黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
30話 森の中で
「レディウス、撃つよ! ウィンドカッター!」
後ろから聞こえるアレスの言葉に、俺はその場から跳ぶように避ける。そしてアレスが放った風の刃は、俺を通り過ぎ、ゴブリンたちへと降り注ぐ。
「ギ、ギギィ!」
6体いたゴブリンの内3体が首が飛ぶか、体を切られて倒れる。そして、残りの3体は、仲間がやられて呆気にとられているところを俺が切る。
「ふぅ。大丈夫か、アレス」
「もちろんさ。僕は後ろで魔法を撃っていただけだからね。それよりも、レディウスこそ怪我はない?」
「ああ。ゴブリン程度は大丈夫だ」
俺たちがパーティーを組んで今日で3日目だ。予定だと、今日で魔山の麓まで行ける予定だ。この3日間は殆ど問題なく進む事が出来た。
水はアレスが水魔法を使えるので、非常用だけ持ってきたので、かなり軽くなったし、山の近くには川も流れているらしい。食べ物も干し肉にはなるが必要数持ってきた。
夜は、ロポが警戒してくれているので、安心して眠れる。こいつ基本は俺のフードの中で寝ているからな。それに魔獣だからか、何日か寝なくても大丈夫みたいだ。
ただ問題があって、アレスは毎晩体を拭きたがるのだ。清潔なのはいい事なのだが、何故か俺に見るなと言ってどこかへ行ってしまう。
俺も別に男の体には興味は無いから良いのだが、何かあったら直ぐ助けられる位置にはいて欲しいのだが。まあ、毎回ロポが付いて行ってはくれているので大丈夫だとは思うのだが。
「そういえば、コカトリスってどんな姿しているんだ?」
1番重要な姿を知らなかったな。
「僕も聞いた話だけど、かなり巨大な鶏らしいよ。もちろん、普通の鶏とは比べものにならないくらい凶暴だけど。
トサカは刃物みたいに鋭く、そのトサカに切られると鉄すらも切り裂くらしい。体も硬く、普通の攻撃じゃあ通らない。
尻尾は蛇の頭が付いていて、単独で攻撃してくるそう。蛇の頭の数が多いほど強いらしい」
話に聞けば聞くほど厄介な魔獣だな。今までで最大は5本だったらしい。体長5メートルほどで、そこまでいくとAランクぐらいじゃないと厳しいらしい。まあ、そんなのは今までで1回しか出た事ないらしいが。
そして、森の中を歩く事2時間。予定では1時間ほどで辿り着く予定だったが、ようやく山の麓まで辿り着いた。思いの外魔獣に襲われて、手間取ってしまった。
ゴブリンにオーク、ウッドウルフなど、強くはないけど、1匹見つけたら複数いる奴らばかりだった。オークの肉以外は、全て剥ぎ取らず放置した。全て剥ぎ取るのは時間がかかるし、余り荷物を増やしても、持てないし、進むのが遅くなるからな。
「日が暮れそうだ。今日はここで野宿して、明日の朝、山を登るとしようか」
「うん、そうだね。僕は辺りで燃やせそうな木の枝を探してくるよ」
「わかった。ロポ、付いて行ってあげてくれ。俺は周りに魔物がいないか少し見てくる」
「わかったよ。さあ、行こうかロポ」
「グゥ」
よし、俺も少し、周りを見てくるか。肉はオークの肉があるから、それを焼いてと。後は川を探してみるか。山の方に行ったらわかるかな。アレスの言葉通りだったらあるはずなのだけど。
……そういえば、耳を纏で強化したらどうなるのだろうか。ミストレアさんから習ったのは、魔法で強化すると感覚が鋭くなると言うのを習った。
その通り、纏をしていると、気配を感じやすくなるし、魔闘眼をすると魔力を見えるようになり、魔力の量によっては遠くを見たりも出来た。
なら、耳に纏をすれば、よく聞こえるようになるんじゃないのかな。……物は試しだ。やってみよう。耳に意識を集中して。魔力を耳に集めて……ザー……レディ……ザーザー……ほ……言え……な……ザー……グゥ……
