黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
134話 処罰
「いやー、悪かったなロンドル、ガウェイン。担いで帰ってもらって」
俺はベッドの上で頭を書きながら2人に謝る。ミネルバさんを倒した後は、初めての試みをしたせいか、魔力枯渇に全身筋肉痛という体を動かすのが億劫な状態になってしまい、気を失ってしまったのだ。
そのため、ガウェインが俺を、ロンドルがミネルバさんを王都まで運んだと言う。
「別に構わねえよ。討伐に来ていた軍に馬車を借りたからな。それよりも早く顔を見せてやれよ」
ロンドルがニヤニヤしながらそんな事を言って来た。隣に立つガウェインもニヤニヤとしている。なんだ一体? 隣の部屋に行けと言うので、筋肉痛に痛む体に鞭を打って移動する。
俺は隣の部屋の前まで行って扉を叩くと、中から声が聞こえてくる。そして俺の名前を言うと、中でドタバタ激しい音が聞こえて来た。そして、ドバァン! とんでもない勢いで開かれた扉から現れたのは
「レディウス様!」
ヘレナさんだった。部屋から出て来て勢いよく俺に抱きついてくる。中にはまたしてもニヤニヤとしたフローゼ様と「私も〜」と言うベアトリーチェ様に「きょ、今日だけは我慢よ……」と苦虫を潰したような顔をするヴィクトリアがいた。
その奥にあるベッドにはミネルバさんが眠っていた……良かった、俺が切ってしまった腕は肩で繋がっている。でも今はそれよりも
「良かったです……本当に……ぐすっ……良かったですぅ……」
俺に抱きついていたヘレナさんが泣き出してしまったのだ。後ろでヴィクトリアが「……私も心配したもん……」って怒っている。後で何かしなければ。
「ヘレナさん、泣かないでください。俺の意志で戦ってこうなったのですから、ヘレナさんが気に病む事はありません」
「で、ですが、私がお願いしなければ……」
「多分、ヘレナさんにお願いされなくても行っていたと思います。だから気にしないで下さい」
「……はい」
俺の言葉でようやく納得してくれた。俺が部屋に入ると、ベアトリーチェ様が俺の手を引っ張ってくれる。
「申し訳ありません、フローゼ様、助けたの良いのですが、気を失ってしまって。ヴィクトリアも心配かけてごめん」
「私は良いのよ。ロンドルたちから気を失っているだけだと聞いてたから。だから、ね」
フローゼ様はそう言ってウィンクをしてくる。そして隣を見る。隣にはぷくぅと頬を膨らませて「私怒っています!」と顔で表しているヴィクトリアが座っていた。
俺と目が合うとプイッと顔を逸らされる……これは相当怒っているな。俺がヴィクトリアの目の前に立つと、ヴィクトリアは体の向きを変える。再び前に立ってもまた向きを変える。
俺が戸惑っているのに見兼ねてかフローゼ様は
「もう、ヴィクトリアったら。嫉妬ほど醜いものは無いわよ?」
と言う。すると、ヴィクトリアはがばっとフローゼ様の方を見て口をパクパクさせる。どうしたのだろうか? フローゼ様に何か言おうとしたが、はぁ〜、と息を吐いて諦めてしまった。そして
「無事で良かったです、レディウス」
俺に微笑みながらそう言うヴィクトリア。
「そ、その心配かけて悪かったな。許してくれヴィクトリア」
「別に怒っていませんよ。さっきのはまた別の件ですから」
「別の件?」
俺が首を傾げていると、ヴィクトリアは別に何も無いと言う。これ以上聞いても答えないだろう。また話をしよう。それよりも今は
「ミネルバさんはどうですか?」
眠っているミネルバさんの状態だ。今はぐっすり眠っているようだが。
「あなたが気を失っている間に目を覚ましたわよ。マンネリーが死んだせいか、記憶を失うという契約も無くなってヘレナの事は思い出していたようだし。今はまた眠ってしまったけど」
それは良かった。目を覚ましたんだな。俺はホッとして座る。だけど、フローゼ様の顔は暗い。まだ何かあるのだろうか?
