなれば、お前たちぐらいの実力が無いと駄目だからな。まあ、1番の理由は、ケイマルさんが紹介してくれたってのが大きいけど」
「……まぁ良い。それで拘束期間は? 行き帰りだけで1週間はかかるぞ?」
「ああ。それから探索にも1週間ってところだ。あまり時間をかけても仕方ないかな。こちらも時間は無いし」
帰る時間を含めたらそれぐらいが限界だろう。あまり長居をしても兵士たちの体力も持たないしな。まあ、将来のために経験を積むのも目的の1つではあるが。
「それから依頼料はこれだ」
俺は懐から小袋を出す。中には金貨が10枚。50万ベクだ。
「それに加えて、依頼が完了したらもう半分の50万ベクを渡す。計100万ベクでどうだ?」
俺の言葉にレイグは考えるそぶりを見せ、後ろの奴隷たちにも確認している。それからいくつか質問がくる。
その間の食料はこちらが支給する事や、夜間の見張りはしなくて良い事などを伝える。すると
「良いだろう。受けてやるよ。それでいつからだ?」
レイグたちは、この依頼を受けてくれるようだ。これで案内は決まったな。
「依頼は明日の朝からだ。時間が無いからな。まあ、準備するものは殆どないだろうから、大丈夫だろ? ケイマルさんの話だと、今日休んで、明日また依頼を受ける予定だったんだろ?」
俺の言葉に、肯定も否定もせずに、そっぽを向くレイグ。その態度が既に肯定しているようなものなんだけどな。まあ良いか。
「それじゃあ、俺たちは帰るよ。明日は頼んだぞ」
「ふん」
レイグのそんな声を背に受けながら、俺たちは宿を出る。空は既に夕焼け色に染まっていた。グリムドたちも既に準備を終えている頃かな。
「ケイマルさん。俺たちは今から子爵の屋敷に向かいます。今日はありがとうございました」
「いえいえ、お役に立てて何よりです。食料についてはどうされますか?」
「食料は、俺の部下が取りに来ますので、準備していただけたらと」
「わかりました。それでは我々も失礼します」
宿の前で、ケイマルさんとはお別れだ。ケイマルさんが乗る馬車を見送って、さてと、子爵の屋敷まで帰るか。あそこまでは歩いて15分ほどだ。ぶらぶらと戻るとするか。
「ロナ、帰ろうか」
「はい」
明日からは、久しぶりの魔山だ。前にアレスと来た時は、まだ山の下の方だった。そこでもBランクのコカトリスがいるくらいだからな。奥の方にはそれ以上の魔獣がいるのだろう。
そう考えると、少し楽しみにしている自分がいる。どんな相手に会えるのだろうか。みんなが戦えそうなら、強い奴を探すのも良いかもしれない。
宿屋へと入って行くレイグについて行くと、レイグは宿屋の食堂へと向かい、奥の1番大きな席にどかっと座る。その左右と後ろに奴隷達が座ったり立ったりして、俺を見てくる。
レイグの左側、俺から見て右側には金髪のグラマラスな女性が座り、反対側には同じく金髪の1番背の低い女の子が座る。
後ろには茶髪の同じ顔をした女性2人が左右対称に立つ。物凄く似ている。見分けるとしたら髪の形ぐらいだろう。
そういえば、あの問題の元凶となった女性はいなくなったな。俺とレイグが争っている間に逃げたようだ。
俺とケイマルさんは、レイグの正面に座り、俺の後ろにレイグの奴隷たちを牽制するようにロナが立つ。
「それで、貴族様が俺たちに何を頼みたいんだよ?」
そんな奴隷たちを見ていたら、レイグが話を切り出して来た。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺の名前は、レディウス・アルノード。爵位は子爵だ。後ろに立つ女の子は、ロナ。俺の従者をしてくれている」
俺が自己紹介をすると、レイグは「アルノード?」と首を傾げる。そこに
「今貴族の中では有名な貴族の名前よ、レイグ。レディウス・アルノード子爵、数年前の戦争で活躍と、トルネス王国で起きた事件を解決した事で、爵位を賜ったのよ。その後、ウィリアム王子の元婚約者であるヴィクトリア・セプテンバームと魔剣王の孫と結婚した、国王陛下にも覚えないい貴族ね。最近は他の貴族に雇われて、傭兵まがいの事もしてるようだけど」
レイグの隣に座るグラマラスな女性が、俺の事を次々と話して行く。この人がこのパーティーの頭脳なのかな? レイグはふーんといった感じだけど。
「アルノード子爵は、昔私を盗賊から救って下さっての、命の恩人なのですよ。その縁もあって、今回の依頼で会うと思ったレイグ殿を頼らせて頂きました」
「なるほどな。ケイマルのおっさんが俺たちを頼って来た理由がわかったぜ。それで依頼の内容は、魔山までの護衛か? 正直に言ってこの人数では、魔山は……」
「いや、護衛じゃなくて、案内だ。魔獣のいるところまでの案内で構わない。案内さえしてもらえば、後は自由にしていい」
「なんだと?」
ん? 俺、なんか変な事言ったかな? 俺の言葉を聞いたレイグの表情が険しくなる。何だよ?
