俺は5人の勇者の産みの親!!

快晴シャリラ

第6話 聖域と精液

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 ある世界の話をするわね。

 私の名前はカノン。
 我が父、西の王様の娘であり、同時に次期王女の冠を任せられた王位継承者ってやつ。
 私の世界では、女を王位継承者にして、力強い冒険者や勇者の遺伝子を受け取って国を大きくるする方法が一般的なの。
 ま、私にはまだ結婚なんて言葉は早いけどね。

 嘘よ、もう周りの子たちは結婚してて、私だけ置いてけぼりよ。

 そんな私のところに、急にいい知らせが届いたの。

「お父様! ついに勇者がやってくれました! 我々が恐れていたあの魔王を倒しました!!」

 私はヒラヒラのドレスを手で持って城内を走り回ってたわ。
 長年悩まされてきた魔王軍の完全壊滅の連絡があまりにも嬉しかったの!

「おお! そうか! ついにあの魔王を倒そうとは!」

 玉座に座る父は、私の叫ぶ声を聞くと、立ち上がってガッツポーズを取ってたわ。
 可愛いお父様でしょう?

「誰が奴を仕留めたのじゃ! その者たちを連れて参れ!」

 お父様の号令により、すぐさま勇者の捜索を試みて、兵隊さんたちがとても忙しそうにしてた。
 町中に御触れが出ると、すぐに居場所が判明して、勇者たちが我が城に来たの。
 勇者達は王都で武器の調達をしていたんだって。

 そして、集まった5人の勇者。
 返り血を浴びたままの5人の姿は、最強と謳われる装備を身に纏い、凛々しい面持ちで王の前に跪いてた。

「よく来てくれた、勇者たちよ! 面を上げてくれたまえ」

 お父様は玉座に踏ん反り返ったまま勇者たちの顔を眺めてる。

「「「「「はっ!」」」」」

 5人の勇者は揃って立ち上がってみんは同じ格好をしてた。
 すごくカッコよかった!
 ……てぐらいで、あまりそれ以外の印象はないけどね。

「名を聞かせよ。右の其方から述べよ」

 お父様は指をさすと、その男は胸に手を当てて声を張り上げた。
 重く大きな鎧を拳で叩くと、城の至る所に金属音が反響したの、すごいわよ!

「はっ! 私の名前は『パッフェルベル・ウォン・ステジアータ』!! このパーティのリーダーであります!」

 続いて、小柄な杖を持つ女の子。
 白い髪を巻いた彼女の姿はまさに聖女。

「はいっ! わたちの名前は『シューベルト・トゥルオ・スタグカチオン』ですっ! 賢者ですっ!」

 続いて、鎧では隠しきれないほどに胸の大きな女の子。
 プルプルと震えながら王様の前でキョロキョロする。

「わっ! はっ! 私の名前は『ロッシーニ・スーリヤ・グロトセドゥマ』ですっ! パラディンですっう〜(汗)」

 続いて、常にフットワークを欠かさない彼は、軽装ながらも、服の下には鋼のような筋肉が見て窺える。

「うっス! 『バッハ・フォルティカ・アグレスチル』!! 格闘家っス!!」

 続いて、首を常に動かしながらふらふらと立っている少女。
 厚着の割に露出度の高い服が男の目を惹き、魔性の美しさを醸し出す。

「はい……。私は『モーツァルト・フィフルス・アボサージャ』。魔術が使えます……」

 王宮の中に5人の勇者が集まることは異例の事態で、中に入ってそれを拝みたがる群衆が城に押し寄せてどうしようもない状況が続いてたな。
 私もお父様の横にいたけど、そこにいても外の騒がしさが分かったもの。

