終末デイズ〜終末まで残り24時間〜

HaL

酒井 東夜の章:11

そこからの時間は一瞬のように思えた。
なんてこともないくだらない会話。
特別恋人特有のイチャつきもせずにダラダラと今までのことを話す。
田中は相変わらずヘマばっかりしていた、佐藤と紫央は付き合っていたとか。
咲希さんが引っ越してしまった後の話をダラダラと続けていた。
特になんの山場もない会話。
それ故にそれにはいつかは飽きがくる。
僕が大きな欠伸をした頃だろう、肩にグッと体重がかかる。
その正体は咲希さん。
咲希さんは僕にもたれかかり、スゥスゥと寝息をたてて寝ていた。
さびれて半壊した教会の時計を確認するとその針は11時を指している。良い子はもう寝る時間だろうが、さすがに生活ルーティンが整い過ぎの咲希さんである。
11時になってはいてもやはり空は紅く染まっており、刻一刻と世界終末を言葉なく告げていた。


世界終末最後の日。
僕は最愛の人と過ごすことにした。
家族を大切にしろと言われてしまいそうだが、僕はこれが正解だと思う。
大好きな人と死ねることはなんて幸せなのだろう、そんな歪んだ思想を持ってしまうのもなんだか頷けてしまう。
それほどに幸せなのだ。
地表から一筋の光が放たれて、それはいつ間にか消えていた。
そんな光景を最後に僕もそっと目を閉じた。

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