間に、アレスとロポが喋っているような声が聞こえたが、水の流れる音っぽいのが聞こえた。これは良いな。俺は水の流れる音がする方へ歩く。
「こっちだと思うのだが……あ、ホワイトラビット」
水の流れる音らしき方へ向かっていると、草むらからぴょこっとホワイトラビットが顔を出す。懐かしいな。昔はあいつを狩るのに精一杯だったけど今は
「魔闘脚」
「グッ!」
俺は、魔闘脚で足の速度を上げ、一気にホワイトラビットまで距離を詰める。ホワイトラビットが逃げようとする前に、首を掴んでボキッと首の骨を折る。少し可哀想だが今日の晩御飯になってもらおう。
血抜きは直ぐにした方が良いのだが、水場が近いからそこまで行くか。川川川っと、音が少しずつ近くになって……げ、オークまでいるじゃないか。今は川の水を飲んで気づいていないが。
でも、それもそうか。水は生きるのに必要だからオークも使うのだろう。全部で3体。さっさとやってしまうか。
俺は腰から剣を抜き、一気にオークたちへ迫る。1番近くのオークは俺に気が付いたが、体を完全にこちらに向ける前に袈裟切りをする。左肩から斜めに切られたオークはそのまま後ろへ倒れる。
他のオークはその倒れる音に気が付いたが
「風切!」
旋風流の技で、斬撃を放つ技だ。烈炎流にもあるが、烈炎流のは一撃が重たい斬撃に対して、旋風流は威力は小さいが数を放つ事が出来る。威力が小さいと言っても、人間だと腕を飛ばす事は容易だ。
オーク相手だとそれは厳しいが、怯ませるのには十分だ。オークたちは顔は守ろうと両腕を交差させ防御する。その隙に俺はオークに迫り首に剣を突き刺し、そのまま右に振るう。
2体目のオークは首が半分千切れ、前に倒れ込んだきた。3体目のオークはその光景を目の前で見て怒ったのか、右手で殴りかかる。
俺は明水流で腕を逸らし、その腕を伝う様に剣を動かす。腕から肩へ、肩からそのまま首へ流れる様に剣を動かし、そしてオークの首を切り裂く。オークの首は切り落としたが、そこから血が吹き出し、思いっきりかかってしまった。
「げっ、これは失敗したな。このままだと臭うしなぁ。仕方ない。丁度川があるんだ。ここで流すか」
オークの死体は放っておいたら、ウルフやゴブリンが食べてくれるだろう。オーク肉はここに来るまでに結構な量取れたから要らないしな。
俺はオークの死体から離れるため、少し下流へと歩く。気配に反応無しと。この辺なら大丈夫か。俺は自分の服を確認する。
服は大丈夫だが、マントにべったり付いてしまったな。1日干したら乾くかな? 頭にも付いたから洗いたいし。
俺は服を脱いで川に入る。ちょっと冷たいが、まあ、我慢は出来る程だ。でも気持ちいな。最近は体を拭く事しか出来なかったからな。これがお湯だったら格別なのだが。
マントを川につけると、うわぁ、マントのつけたところから赤くなっていく。結構吹き出したからなぁ。ゴシゴシゴシと。俺は入念に洗う。
ヘレネーさんから貰った木の実も使う。これを使うと、泡が立って洗濯したら綺麗になるのだ。結構需要があるみたいでこの木の実を作る農家もあるらしい。木の実の名前は確かアライの実だったかな。うろ覚えだ。
少しゴシゴシすると泡立ってきた。この泡にまみれて血も流れていく。ある程度落ちたら、川につけて泡を流す。これで良いかな。
後は頭についた血を流すために水に頭を突っ込む。……プハァ! 水の中で頭もゴシゴシしたから多分大丈夫だと思うが。俺は髪をかきあげて、ベタついていないか確認する。触った感じ大丈夫だが……そんな時
「きゃあああ!」
と森から叫ぶ声が聞こえてきた。俺は直ぐに川を出て、剣を持つが、森から出てきたのは
