黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
閑話 弟弟子の日常(1)
「そっちにいったぞ、クルト!」
「ああっ! セリカ! 強化魔法を頼む!」
「わかったよ!」
ローブを着た見た目はロリッ娘の魔法使いのセリカぎ、俺に強化魔法を唱えてくれる。俺の体は全体的に赤く光りだす。
その間に弓兵のソルナが、威嚇射撃として、俺に迫る巨大なイノシシ、ジャイアントボアに矢を放つ。しかし、ジャイアントボアの毛が硬く、中々矢が刺さらない。
そんなジャイアントボアが、俺の身長はどの長さの牙が生えている大顎を振り回しながら走って来る。だけど、俺は避けるつもりは無く、俺の愛剣である大剣を大きく上段に構える。そして、魔闘装を発動する。
兄貴ほどは上手くはいかないけど、ジャイアントボア程度なら、倒す事ぐらい
「出来るんだよ! 烈炎流、大火山!」
俺は迫り来るジャイアントボアの頭めがけて、大剣を振り下ろす。ジャイアントボアは俺の剣を、牙で弾こうとしたが、牙をへし折り、ジャイアントボアの頭を潰してやった。
「カッカッカ、さすがじゃねえかクルト。やっぱり俺が見込んだ男だぜ!」
俺に話しかけてきた男、リックはそう言いながら俺の背をバシバシと叩いて来る。リックは茶髪の男で、俺と同じ烈炎流を習っている。
それから、先ほど俺に魔法をかけてくれたロリッ娘魔法師のセリカ。年齢は13歳と俺たちの中では最年少ながら、髪の毛は緑色。4属性の魔法が使える。
そして最後の1人が、ジャイアントボアを矢で完成してくれた、ユーナだ。金髪の女性で、近接、遠距離に魔法まで色々と使いこなす天才だ。剣術一筋の俺ですら、剣の戦いでギリギリ勝てるぐらいだからな。
リックにセリカ、そしてユーナに俺を合わせた4人でチームを組んでいる。
俺が兄貴たちから離れてもう半年が経った。俺たちは、アルバスト王国から馬車で1週間ほどの場所にあるトルネス王国のガイバル辺境伯の領地へとやって来た。
ここには、アルバスト王国にあった大平原と接する箇所が少しだけだがあって、そこから魔獣が湧いてくるのだ。そのため、この辺境伯は冒険者の数が多い。大平原から現れる特殊な魔獣を狙って。
俺たちもここなら、働き先に困らないだろうと思い、ここにやって来たのだ。働いているのはエリシア様の両親と、俺にミアだ。
エリシア様の両親とミアは、自分たちの知恵を使って、簡単なサンドイッチ店を開いたのだ。しかもそれが地味に流行って、ここのサンドイッチは美味しいと言ってくれる人もいるのだ。
エリシア様の両親たちに、貴族では無くなった生活は、なかなか難しいんじゃないのか。そう考えていたが、普通に和んでいて驚いてしまった。
そして、唯一家にいるエリシア様は、一体何をしているかというと、家で療養中なのだ。理由は病気とかではなくて、いわゆる、おめでた、というものだ。
現在で妊娠6ヶ月だったかな。エリシア様のお腹が少し目立つほどだ。半年前といえば丁度兄貴たちと別れた時だ。その時に兄貴は1発で引き当てのだろう。さすが兄貴だぜ。
エリシア様の両親は、エリシア様のお腹中にいる子供に物凄く溺愛している。その理由の1つが、お腹の中の子供の親を、ウィリアム王子の子供だと勝手に思い込んでいるらしい。
 
まあ、確かに王子と一緒にいた頃ともかぶるから、わからないこともないけど、流石に無いと思う。
「おい、クルト! ちゃっちゃと帰ろうぜ」
俺はリックの言葉に頷く。ジャイアントボアの素材を取り、みんなで街まで戻り、ギルドで確認する。依頼料などはみんなで当分だしな。
「なあ、今日は飲みに行こうぜ、クルト!」
「あー、悪いリック。今日は道場に行きたいんだ」
ギルドで依頼報告を終えて、さて行こうか、となった時にリックはいつも飲みに誘ってくれる。たまには行くのだけど、基本は家に帰るか、烈炎流の道場に行っている。
