人外と友達になる方法

コング“シルバーバック”

第12話 学校の七不思議 〜雷王篇〜

 次の日の朝、早速昨日決めた部活見送りのことを報告する。

「え! 部活入らないってどうして!?」

「えっと、いろいろ事情があって……」

「うぅ、でも仕方ないか……」

 バスケ部の宮本は残念そうに肩を落とす。
 家庭の事情とあっては無理に誘うことはできない。
 宮本はまだ諦めきれ無さそうなので、奏鳴の話を聞いて思い付いたことを伝える。

「でも、助っ人としてなら大丈夫だよ」

「本当! やった! ありがとう!」

 宮本は嬉しそうに狐々愛の手を取って声を上げている。
 感情のわかりやすい奴だな。
 後で陸上部の立花にも同じことを説明しなくてはならない。
 と、そのときちょうど立花が登校してきたため悠火と狐々愛は同じ説明をし、同じ反応を見ることになった。




 色々とあったが一応全部が丸く治ったので、ゆっくり昼食を取ることにする。

「さぁ! やってきました鬼嶋奏鳴によるちまたで話題の噂話のコーナー!」

「「はぁ?」」

 いつもの三人で昼食を食べていると、突然なんの前触れもなく奏鳴がそんなことを言い出した。
 悠火と光秀はキョトンとしている。

「はぁ? じゃねぇよ、今日もお前らにとっておきのホットな噂話を教えてやろうとしてるんじゃんか」

「どうせまた、この間みたいなのだろ」

「だね」

 しかし、実際この間の話は河童も妖狐もいたわけで、実は今回もそうなのではないかと悠火は内心興味も持っていた。

「まぁ、聞くだけ聞いてやるよ」

「なんで上から!? まあいいや、で、噂の前に……お前らこの学校の七不思議知ってるか?」

「そんなのあんのか? うちの学校に」

「そんな非科学的なこと僕は知らないよ」

 光秀は幽霊はもちろん妖怪などのオカルトは全く信じていない。
 宇宙人だけは信じているが。
 実を言うと悠火も少し前まではそうだった。
 しかし、今、この瞬間も教室には妖怪がいる。
 なんなら、一緒に住んでいる。
 そのため、信じる信じないとかの話ではなくなってしまった。

「それが、あるらしいんだよ。それもかなり特殊なやつが」

「特殊? ありがちな誰もいない音楽室から〜とか、トイレの花子さんとかじゃなくて?」

「そう。で、俺が聞いたのは
“パソコン室のひとりでに動くパソコン”だ」

「パソコンとはまた随分と近代的な七不思議だな」

「まったくだね」

 この学校のパソコン室は商業科と電気科が使うだけで、悠火たち普通科には何の縁もない場所だ。

「ひとりでに動くってのは?」

「そのまんま。勝手に電源が付いたり消えたりするし、データは消えるは、変なフォルダが出来るはで、大迷惑なんだと」

 確かにデータを消されるとあっては大迷惑もいいところだ。

「で? それで終わりか?」

「……終わり」

「だと思った」

 パソコンを操る近代的な妖怪などいないと思うが、一応家に帰ったら狐々愛に相談してみよう。




「パソコンを操る妖怪じゃと?」

「まさかそんなのいないよね」

「そんな今時の文化に対応した妖怪なんぞおら……んこともないかもしれん」

「マジ?」

「マジじゃ」

 パソコンを使える妖怪など、本当にいるのだろうか。
 実は悠火は狐々愛の一件以来、妖怪について色々と調べている。
 しかし悠火が知らないだけかもしれないが、パソコンを操る妖怪なんて聞いた事がない。

「その妖怪の名前は?」

雷獣らいじゅう……かつて、八つの町と村を滅ぼした……妾の友人じゃった妖怪じゃ……」

 そう語る狐々愛の顔は河童を封印したときのような暗く悲しいように見えた。




読んでいただきありがとうございます。コングです。

ようやく現代アクションの方へ進めそうです。

ちなみに、この話は公開の2分前に書きあがりました。

それではまた次回!



2020/4/13一部改稿

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