「グゥ」
ロポだった。ロポは叫ぶ声は知らんな、という風に川まできて、ペロペロと水を飲み始めた。ロポがここにいるって事は
「アレスなのか?」
さっきの悲鳴はもう1人の同行者しかいないはずだ。俺が呼びかけると
「そ、そうだけど、ま、前!」
「前?」
「し、下、か、隠してよぉ!」
と森の中から叫ぶ声が聞こえる。下って……ああ、下か。でも、男同士なのになんで恥ずかしがっているんだ? 他の人のを見た事ないからか? まあ、俺も無いけど。
でもまあ、アレスがあそこまで叫ぶんだ。何かあるのだろう。俺は荷物を置いているところまで行き、布で体についた水を拭き取る。そして下を履いて
「アレス、これなら大丈夫か?」
森に問いかけてみる。すると、森から恐る恐るとアレスが顔を出して
「な、なんで上は着てないのさ!」
と再び怒鳴られた。何だよ。上ぐらい良いじゃ無いか。別に下みたいに恥ずかしいものじゃ無いのだから。
そう思うのだが、このままだとアレスが森から出て来てくれなさそうなので、俺は渋々ながら上も着る。これでようやくアレスは森から出て来てくれた。
「ま、全くもう! 水の流れる音がすると思って来て見たら、まっ裸の男がいるんだから! びっくりしたじゃないか! ……うぅぅ、それに男のアレ、大きかったし、傷が凄かったし……ゴニョゴニョ……」
「はは、それは悪かったな。うん? それに、から最後の方が聞こえなかったが何か言った?」
「な、何でも無いよ! そ、それよりも早く野営の準備をしよう。もう直ぐ暗くなってしまう」
 
アレスは直ぐに森に向かって足早に戻ってしまった。俺も荷物を持って、直ぐにアレスの後を追う。ロポも俺の後について来る。
その日の野営は、何故かアレスといつも以上に距離があった。何でだろうか?
後ろから聞こえるアレスの言葉に、俺はその場から跳ぶように避ける。そしてアレスが放った風の刃は、俺を通り過ぎ、ゴブリンたちへと降り注ぐ。
「ギ、ギギィ!」
6体いたゴブリンの内3体が首が飛ぶか、体を切られて倒れる。そして、残りの3体は、仲間がやられて呆気にとられているところを俺が切る。
「ふぅ。大丈夫か、アレス」
「もちろんさ。僕は後ろで魔法を撃っていただけだからね。それよりも、レディウスこそ怪我はない?」
「ああ。ゴブリン程度は大丈夫だ」
俺たちがパーティーを組んで今日で3日目だ。予定だと、今日で魔山の麓まで行ける予定だ。この3日間は殆ど問題なく進む事が出来た。
水はアレスが水魔法を使えるので、非常用だけ持ってきたので、かなり軽くなったし、山の近くには川も流れているらしい。食べ物も干し肉にはなるが必要数持ってきた。
夜は、ロポが警戒してくれているので、安心して眠れる。こいつ基本は俺のフードの中で寝ているからな。それに魔獣だからか、何日か寝なくても大丈夫みたいだ。
ただ問題があって、アレスは毎晩体を拭きたがるのだ。清潔なのはいい事なのだが、何故か俺に見るなと言ってどこかへ行ってしまう。
俺も別に男の体には興味は無いから良いのだが、何かあったら直ぐ助けられる位置にはいて欲しいのだが。まあ、毎回ロポが付いて行ってはくれているので大丈夫だとは思うのだが。
「そういえば、コカトリスってどんな姿しているんだ?」
1番重要な姿を知らなかったな。
「僕も聞いた話だけど、かなり巨大な鶏らしいよ。もちろん、普通の鶏とは比べものにならないくらい凶暴だけど。
トサカは刃物みたいに鋭く、そのトサカに切られると鉄すらも切り裂くらしい。体も硬く、普通の攻撃じゃあ通らない。
尻尾は蛇の頭が付いていて、単独で攻撃してくるそう。蛇の頭の数が多いほど強いらしい」
