幼女に転生した俺の保護者が女神な件。

フーミン

83話 ダンジョンに行こう



 シンシア達は朝から海沿いの綺麗なカフェで朝食を取り、それから図書館へと向かった。
 図書館では読みたい本を金を払って借りる事ができる。それでしばらく借りて、この国から出ていく時に返す事にする。


 本を借りてからは特にする事もなく、暇だった為に綺麗な海にやってきた。


「久しぶりに海見たかも」
「だね〜」


 人の多いこの海では、水着を着て泳ぐ人やただ砂浜を散歩する人。日焼けをするだけの人や水魔法の練習をする人がいた。
 シンシア達は水着を持っていない為、足先だけ海に付けてみる。


「意外と暖かいな」
「ほんとだ〜」


 暖かい水は人の尿が混ざっているとかなんとか……うぅ、考えたくないがついそんな話を昔聞いてしまって思い出してしまった。


 シンシアはローブを濡らさない為にも、海から少し離れてメイドのコリンさんがいないか探す。


「しかし……なんでこの世界の人は皆スタイルが良いんだ……」


 男女共に理想の体型って感じだ。
 女性は貧乳の人はいるが、細身でスタイルの良い身体には貧乳の方が似合う。とにかく皆完璧な体型をしているのだ。


「シンシアちゃんどうしたの?」
「皆スタイルいいな、って思っただけ。コリンさんいない?」


 コリンさんがいないか聞くとサラは目を瞑った。最初は何をしているのか分からなかったのだが、サラは目を開けてこう言った。


「もうこの国にはいないみたい」
「えっ、そうなのか?」
「うん」


 さっきの目を瞑る動作はコリンさんを探す為だったのか。神はいちいちカッコイイな。


 コリンさんがもうこの国にいないとなると、もうあの坊ちゃんの所に帰ったのだろうか。


「……あっ、そうか。ダンジョンかも」
「おぉ〜! じゃあシンシアちゃんダンジョンに行く?」


 確かダンジョンはハンターギルドで受けて、ハンターがそれなりに集まったら皆で馬車に乗って向かうんだったな。


「よし、ギルドに行こう」


◆◇◆◇◆


 シンシア達がギルドにやってくると、周りのハンター達が興味深そうにこちらを見てきた。やはり昨日の騒ぎで少しだけ有名にはなったようである。


「あっ! 昨日の!」


 受け付けの女性も覚えていたようだ。


「どっかのダンジョンに行きたいんだけど」
「ダンジョンですね! では、最近発見されたダンジョンがありますので、そこに行ってみます?」


 そういって1枚の紙を見せてきた。
 ギルドの操作部隊が入っただけの情報だと、魔物の数は多い。罠は全くない。全体的に暗く、暗い場所に強い魔物が多数存在する。
 だそうだ。


「暗い場所かぁ……」
「最初に攻略した方にはこのダンジョンに名前を付けることができるんですよ」
「っ!?」


 じゃ、じゃあ! 『大魔道士シンシアのダンジョン』という名前を付ければ良いのでは!?
 暗い場所を照らす方法は……分からない。光魔法なんてあっただろうか。とりあえず炎を周りに浮かせて視界を確保するしかないだろう。


「今のところこのダンジョンに挑もうしてる人はいませんので、15人から20人程集まるまでギルド内で待機していてください。集まったら皆さんを集めますね」
「分かった」


 そうしてシンシアとサラはギルド内の空いてる席に座って、借りてきた本でも読んで暇を潰すことにした。


「な、なぁアンタ達。凄いハンターなのか?」
「美人さんじゃねぇか」
「お前達やめとけ。どこかのお偉いさんだったら酷い目に遭うぞ」


 周りのハンター達が興味を持って近づいてきた。


「いや、話せることなら話そう。なんだ?」
「おっ仮面の君の名前は?」
「俺はシンシアだ」


 しばらくハンター達に旅をしている事なんかを話していると、1人の魔法使いの女性がやってきた。


「……2人は……凄く強い人……戦ってるとこ……見てみたい。…………ダンジョン……一緒に行ってもいい……?」


 水色のローブをしたその女性は小さな声でそういった。


「一緒に来てくれるなら大歓迎だよ」
「ありがとう……」


 その魔法使いは受け付けの女性に話した後、再び元の席に戻った。


「じゃあ俺も行ってやるか!」
「よっしゃ! やったるで!」


 他のハンター達も次々とシンシア達の行くダンジョンのクエストを受け始めて、あっという間に18人も集まってしまった。


「ではこれからダンジョンに行く皆さんはギルドの裏側に来てください! 馬車で送ります!」


◆◇◆◇◆


 ギルドの裏側、そこにある馬車にシンシアとサラと他のハンター3人。5人ずつそれぞれの馬車に乗った。


「よろしくな!」
「仲良くやろうぜ!」
「おじちゃん達怖くないから、よろしくな〜」


 2人のハンターはサラと握手をして、もう1人のハンターをシンシアの頭を撫でた。好みがバレバレである。


「二人は親子なのか?」
「そうです! ね! シンシアちゃん」
「人妻かぁ」


 親子のつもりで接してるだけであって、本当の家族の関係ではないだろう。


「誤解を生むからやめろ。サラは俺の保護者で、ただ旅に付いてきてるだけだ」
「ん? シンシアちゃんって男の子?」
「いや、女だが」


 やはり一人称が『俺』で顔を隠していれば、声変わりしていない男の子だと思われるか。


「だがまぁ、男だと思っていても構わない。大して変わらないからな」
「僕はシンシアちゃんを女だと思うよ〜。だって雰囲気から可愛いもん」


 そういって頭を撫でてきた。さっきからこのハンターはタッチが多いな。警戒しておいた方が良さそうだ。


「おいおい、怖がられてるぞ」
「あぁ〜ごめんね〜。僕別に少女趣味って訳じゃないんだ。僕子供が大好きでね、よく魔法学院の子供達とも一緒に走り回って遊んだりしてるんだ〜」


 なんだ、ただの精神年齢が幼い人か。
 シンシアはパンを仮面の隙間から口に入れて食べながら、ハンター達とサラの話を聞き流しながらダンジョンへ向かうまでの道をぼんやり眺めていた。

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