幼女に転生した俺の保護者が女神な件。

フーミン

22話 さぁ出発!



「強化旅行だ〜っっ!!」
「ひゃっほ〜い!!」


 朝からアイリとアデルがハイテンションで俺の周りで騒いでいる。


「皆グラウンドに行くよ〜! 一般クラスと護衛のハンターの方達に挨拶しにいくからね」


 サラの支持に従い、俺達はウキウキ気分でグラウンドへ向かった。
 グラウンドには全生徒が座っていて、周りの職員達が色々と説明をしている。


「特別クラスが来た! 全員起立!」


 俺達に気づいた職員は一般クラスを立たせる。すると、1人の生徒が予め練習していたように。


「特別クラスの皆さん! よろしくお願いします!!」
「「よろしくお願いします!」」


 元気よく挨拶をしてくれて、俺は思わず頭を下げる。
 いつもは俺達に不満の目を送る生徒も、今日は旅行の事しか頭になく笑顔で隣の生徒と話したりしている。


「ほら皆、ハンターさん達が来たよ」


 サラが指差した方向から鎧を着た男の人が5人。大きな杖を持って少し際どい服を着た女の人が3人こちらに向かってきていた。


「なんだかこの学校、凄く有名校みたいね」
「だな」


 隣にいるアイリもアデルも、本物のハンターを目の前にして興奮を抑えきれないようだ。
 そんな俺も鎧と武器を持った人が目の前に居れば驚く。コスプレイヤーではなく本物だ。俺の人生にこんな状況がやってくるとは思わなかった。


「君達が特別クラスの生徒達だな。よろしく!」
「「よろしくお願いします」」


 自分の身長と変わらない大きさの剣を持った男性が、陽気な声で手を挙げて挨拶した。
 その後ろにいるハンター達もそんな様子を見て笑っている。


「それでは皆さん! 改めて今回の強化旅行の説明をします!」


 サラが全生徒の前に立って、強化旅行の説明を始めた。


◆◇◆◇◆


「皆さん準備は良いですね〜っ!」
「「はい!」」


 説明も終わり、俺達はそれぞれの配置についた。
 俺はアイリと一緒に最後尾。一般クラスで最も年下の生徒達を守る場所だ。


「では出発します!」


 先頭にいるサラが歩き始めて、全生徒がゆっくり進行始めた。




 学園を出て、街を歩く生徒達を見て住民達は微笑ましく笑っている。


「シンシアちゃんも小さい子達の中に混ざってきたらいいよ」
「なんでだよ」


 目の前で小さい子達が楽しそうに会話をしているが、その少し前の方では俺と変わらないくらいの子達がいる。本来なら俺もあそこに居たんだろうな。
 ふと、最後尾の1人の男の子と目が合った。


「ねえねえお姉ちゃん! お姉ちゃんはハンターさんなの?」
「私? 私は特別クラスだよ」


 しかし俺とは話さずアイリと話し始めた。
 俺はこんなに小さな子にも話しかけてもらえないのか……正直悲しい。


「特別クラスって凄いんだよね!」
「凄いんだよ〜! この子なんて君達とあんまり変わらな年なのに魔力SSなんだよ」
「えっ! 凄いね君!」
「あぁ……そう、うん」


 俺はお姉ちゃんじゃなくて君、なんだね。そうかい。


「んっ!? 今SSって言わなかったか!? 誰が!?」


 そんな話を聞いていたハンターの男性が、俺達の話に興味を持ってきた。


「はい、この子魔力がSSなんです」
「ふぁっ!? お嬢ちゃん凄いな! 流石特別クラス! 俺の仲間になってくれねぇか?」
「いえ結構です……」


 後ろの方も大分賑やかになってきて、この調子だと隣の国に到着する頃には全員静かになってるだろうな。


◆◇◆◇◆


「あ、もうすぐこの国を出るみたいよ」
「おぉついにか」


 先頭の方から情報が伝わってきて、いよいよ国の外に出るようだ。
 多分ここにいるほとんどの生徒は国の外に出るのは初めてだろう。俺も初めてだ。


 目の前に大きく開いた門があり、前の生徒達は開いた門を興味津々に見ながら進んでいく。


「おぉ〜国の外も意外と建物並んでるんだな」


 中よりは自然が多いが、しっかりと道が作られている。横にはお店や馬小屋、監視塔のような建物がある。


「もう少ししたら何もなくかもね」
「こっちの世界に来てから大自然に行くのは初めてだな」
「前はこんな自然に来たことあるの?」


 アイリが興味深そうに聞いてきた。


「うん。一応親の実家が九州でさ、よく山の方に行ってタケノコ掘り手伝ってたよ」
「わぉ……なんか予想以上に自然で過ごしてたんだね」


 今までと全く違う場所に来たせいなのか、アイリはワオなんて外国的なリアクションをしてきた。


「正直都会より田舎の方が生きてて楽しいよ」
「そうなの? 私都会っ子だから田舎の事何も知らないんだよね」


 だから外を見てそんなに興奮してたのか。


「俺がいた場所では、ドライブに連れてって貰った時に野生の鹿とか見れた。夜寝る時は外から綺麗な虫の音が聞こえてきて、幸せだな〜って感じながら1日を終えれるんだよ」
「私もいつか田舎で過ごしてみたいな〜……」


 野良猫が子供産んで生活するストーリーも見れるしな。玄関の外に座ってると猫が近づいてきて、膝の上に乗ってのんびり寝ちゃった時は幸せだった。


「そういやこっちって猫とかいるのか?」
「いるよ。でも皆魔力とか持ってるから知能も攻撃性も高いの。懐いたら可愛いんだけどね」


 魔力持ちの猫か。ジブリの映画を思い出すな。


 それからも俺達は他の生徒達やハンターと話しながら、大自然の中隣の国に続く道を進んでいった。

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