話に聞けば聞くほど厄介な魔獣だな。今までで最大は5本だったらしい。体長5メートルほどで、そこまでいくとAランクぐらいじゃないと厳しいらしい。まあ、そんなのは今までで1回しか出た事ないらしいが。
そして、森の中を歩く事2時間。予定では1時間ほどで辿り着く予定だったが、ようやく山の麓まで辿り着いた。思いの外魔獣に襲われて、手間取ってしまった。
ゴブリンにオーク、ウッドウルフなど、強くはないけど、1匹見つけたら複数いる奴らばかりだった。オークの肉以外は、全て剥ぎ取らず放置した。全て剥ぎ取るのは時間がかかるし、余り荷物を増やしても、持てないし、進むのが遅くなるからな。
「日が暮れそうだ。今日はここで野宿して、明日の朝、山を登るとしようか」
「うん、そうだね。僕は辺りで燃やせそうな木の枝を探してくるよ」
「わかった。ロポ、付いて行ってあげてくれ。俺は周りに魔物がいないか少し見てくる」
「わかったよ。さあ、行こうかロポ」
「グゥ」
よし、俺も少し、周りを見てくるか。肉はオークの肉があるから、それを焼いてと。後は川を探してみるか。山の方に行ったらわかるかな。アレスの言葉通りだったらあるはずなのだけど。
……そういえば、耳を纏で強化したらどうなるのだろうか。ミストレアさんから習ったのは、魔法で強化すると感覚が鋭くなると言うのを習った。
その通り、纏をしていると、気配を感じやすくなるし、魔闘眼をすると魔力を見えるようになり、魔力の量によっては遠くを見たりも出来た。
なら、耳に纏をすれば、よく聞こえるようになるんじゃないのかな。……物は試しだ。やってみよう。耳に意識を集中して。魔力を耳に集めて……ザー……レディ……ザーザー……ほ……言え……な……ザー……グゥ……
間に、アレスとロポが喋っているような声が聞こえたが、水の流れる音っぽいのが聞こえた。これは良いな。俺は水の流れる音がする方へ歩く。
「こっちだと思うのだが……あ、ホワイトラビット」
水の流れる音らしき方へ向かっていると、草むらからぴょこっとホワイトラビットが顔を出す。懐かしいな。昔はあいつを狩るのに精一杯だったけど今は
「魔闘脚」
「グッ!」
俺は、魔闘脚で足の速度を上げ、一気にホワイトラビットまで距離を詰める。ホワイトラビットが逃げようとする前に、首を掴んでボキッと首の骨を折る。少し可哀想だが今日の晩御飯になってもらおう。
血抜きは直ぐにした方が良いのだが、水場が近いからそこまで行くか。川川川っと、音が少しずつ近くになって……げ、オークまでいるじゃないか。今は川の水を飲んで気づいていないが。
でも、それもそうか。水は生きるのに必要だからオークも使うのだろう。全部で3体。さっさとやってしまうか。
俺は腰から剣を抜き、一気にオークたちへ迫る。1番近くのオークは俺に気が付いたが、体を完全にこちらに向ける前に袈裟切りをする。左肩から斜めに切られたオークはそのまま後ろへ倒れる。
他のオークはその倒れる音に気が付いたが
「風切!」
旋風流の技で、斬撃を放つ技だ。烈炎流にもあるが、烈炎流のは一撃が重たい斬撃に対して、旋風流は威力は小さいが数を放つ事が出来る。威力が小さいと言っても、人間だと腕を飛ばす事は容易だ。
オーク相手だとそれは厳しいが、怯ませるのには十分だ。オークたちは顔は守ろうと両腕を交差させ防御する。その隙に俺はオークに迫り首に剣を突き刺し、そのまま右に振るう。
2体目のオークは首が半分千切れ、前に倒れ込んだきた。3体目のオークはその光景を目の前で見て怒ったのか、右手で殴りかかる。
俺は明水流で腕を逸らし、その腕を伝う様に剣を動かす。腕から肩へ、肩からそのまま首へ流れる様に剣を動かし、そしてオークの首を切り裂く。オークの首は切り落としたが、そこから血が吹き出し、思いっきりかかってしまった。
