俺は5人の勇者の産みの親!!

快晴シャリラ

第4話 伝説の種

 
「あなたはとてもずる賢い女だわ、カノン。あんな大広場で告白したら、リュート様の迷惑になるじゃない! 彼の人生に支障をきたさないことが一番大切だと天から諭されたでしょう!?」

 アリアはカノンに近づくと、カノンは俺のレバーから手を離し、ズボンに手をかける。
 彼女は、俺のズボンにベルトが付いてないことはあらかじめから確認していた。
 そう、これはカノンの秘密兵器である。

「待ちなさい! それ以上近づいて見なさい? リュートがどうなっても知らないわよ!?」

 俺は一瞬思考停止した。
 カノンの手が、パンパンになったズボンの中に突っ込まれてんだぜ?
 こんな顔が沸騰するような状況だったら、自分のパンツを持つ美女の頭を見つめることしかできないだろ。

 そして、金縛りにあった喉をどうにか開いてカノンに怒鳴り散らす。

「は? おい、カノン! どういうことだ説明しろ!」

 俺は両手をあげるしかない。
 なんらかの修羅場で股間に銃を突きつけられたような気分。
 抵抗すれば、きっと殺られてしまう。

「何をするの、やめなさい! リュート様を使って脅しをするなんて、あなた最低よ!」

 ずりずりと近寄って行くアリア。
 全く止まる気配のないアリアには驚くほど下心しかないことが伺える。
 鼻の下を伸ばした野獣、変質者、ストーカー。
 もう、嫌だ! この人たち!!

 結局、近くアリア。
 それを見ると、カノンは少しずつズボンを下げて行く。

「おい、カノン! やめろって! おい馬鹿野郎!」

 少しずつ見えてくる黒い陰。
 何百と超える茂みを越えた先には、王者が持つ神聖の宝具が眠っている。

「おい、アリア! 俺に近づくな! おい!」

 それでもじりじりと近寄って来る。
 鼻の下をビヨーンと伸ばして、アリアの鼻息が荒くなることが遠くからでも分かる。

「これ以上近づいて見なさい! どうなるかわかっているんでしょうね!」

 カノンの手に力が入る。
 茂みを勢いよく抜けると、そこに待っていたのは高くそびえ立つバベル。
 解放された真の塔は、勢いよく下げられて行くパンツに食い込んで、たちまち空間に顔を出す!!!!

「やめろおおおおおおおお!!!!」

 バベル、空を切る。
 放たれた一つの伝説を前に、アリアは目を開く。
 その偉大なる我が伝説の宝刀を見た者は、禍々しき光を浴びながら崩れ落ちるであろう。
 ギチギチになったムラサメは、月明かりを求めるかのように上に反り返り、天高く舞い上がった。

 ふっ、グッバイ、マイラブ……! 

 とぅるぅぅん!!!!!!

 黄金の光が空気中に差し込むと、パチンコ店の駐車場一面を明るく照らし出す。
 光に押し負けたアリアはじっくりと聖なる塔を見ながら後ろに仰け反って行く。
 肉が勢いよく腹に当たると、ソーセージを齧った時のような爽快感のある音を奏でる。

 もう……嫌だ、この人たち……!!

「さ、今のうちに行くわよ、リュート!」

 パンツをもう一度あげると、右手を掴んで外へ走って行く。
 真っ白になった俺の思考は、強姦された時の少女のそれだった。

 戻れないんだ、日常に。
 汚されちゃったよ、母ちゃん、父ちゃん。

 走りにくい体制で摩天楼が並ぶ街を走る少女と俺。
 操縦は全てカノンが行い、前かがみの俺はそれについて行くだけ。
 かわいそうな俺よ、どうか、やすらかに。

 ◆◆◆◆◆◆

 その頃。

 私、春日 亜梨愛はついに、あの方のおちん...ぱちんこ店の中で倒れてしまいましたわ。

「……リュート様ぁ……。立派になられましたわ。あんな大きなもの……私、咥えられるかしら?」

 鼻血で顔がぐちゃぐちゃな私。
 おそらく、あたりが騒がしいのは私のせい。
 絶対そうだわ、だって私の横にタンカー来ましたもの、絶対やばいやつですわ。

 赤いサイレンも見えるし、これ、私がやらかしたのではないですの?
 やばいですの?!

「犯行現場には、当時男女2名がおり、今もなお逃走中とのことです」

 あ、警察の方ですわ。
 え、これやばいやつじゃなくて?!

 り、リュート様! カノン! 早くお逃げなさい!
 おっほっほっほ!!

 あ、口に鼻血が入りましたわ。

 ◆◆◆◆◆◆

 カノンのやつ、俺を引っ張り続けてどれくらい経つんだ?
 もうアリアは追ってこないだろ?
 あたりが月明かりで明るいのに、どうして路地裏を行こうとするんだよ。

「ここまでくれば安心よ。良かったわね、追ってこなくて」

 汗を流しながら走っていたカノンの綺麗なファンデーションは、今はもうドロドロにはげ落ちてしまった。
 一方、俺は未だ真っ白になったままブツブツと呪文を唱える。

「ねぇ、リュート! 何落ち込んでんのよ! 早く目を覚まさないとひっぱたくわよ!」

 と、思い切りひっぱたかれる。
 いや、ひっ叩くなら言えし!

 ウフッと笑うカノンを見ると、俺は大量の涙を浮かべる。
 なんだろうか、すごく、なんだろうか...!!

 そして、両手で顔を隠して額を地面につける。

「俺……もうお嫁に行けないわ……!」

 俺の情けない姿を見ると、カノンはため息をついて 俺の顔を持ち上げる。
 間近にあるカノンの顔。
 なんだよ、疲れてるって顔だぞ? カノン。
 まぁ、悪くねぇ顔だ。

「ねぇ、リュート。お話があるんだけど、いい? とりあえず、あなたの家に行きたい」

 泣きじゃくる俺は、ゆっくりとうなづいた。
 どうせ上げるつもりだったし、なんだかなんでもよくなってきた。
 カノンは俺の胸ぐらから手を離すと、腕を組んで片目を瞑る。

 てか、昨日とか、今日とか、ずっとこいつ猫かぶってやがったのか!
 まんまとハマっちまった!

 もう、嫌だ、この人!!

「じゃ、行きましょう。今日が一番、絶好のタイミングなんだから。急がないと終わっちゃうわ」

 カノンはポツリとなんか変なことを言う。
 俺は聞き逃さずに問うてみる。

「……なんの?」

 俺は母親に立ち上がらせてもらう子供のようになっている。
 情けないが、腰を引いていないと立ってられないのだ。
 バベルが治らないからな。

 そして、カノンは少しだけ赤くなる。
 ふーん、と悩んだような顔をして、パッと俺の方を見る。
 柔らかそうな唇がゆっくり開く。

「なにって、今からヤるのよ、セックス。今日が一番最高の日なの」

 あ、セックスね、なるほどはいはい。

 ...はぁ?

 ピクリと動いたのは俺ではなく、バベルだ。
 決して俺の意思で動いたのではない。
 ただ、セックスというパワーワードが俺のバベルの感度を大幅に上げやがった!

 てかこの女、俺とセックスするだと?!
 え、な、なんなノォ?!

 もう、嫌だこの人!!!!!!

 つづく。

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