俺は、兄貴たちと別れてからも、ミアさんとも仲良くやれているし。兄貴たちに会いたいと思う事はあるが、それ以上に、エリシア様のお子様が生まれたら、俺の命に代えても助けてあげないと、と思う事がある。
そして、守れるようにと、俺は烈炎流の門を叩いた。今のままでは弱いと思ったからだ。これから生まれて来る子供のためにも強くならないと。
ここの烈炎流の道場には、上級の師範が数人いる道場で、門下は100人ほどだ。本当は朝から晩まで道場で訓練をしなければならないのだが、今の俺は、烈炎流が中級寄りの下級で、基本は出来ているから、行きたい時だけで構わないと言われている。
冒険者もたまに来るから、そういう事も出来るようだ。冒険者は時間がバラバラだからな。ある程度は自由が効くようになっているみたいだ。
「かー、しゃあねえな。じゃあ、明日は依頼は休みでまた明後日な」
「ああ、わかったよ。じゃあな、リック。よく寝るんだぞセリカ。それじゃあなユーナ」
「おう、またな!」
「子供扱いはやめてほしいのです! でもさよならなのです!」
「ええ、またね」
みんなと別れてから、俺は烈炎流の道場へ向かう。烈炎流の道場へと入ると、中からは物凄い熱気に包まれている。
俺も入ると、中から1人の女性が寄ってくる。茶髪の髪を一括りにして、手には木剣を持っている。
彼女の名前はアルテナ。烈炎流の中級で、俺とは少し因縁がある。因縁といっても、ただ試合をして俺が勝っただけだけど。それからは
「やっと来たわね、クルト! さあ、勝負しなさい!」
と、毎回勝負を挑んでくるのだ。別に構わないのだけど、この道場では数少ない女性。俺より3歳年上だったかな。
エリシア様ほどでは無いにしても美人の彼女が、毎回俺に関わってくるので、周りの男たちからの嫉妬の視線が鬱陶しいのだ。
今も周りから睨まれている。さて、どうしようかな。
「ああっ! セリカ! 強化魔法を頼む!」
「わかったよ!」
ローブを着た見た目はロリッ娘の魔法使いのセリカぎ、俺に強化魔法を唱えてくれる。俺の体は全体的に赤く光りだす。
その間に弓兵のソルナが、威嚇射撃として、俺に迫る巨大なイノシシ、ジャイアントボアに矢を放つ。しかし、ジャイアントボアの毛が硬く、中々矢が刺さらない。
そんなジャイアントボアが、俺の身長はどの長さの牙が生えている大顎を振り回しながら走って来る。だけど、俺は避けるつもりは無く、俺の愛剣である大剣を大きく上段に構える。そして、魔闘装を発動する。
兄貴ほどは上手くはいかないけど、ジャイアントボア程度なら、倒す事ぐらい
「出来るんだよ! 烈炎流、大火山!」
俺は迫り来るジャイアントボアの頭めがけて、大剣を振り下ろす。ジャイアントボアは俺の剣を、牙で弾こうとしたが、牙をへし折り、ジャイアントボアの頭を潰してやった。
「カッカッカ、さすがじゃねえかクルト。やっぱり俺が見込んだ男だぜ!」
俺に話しかけてきた男、リックはそう言いながら俺の背をバシバシと叩いて来る。リックは茶髪の男で、俺と同じ烈炎流を習っている。
それから、先ほど俺に魔法をかけてくれたロリッ娘魔法師のセリカ。年齢は13歳と俺たちの中では最年少ながら、髪の毛は緑色。4属性の魔法が使える。
そして最後の1人が、ジャイアントボアを矢で完成してくれた、ユーナだ。金髪の女性で、近接、遠距離に魔法まで色々と使いこなす天才だ。剣術一筋の俺ですら、剣の戦いでギリギリ勝てるぐらいだからな。
リックにセリカ、そしてユーナに俺を合わせた4人でチームを組んでいる。
俺が兄貴たちから離れてもう半年が経った。俺たちは、アルバスト王国から馬車で1週間ほどの場所にあるトルネス王国のガイバル辺境伯の領地へとやって来た。
