俺は5人の勇者の産みの親!!

快晴シャリラ

第34話 シフトチェンジ

 
「本当に……ごめんなさい……!! 私、どうしても、リュート様のお写真がほしくて……メロちゃんに頼んでしまいまして……」

「なんで俺の画像なんだよ。それ、本当に必要なのか?!」

 俺は一枚一枚、丁寧に拾うとそれをペラペラとめくる。

「アリア。別に、写真くらい一緒に撮るぜ? ただ、ストーカーまがいの事はして欲しく無いだけさ」

 ぺらぺら、すっ。
 ぺらぺらぺら、すっ、すっ。

「でも私、リュート様とあまり仲良く無いですし……。第一、リュート様になんと話しかければ良いか……」

 ぺら、すっ。

「まぁ、普通でいいんじゃないか? アリア、みんなからクラスのリーダーだとか言われてるらしいじゃんか? 話しかけやすいだろ、そのスタンスなら」

「そんなことないですわ! 何故か金髪の長髪だからと、それが理由で大人びててリーダーっぽいって……その発言のせいですわ」

 ぺらぺらぺら。

「それくらいアリアは王女様の気品が出てんじゃねぇの? 俺は思うぜ、アリアは可愛いって。勇気出して話しかけてみろよ?」

 ぺらぺら、とんとん。

  ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎

 私、アリアは本当はリュート様の事なんて、正直好きではありませんわ。
 ただの予行練習のための写真ですの。
 その写真を眺めながら、どう話をかけるか、何が好きなのか、どうやって過ごしているのか。
 ……どうやったら好きではない人間を好きになれるのか。
 それには、この画像が必要でしたの。
 なのに……。
 まだ、写真を一枚も見てないのに...。

 きゅん……。

 ◆◆◆◆◆◆

「俺たちは、別にアリアが嫌いじゃないからさ! 気軽に話しかけろよ!」

 俺は、白い直方体の写真の束を渡す。
 俺は彼女を泣かせてしまった事を少しだけ悪いなと思い、写真写りの良さそうな笑顔を見せると、俺の白い歯がアリアの眼に映る。

 と、彼女は頰にチークを塗ったように頰をポッと赤くする。

 アリアは流れた涙に俺を映し、彼女の可愛い頰を流れていってベッドに染み付いた。
 写真ではないから、その風景は保存はできない。
 だが、保存しなくてもよくなる方法なんていくらでもある。
 そのある方法はアリアには不可能だった、今まではね。

「ほらアリア、何やってんの。仕方のない子ね」

 アリアの伝う雫が頰から落ちると、白い病室にシミができ、そこは冷たくなっていく。

 カノンは自分のスマホを壁に立てかけ、画面の中で俺たち3人がひしめき合っている。

「ほら、アリア! 笑いなさい!」

 俺はアリアの横に座るとにっしと笑う。
 ふわふわで柔らかそうな巨大おっぱいに少しだけ見とれてしまいそうになるが、おっぱいを覗き込んでる写真を撮られるのは流石にカノンにバレたらまずい。
 股をグッとしながら俺は正面を向いてVサインを作った。

 金色に揺れる世界は、アリアの体を包み込む。
 白かった世界に広がる、一つの世界。
 俺は、その世界の中心にいる、みんなのための主人公なのだ。

 なにかの光があまりに眩しくて、目を開けていられない。
 ちがう、これは照れなのか、目を見られない。

「ありがとう……リュート様……カノン……!」

 泣き出すアリアは俺の腕をギュッと掴んで顔を埋める。
 そして俺は金髪の女の子の頭をポンポン叩いてギュッとした。

「心配ねぇよ、俺たちがずっと一緒にいるからさ。安心して寄り添っていいからな?」

「……はい、リュート様!」

 カノンはスマホのダイヤルを回す。

 残り10秒……。

「ほら、寄って寄って!」

「ちょ、なんで間に入ろうとするの、カノン!」

「おっ馬鹿! 痛いって! 足踏むなカノン!」

「ほら、5秒しかない!」

「リュートさま……リュートの横は私がいいんですわ!」

「あっ、もう! じゃ、間に挟むわよ、リュート!」

「えっ、流石に、2人に挟まれるのは照れるって、おいっ!!」

 プルプル柔らかおっぱいに挟まれてやばい!
 ギンギンのまま写真に写るわけには……!

 3

 2……

 最後のカウントダウン、俺は満面の笑みで写真に移ろうと口角を上げた瞬間の出来事だ。

 ちゅっ。

 アリアの唇が、俺の頰に触れる。

 その音に反応したのか、カノンは猛スピードで振り向く。

 パシャり。

「あぁ! ちょっとアリア、それは流石にダメでしょう! 取り直しよ、取り直し!」

「ダメですわ、カノン。こういうのはやったもの勝ちですわ!」

 2人の女の子が、一つのスマホに群がる中、俺は二枚の肉に吸い付かれたところを撫でてみる。

 少しだけ、聞こえた気がする。

「す……きですわ……!」

 なんだよ、アリア、やればできんじゃん。
 そう、世界は全部酷かねぇよ。
 ふっ、今立ち上がれば完全にテントだな。

 俺は金髪の女の子と黒髪の女の子の2人を眺める。

 そうか。
 女の子って沢山いるじゃん。
 なんで俺、カノンばっかりに固執してるんだろ。
 よく考えたら可笑しな話だよな。

 俺はポケットから先ほど押収した、厳選されしエロ写真たちを取り出してペラペラとめくっていく。
 エロ写真、訳せば『アリアが持っていると流石にマズイ写真たち』である。

 そして、見た瞬間に写真立てに飾るしかないと思った一枚の写真をじっと眺める。

『季本が江夏にディープキスされる画像・これもサービス!』

 その写真の中で目をギュッと瞑るカノンを眺めながらそれにキスをしてみる。

 なんだか何も感じなくなってる気がする。
 今までなら、カノンの姿を見るだけでも良かったのに、今の一瞬で何かがひっくり返ったような……。

 ……俺とセックスすることしか考えてない女よりも、俺のことを好いてくれる女の子と一緒にいた方がお互い幸せになれるんじゃないか?

 その写真を4本の指で持つと、一気に力を入れた。

 びりびりびりびり!!!!!!

 その音は、彼女たちには聞こえない。

 ただ、俺の心が破れる音は、どうやらカノンには響いたようだ。

 急に振り返るカノン。
 忘れてたよ、感情リンクって面倒な魔法があったっけな。
 俺の方を向くカノン、彼女は少しだけ悲しそうな顔をしたが、俺に何も言わずに再びアリアの方に振り返った。

 ◆◆◆◆◆◆

 ……今、私の事をフったのかな? リュート……。

 感情のリンクというものは、不便だ。
 なんでも見えてしまう分、見たく無いものまでも見えてしまうのだ。

 やっぱり、私の願いは好きな人には届かないのでしょうか?

 ラビリティカ様……!!

 つづく。

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