「よくやってくれた! 其方達が魔王を倒してくれたおかげでこの城も安泰じゃ!」

 お父様は立ち上がって勇者に対してお辞儀をする。
 それに合わせて、5人の勇者も頭を下げる。

 そして、お父様はじっくりと顔を眺めていると何故だか違和感を感じたみたい。
 髭をくるくると回すと、首を傾げてた。

「其方ら、どこか顔が似ておる気がするな」

 なんとなく発した一言。
 その一言に応えるために、リーダーのスタジアータは口を開く。

「はい! 私たちは、全員腹違いの兄弟であるからです!」

「なんと! それは一体どういうことじゃ!」

「私たちは、父親は同じで腹だけが違う兄弟で、魔王討伐の運命を課せられて集結した運命共同体なのです!!」

 その話を横で聞いていた私も目を細めて見て、5人の勇者の顔が確かにどこか重なる部分があるような気がしたわ。

「ほう! その父親の名をなんと申す! そして、その男は生きておるのか!」

 お父様は興奮したかのようにあたりに唾を撒き散らす。
 何故興奮しているのか、その時はまだ私は理解できなかった。

 ◆◆◆◆◆◆

 その日の夜は、魔王討伐の祝杯として色々なところでパーティーが行われてた。

 勇者のところには何人もの御付きが付き、男性勇者は女を両手に抱えて楽しみ、女性勇者は選りすぐりの男を横に談笑を楽しんでいた。
 勇者の体に触りたがる女性は多く、皆、遺伝子を欲しがっていた。
 共に、美しさに魅了された男性は、勇者の周りに集まって彼女達を癒していった。
 私はその姿を遠くから見ていたけど、さすがは勇者、人間の扱い方が乱暴でエッチだった。
 あ、胸の中に腕が入ってる、あの女の人。

 リーダーさんは既に女の人を何人も持ち帰ってるみたいだし……。
 そんな風に、私もめちゃくちゃにされたいな……なんてね。

「勇者達よ、そろそろ部屋に戻ると良い。1人ずつ大広間を用意した。存分に使うと良い。明日は英雄冠の授与式を行うことを考え、夜遊びは控えめにしてくれたまえよ?」

 その言葉に反応したバッハさんはヨロヨロのフットワークをしながらお父様に合図を送る。

「わっかりましたよ王様ぁ! じゃ、おやすみなさぁーい」

 そう言われながらも、酔った勇者達はそれぞれ異性を引き連れて部屋に戻っていった。
 日頃ストレスを溜め込む傭兵達は、今日という日はとてもいい癒しになるのだろう。

 勇者の部屋からは、気持ち良さそうな喘ぎ声が聞こえるけど、私は絶対にそこには遊びに行かないわ。
 だって、私は男性経験ないもの。

 お父様は5人の勇者が部屋に戻ったのを確認すると、玉座の前まで私を連れて行く。
 何か大事な話をするようだ。

「はい。お話とはなんでしょうか」

 私の寝巻きは、薄く黄色い花のような服だった。
 その美しさをみた王であるお父様は私に問いかける。
 とんでもないこと。

「カノン。お主は処女であるな?」

 急な問いに私の顔が爆発する。
 手を大きく振りながら取り乱した私を落ち着かせようとお父様は待て待てとなだめる。

「お、お父様! 何を言い出すの突然!!」

 私は顔を真っ赤にして、頰に手を置いて首を振る。
 だって、普通聞く?! 父親が娘に『セックスしたことあるかどうか』なんて!

「まぁ、良いではないか。カノンは処女であろう?」

 ふおっふぉと笑うお父様。
 デリカシーなさすぎでしょ、ほんと!
 でも、多分言わなきゃいけない。

 仕方がないから、恥ずかしさを紛らわすために後ろを向いて、私はコクリと縦に頷く。

「……それは良かった。城内の男達がお主の可憐さに胸を打たれたと言ってな。いつかカノンに手を出すのではないかと心配しておるのだ」

「そんな事はいいわ、お父様! なんでそんなことを聞くの?!」

 今にも右手がお父様の頰に飛びそうになる。
 辱められた女の怒りは怖いって教えてあげたい……!

「まて! カノン! そろそろ結婚をしたくないのかと聞こうとしたのじゃ! お主ももう立派な女じゃ。男の肌を感じたいじゃろう?」

「……まぁ、私も女ですし。いらないと言ったら嘘になりますが……」

「そうじゃろ? そうじゃなければ、お主の部屋から夜な夜な声が漏れたりせんじゃろう? あ、いかん。」

 口を滑らせたお父様は口を両手で覆う。
 私の顔は、途端に再び沸騰する。
 え、それって、夜な夜なってアレのこと……よね?
 アレのことよね!
 なんで!
 私は出来るだけ声は出さないようにタオルを噛みながらしてるのに!
 シーツのシミで悟られた?
 エッチな匂いで悟られた?
 そんなことは関係ない! お父様は、私の一人エッチをどこかで聞いていたんだわ!

「お、お、お父様!!!! なんでその事を知っているの?!?! じゃなくて! 嫌! もう本当に最低!」

「わ! 悪かった悪かった! とりあえず話を聞いてくれ! 結婚の話じゃ!」

 私はすぐにでも逃げ出したかったが、父親の頼みだ。
 どうにか平常心ギリギリで話を聞いてみる事を選んだ。

 ふんっ……ふぅ〜!
 ふー、ふー。

「……で、何? お父様」

 言葉に詰まるお父様は、入れ歯を奥に奥に押し込んで口を開ける。

「……カノンよ、勇者を産んではくれぬか?」

 お父様は髭をくるくると回す
 まぁ、何を言いだすかと思えばそんな事?
 ……何をいってるの?お父様?

 つづく。

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