「たかが案内のために俺たちに依頼するのか?」
「ああ。魔山を安全に案内出来るほど知っていているとなれば、お前たちぐらいの実力が無いと駄目だからな。まあ、1番の理由は、ケイマルさんが紹介してくれたってのが大きいけど」
「……まぁ良い。それで拘束期間は? 行き帰りだけで1週間はかかるぞ?」
「ああ。それから探索にも1週間ってところだ。あまり時間をかけても仕方ないかな。こちらも時間は無いし」
帰る時間を含めたらそれぐらいが限界だろう。あまり長居をしても兵士たちの体力も持たないしな。まあ、将来のために経験を積むのも目的の1つではあるが。
「それから依頼料はこれだ」
俺は懐から小袋を出す。中には金貨が10枚。50万ベクだ。
「それに加えて、依頼が完了したらもう半分の50万ベクを渡す。計100万ベクでどうだ?」
俺の言葉にレイグは考えるそぶりを見せ、後ろの奴隷たちにも確認している。それからいくつか質問がくる。
その間の食料はこちらが支給する事や、夜間の見張りはしなくて良い事などを伝える。すると
「良いだろう。受けてやるよ。それでいつからだ?」
レイグたちは、この依頼を受けてくれるようだ。これで案内は決まったな。
「依頼は明日の朝からだ。時間が無いからな。まあ、準備するものは殆どないだろうから、大丈夫だろ? ケイマルさんの話だと、今日休んで、明日また依頼を受ける予定だったんだろ?」
俺の言葉に、肯定も否定もせずに、そっぽを向くレイグ。その態度が既に肯定しているようなものなんだけどな。まあ良いか。
「それじゃあ、俺たちは帰るよ。明日は頼んだぞ」
「ふん」
レイグのそんな声を背に受けながら、俺たちは宿を出る。空は既に夕焼け色に染まっていた。グリムドたちも既に準備を終えている頃かな。
「ケイマルさん。俺たちは今から子爵の屋敷に向かいます。今日はありがとうございました」
「いえいえ、お役に立てて何よりです。食料についてはどうされますか?」
「食料は、俺の部下が取りに来ますので、準備していただけたらと」
「わかりました。それでは我々も失礼します」
宿の前で、ケイマルさんとはお別れだ。ケイマルさんが乗る馬車を見送って、さてと、子爵の屋敷まで帰るか。あそこまでは歩いて15分ほどだ。ぶらぶらと戻るとするか。
「ロナ、帰ろうか」
「はい」
明日からは、久しぶりの魔山だ。前にアレスと来た時は、まだ山の下の方だった。そこでもBランクのコカトリスがいるくらいだからな。奥の方にはそれ以上の魔獣がいるのだろう。
そう考えると、少し楽しみにしている自分がいる。どんな相手に会えるのだろうか。みんなが戦えそうなら、強い奴を探すのも良いかもしれない。
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