「げっ、これは失敗したな。このままだと臭うしなぁ。仕方ない。丁度川があるんだ。ここで流すか」
オークの死体は放っておいたら、ウルフやゴブリンが食べてくれるだろう。オーク肉はここに来るまでに結構な量取れたから要らないしな。
俺はオークの死体から離れるため、少し下流へと歩く。気配に反応無しと。この辺なら大丈夫か。俺は自分の服を確認する。
服は大丈夫だが、マントにべったり付いてしまったな。1日干したら乾くかな? 頭にも付いたから洗いたいし。
俺は服を脱いで川に入る。ちょっと冷たいが、まあ、我慢は出来る程だ。でも気持ちいな。最近は体を拭く事しか出来なかったからな。これがお湯だったら格別なのだが。
マントを川につけると、うわぁ、マントのつけたところから赤くなっていく。結構吹き出したからなぁ。ゴシゴシゴシと。俺は入念に洗う。
ヘレネーさんから貰った木の実も使う。これを使うと、泡が立って洗濯したら綺麗になるのだ。結構需要があるみたいでこの木の実を作る農家もあるらしい。木の実の名前は確かアライの実だったかな。うろ覚えだ。
少しゴシゴシすると泡立ってきた。この泡にまみれて血も流れていく。ある程度落ちたら、川につけて泡を流す。これで良いかな。
後は頭についた血を流すために水に頭を突っ込む。……プハァ! 水の中で頭もゴシゴシしたから多分大丈夫だと思うが。俺は髪をかきあげて、ベタついていないか確認する。触った感じ大丈夫だが……そんな時
「きゃあああ!」
と森から叫ぶ声が聞こえてきた。俺は直ぐに川を出て、剣を持つが、森から出てきたのは
「グゥ」
ロポだった。ロポは叫ぶ声は知らんな、という風に川まできて、ペロペロと水を飲み始めた。ロポがここにいるって事は
「アレスなのか?」
さっきの悲鳴はもう1人の同行者しかいないはずだ。俺が呼びかけると
「そ、そうだけど、ま、前!」
「前?」
「し、下、か、隠してよぉ!」
と森の中から叫ぶ声が聞こえる。下って……ああ、下か。でも、男同士なのになんで恥ずかしがっているんだ? 他の人のを見た事ないからか? まあ、俺も無いけど。
でもまあ、アレスがあそこまで叫ぶんだ。何かあるのだろう。俺は荷物を置いているところまで行き、布で体についた水を拭き取る。そして下を履いて
「アレス、これなら大丈夫か?」
森に問いかけてみる。すると、森から恐る恐るとアレスが顔を出して
「な、なんで上は着てないのさ!」
と再び怒鳴られた。何だよ。上ぐらい良いじゃ無いか。別に下みたいに恥ずかしいものじゃ無いのだから。
そう思うのだが、このままだとアレスが森から出て来てくれなさそうなので、俺は渋々ながら上も着る。これでようやくアレスは森から出て来てくれた。
「ま、全くもう! 水の流れる音がすると思って来て見たら、まっ裸の男がいるんだから! びっくりしたじゃないか! ……うぅぅ、それに男のアレ、大きかったし、傷が凄かったし……ゴニョゴニョ……」
「はは、それは悪かったな。うん? それに、から最後の方が聞こえなかったが何か言った?」
「な、何でも無いよ! そ、それよりも早く野営の準備をしよう。もう直ぐ暗くなってしまう」
 
アレスは直ぐに森に向かって足早に戻ってしまった。俺も荷物を持って、直ぐにアレスの後を追う。ロポも俺の後について来る。
その日の野営は、何故かアレスといつも以上に距離があった。何でだろうか?
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ウォン
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