「ただ、ミネルバが魔獣になっていた頃の記憶は無いようなの。それに国としての処罰も決まったわ」
「……どのような決定でしょうか?」
「ミネルバは死刑になったわ」
……考えたくは無かったが、やはりそうなってしまったか。幾ら、記憶が無かったし奴隷だったとはいえ、ミネルバさんは多くの兵士を殺しすぎた。だけど、それではやっぱりミネルバさんが可哀想だ。
「フローゼ様! 死刑以外の方法は無いのですか!?」
「レディウス君はミネルバを助けたいの? どうして? ミネルバは赤の他人でしょ? それどころかあなたたちを殺そうとまでしたのよ。それでも助けたいの?」
そんなフローゼ様の問いに俺はすかさずに答える。
「当たり前です! 俺はヘレナさんと約束してんです。絶対に助けると」
「……れでぃうす……さまぁ……」
俺は真っ直ぐとフローゼ様を見る。せっかくミネルバさんを助けたのに殺されてたまるかよ。俺たちが命を賭けた理由が無くなる。
そういう俺の答えに何か思う事があったのか、フローゼ様はニンマリと物凄い笑顔で俺を見てくる。
「その言葉を待っていたわよ、レディウス君! 1つだけミネルバを助ける方法があるわ!」
フローゼ様はそう言ってふふん! と胸を張る。その隣でベアトリーチェ様も真似をしてふふーん! と胸を張っている。可愛い。だけど、今はミネルバさんを助ける方法だ。
「その方法はなんですか!?」
「その方法はね……」
俺はベッドの上で頭を書きながら2人に謝る。ミネルバさんを倒した後は、初めての試みをしたせいか、魔力枯渇に全身筋肉痛という体を動かすのが億劫な状態になってしまい、気を失ってしまったのだ。
そのため、ガウェインが俺を、ロンドルがミネルバさんを王都まで運んだと言う。
「別に構わねえよ。討伐に来ていた軍に馬車を借りたからな。それよりも早く顔を見せてやれよ」
ロンドルがニヤニヤしながらそんな事を言って来た。隣に立つガウェインもニヤニヤとしている。なんだ一体? 隣の部屋に行けと言うので、筋肉痛に痛む体に鞭を打って移動する。
俺は隣の部屋の前まで行って扉を叩くと、中から声が聞こえてくる。そして俺の名前を言うと、中でドタバタ激しい音が聞こえて来た。そして、ドバァン! とんでもない勢いで開かれた扉から現れたのは
「レディウス様!」
ヘレナさんだった。部屋から出て来て勢いよく俺に抱きついてくる。中にはまたしてもニヤニヤとしたフローゼ様と「私も〜」と言うベアトリーチェ様に「きょ、今日だけは我慢よ……」と苦虫を潰したような顔をするヴィクトリアがいた。
その奥にあるベッドにはミネルバさんが眠っていた……良かった、俺が切ってしまった腕は肩で繋がっている。でも今はそれよりも
「良かったです……本当に……ぐすっ……良かったですぅ……」
俺に抱きついていたヘレナさんが泣き出してしまったのだ。後ろでヴィクトリアが「……私も心配したもん……」って怒っている。後で何かしなければ。
「ヘレナさん、泣かないでください。俺の意志で戦ってこうなったのですから、ヘレナさんが気に病む事はありません」
「で、ですが、私がお願いしなければ……」
「多分、ヘレナさんにお願いされなくても行っていたと思います。だから気にしないで下さい」
「……はい」
俺の言葉でようやく納得してくれた。俺が部屋に入ると、ベアトリーチェ様が俺の手を引っ張ってくれる。
「申し訳ありません、フローゼ様、助けたの良いのですが、気を失ってしまって。ヴィクトリアも心配かけてごめん」
「私は良いのよ。ロンドルたちから気を失っているだけだと聞いてたから。だから、ね」
フローゼ様はそう言ってウィンクをしてくる。そして隣を見る。隣にはぷくぅと頬を膨らませて「私怒っています!」と顔で表しているヴィクトリアが座っていた。
俺と目が合うとプイッと顔を逸らされる……これは相当怒っているな。俺がヴィクトリアの目の前に立つと、ヴィクトリアは体の向きを変える。再び前に立ってもまた向きを変える。
俺が戸惑っているのに見兼ねてかフローゼ様は
「もう、ヴィクトリアったら。嫉妬ほど醜いものは無いわよ?」
と言う。すると、ヴィクトリアはがばっとフローゼ様の方を見て口をパクパクさせる。どうしたのだろうか? フローゼ様に何か言おうとしたが、はぁ〜、と息を吐いて諦めてしまった。そして
「無事で良かったです、レディウス」
俺に微笑みながらそう言うヴィクトリア。
「そ、その心配かけて悪かったな。許してくれヴィクトリア」
「別に怒っていませんよ。さっきのはまた別の件ですから」
「別の件?」
俺が首を傾げていると、ヴィクトリアは別に何も無いと言う。これ以上聞いても答えないだろう。また話をしよう。それよりも今は
「ミネルバさんはどうですか?」
眠っているミネルバさんの状態だ。今はぐっすり眠っているようだが。
「あなたが気を失っている間に目を覚ましたわよ。マンネリーが死んだせいか、記憶を失うという契約も無くなってヘレナの事は思い出していたようだし。今はまた眠ってしまったけど」
それは良かった。目を覚ましたんだな。俺はホッとして座る。だけど、フローゼ様の顔は暗い。まだ何かあるのだろうか?
「ただ、ミネルバが魔獣になっていた頃の記憶は無いようなの。それに国としての処罰も決まったわ」
「……どのような決定でしょうか?」
「ミネルバは死刑になったわ」
……考えたくは無かったが、やはりそうなってしまったか。幾ら、記憶が無かったし奴隷だったとはいえ、ミネルバさんは多くの兵士を殺しすぎた。だけど、それではやっぱりミネルバさんが可哀想だ。
「フローゼ様! 死刑以外の方法は無いのですか!?」
「レディウス君はミネルバを助けたいの? どうして? ミネルバは赤の他人でしょ? それどころかあなたたちを殺そうとまでしたのよ。それでも助けたいの?」
そんなフローゼ様の問いに俺はすかさずに答える。
「当たり前です! 俺はヘレナさんと約束してんです。絶対に助けると」
「……れでぃうす……さまぁ……」
俺は真っ直ぐとフローゼ様を見る。せっかくミネルバさんを助けたのに殺されてたまるかよ。俺たちが命を賭けた理由が無くなる。
そういう俺の答えに何か思う事があったのか、フローゼ様はニンマリと物凄い笑顔で俺を見てくる。
「その言葉を待っていたわよ、レディウス君! 1つだけミネルバを助ける方法があるわ!」
フローゼ様はそう言ってふふん! と胸を張る。その隣でベアトリーチェ様も真似をしてふふーん! と胸を張っている。可愛い。だけど、今はミネルバさんを助ける方法だ。
「その方法はなんですか!?」
「その方法はね……」
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