ここには、アルバスト王国にあった大平原と接する箇所が少しだけだがあって、そこから魔獣が湧いてくるのだ。そのため、この辺境伯は冒険者の数が多い。大平原から現れる特殊な魔獣を狙って。
俺たちもここなら、働き先に困らないだろうと思い、ここにやって来たのだ。働いているのはエリシア様の両親と、俺にミアだ。
エリシア様の両親とミアは、自分たちの知恵を使って、簡単なサンドイッチ店を開いたのだ。しかもそれが地味に流行って、ここのサンドイッチは美味しいと言ってくれる人もいるのだ。
エリシア様の両親たちに、貴族では無くなった生活は、なかなか難しいんじゃないのか。そう考えていたが、普通に和んでいて驚いてしまった。
そして、唯一家にいるエリシア様は、一体何をしているかというと、家で療養中なのだ。理由は病気とかではなくて、いわゆる、おめでた、というものだ。
現在で妊娠6ヶ月だったかな。エリシア様のお腹が少し目立つほどだ。半年前といえば丁度兄貴たちと別れた時だ。その時に兄貴は1発で引き当てのだろう。さすが兄貴だぜ。
エリシア様の両親は、エリシア様のお腹中にいる子供に物凄く溺愛している。その理由の1つが、お腹の中の子供の親を、ウィリアム王子の子供だと勝手に思い込んでいるらしい。
 
まあ、確かに王子と一緒にいた頃ともかぶるから、わからないこともないけど、流石に無いと思う。
「おい、クルト! ちゃっちゃと帰ろうぜ」
俺はリックの言葉に頷く。ジャイアントボアの素材を取り、みんなで街まで戻り、ギルドで確認する。依頼料などはみんなで当分だしな。
「なあ、今日は飲みに行こうぜ、クルト!」
「あー、悪いリック。今日は道場に行きたいんだ」
ギルドで依頼報告を終えて、さて行こうか、となった時にリックはいつも飲みに誘ってくれる。たまには行くのだけど、基本は家に帰るか、烈炎流の道場に行っている。
俺は、兄貴たちと別れてからも、ミアさんとも仲良くやれているし。兄貴たちに会いたいと思う事はあるが、それ以上に、エリシア様のお子様が生まれたら、俺の命に代えても助けてあげないと、と思う事がある。
そして、守れるようにと、俺は烈炎流の門を叩いた。今のままでは弱いと思ったからだ。これから生まれて来る子供のためにも強くならないと。
ここの烈炎流の道場には、上級の師範が数人いる道場で、門下は100人ほどだ。本当は朝から晩まで道場で訓練をしなければならないのだが、今の俺は、烈炎流が中級寄りの下級で、基本は出来ているから、行きたい時だけで構わないと言われている。
冒険者もたまに来るから、そういう事も出来るようだ。冒険者は時間がバラバラだからな。ある程度は自由が効くようになっているみたいだ。
「かー、しゃあねえな。じゃあ、明日は依頼は休みでまた明後日な」
「ああ、わかったよ。じゃあな、リック。よく寝るんだぞセリカ。それじゃあなユーナ」
「おう、またな!」
「子供扱いはやめてほしいのです! でもさよならなのです!」
「ええ、またね」
みんなと別れてから、俺は烈炎流の道場へ向かう。烈炎流の道場へと入ると、中からは物凄い熱気に包まれている。
俺も入ると、中から1人の女性が寄ってくる。茶髪の髪を一括りにして、手には木剣を持っている。
彼女の名前はアルテナ。烈炎流の中級で、俺とは少し因縁がある。因縁といっても、ただ試合をして俺が勝っただけだけど。それからは
「やっと来たわね、クルト! さあ、勝負しなさい!」
と、毎回勝負を挑んでくるのだ。別に構わないのだけど、この道場では数少ない女性。俺より3歳年上だったかな。
エリシア様ほどでは無いにしても美人の彼女が、毎回俺に関わってくるので、周りの男たちからの嫉妬の視線が鬱陶しいのだ。
今も周りから睨まれている。さて、どうしようかな。
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