俺は5人の勇者の産みの親!!

快晴シャリラ

第33話 アリアちゃん、死す


 くしゃくしゃになった写真の裏にはこう書いてあった。
『江夏が亜梨愛さんに季本のアレを見せちゃう ︎[限定版]』

 その画像は、アリアが倒れるに至った事件の写真だ。

 雑に貼られたシールの上に油性ペンで10000と書いてあり、『お買い上げありがとうございます』と添え書きもあった。

 ガチでやりやがったなカマキリ女……!!

「ち、ちち、違うんですの、リュート様! この写真はですね、ひ、拾ったんですの! そんな、誰かから買ったとかそんなことは一切ありませんわ!」

「嘘つけ、アリア! さっきメロがこの部屋から飛び出したの見たぞ!」

 写真をさらにくしゃくしゃに丸めると、俺は近くのゴミ箱に投げる。
 こんこんといい音を立ててゴミ箱の中で回転すると、まもなく死んだように静止した。

「ねぇリュート、なんの写真なのよこれ」

 俺はその写真を回り込んで確認する。
 その写真を見つめるカノンだが、なんの画像かはわからないようだ。
 ただわかるのは、俺が洋式便所の中身をじっと見つめる画像だ。
 右手が分身して、よく見えない。

「わっわっ!! あのカマキリ女、トイレの画像まで撮ってやがる!」

 何かを頑張って出そうとしているのだろうか、俺の顔は真剣に右手に向いている。
 日付は、今日の昼前だ。

「……リュート?これさもしかしてさ、トイレに駆け込んで行った時のやつ? ……やっぱりシコっ」

「わ! 黙れ! 黙れ! うわぁぁ!!」

 俺は顔を真っ赤にしながらカノンから写真を取り上げてビリビリに引き裂く。

「あっ! お待ちになってリュート様! それ一枚15000円ですのよ!? きゃぁぁ!!」

 アリアは金色の長い髪の毛を両手で抑えると、俺の顔を見ながら半泣きになるしか無いようだった。

「絶対許さん、あのカマキリ女! 俺のプライベートまで撮りやがって!」

 俺は血眼で写真たちを凝視する。
 床にひっくり返る写真の一枚一枚、全て俺のエロ関係の画像を撮ったものであった。

『季本が江夏の谷間の中を覗き込む画像・2500』

『季本が江夏に叩かれて喜んでる画像・3500』

『季本が冬風にディープキスされる画像・6500』

『季本が冬風の前でシコシコする画像(無修正版)20000』

 ずらずらとやばい文字が見える中、面になっている写真もまずいことに気づく。

 カノンを見ながら鼻の下を伸ばす画像。

 腕を組んで凛々しい格好の俺だが、股間がギンギンに張っている画像。

 カノンのパンティーがキツくて中のポジションを変えてる時の画像。

 ……カノンと濃厚なキスをしている時の画像。

「わっわっわっ!! 全部撮られてる! ねぇ、リュート! 私たち、もしかしてそのメロって女の子に入学した時から張り込みされてたんじゃないの?! 全然気付かなかったわ!」

「多分そうだ! 俺らの写真を撮るためにずっと前からつけてたんだ!」

 カノンとリュートは顔を真っ青にしながら見つめ合う。

「だ、大丈夫ですの! もう、十分撮ってもらったし、ここまでしていただけるなんて思っていませんでし……たし……ね?」

 アリアはテヘッと舌を出す。
 ピンク色の舌をちろりと出すアリアは可愛いはずなのに何故だろう、殺意しかわかない。

「なぁ、アリア? もしかしてさ、俺たちにメロをつけさせてたのってアリアだよな? アリアしかいないよな?」

 びくりと肩を揺らすアリア。

「いいいいいえ、多分、たまたまじゃなくて? 私がこの写真をカメラから探して、たまたまあったからもらっただけでしてよ? おほほほほ、ほぅ……」

 目を空に向けて高笑いして見せるが、もう怪しいの一言しか出てこない。
 そして、俺は写真の間に挟まったメモ書きのような紙を見つける。

 赤いペンで綴られた手紙を拾うと、俺はアリアを睨みつけながらそれを開く。

『親愛なる亜梨愛さんへ。いつもご利用いただきありがとうございます! 季本の写真30枚組を特別価格でご提供! 素顔からエロスまで全て揃えて159,000のところ、なんとお客様価格100,000でご提供! 今後の契約の特典とつきまして、エロス画像一枚をサービスいたします! 『季本と江夏の事後[学校のトイレでヤっちゃった ︎ ](初回限定版)』を無料でお付けします! それでは、今後の季本の写真もご期待ください! メロちゃんこと、トッカータより』

 俺は怒りを込めて3人しか居ない個室の中で大声で読み上げる。
 カノンに聞こえるように、アリアの鼓膜を貫くように。

 プルプルと震える俺はあまりの腹ただしさに握力が上がっていき、紙が悲鳴をあげながら潰れていく。

「あわわわわ……リュート様ぁ……!!!!」

 アリアはガクガクと震えながら、オーラで大きくなっていく俺を眺める。
 カノンはもうツンとか関係なく、下民、奴隷、生ゴミを見る目でアリアを凝視する。

「ねぇ、アリア? 長期契約……してないわよねぇ? してないって言わないと、テルを呼ぶわよ? あの子、きっとあなたを粉々にしてくれるわ。痛くないのよぉ? テルの魔法って」

 侮蔑と拒絶のオーラを同時に出す俺らの前に、アリアはもはや言葉など出ないようだ。

 唇を震わせながら彼女は涙をポロポロと落とし始める。
 これは、彼女に取って必要な涙だと俺らは判断した。
 悔いるべきはアリアだ、プライベートを侵害するなんてあっていい事では無いだろう。
 そして俺とカノンは、見えないところで意見が合致したのだ。
 お互い頷くと、スマホを取り出すしてカメラモードをオンにする。

 ポロポロポロポロ。

 綺麗に流れ出す金髪王女の涙。

 これ以上、このようなことがないように証拠でも残しておこうか?

 俺はスマホカメラと言う兵器の銃口をアリアに向けた。

 ピース、なんて平和な単語は使わない。
 さよなら、アリア。

 怒りに身を任せて指をスマホに触れると、泣きわめく女の子の頰を光が撫でる。
 偽りのない彼女の涙を、これで信じてやろう。
 この泣き顔は、俺の宝物庫に保存してやる。

 パシャり。

 つづく。

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