一台の車から

Restive Horse

26.社員旅行でのできごと

社員旅行では課長と同じ部屋になっていた。
お酒がはいり、夜中になっても車談義が盛り上がる一方だった。
その中で、突然課長から話題がふられてきた。
「どうして、君は車に興味持ったんだい?
 うちらの歳ならともかく、君の歳じゃ周りに車好きはいないだろう。」
「いなかったですね。
 私は幼いころから家に2cvがあったんですよ。
 その影響だとおもいますよ。」
「んじゃ、小学校のころには車好きだったのかい。」
「はい。
 幼稚園の頃には浮き始めていましたね。」
「子供の車離れが進みそうなはなしだな。」
「車に興味持っている人もいましたよ。
 きまって、最近のスーパーカーでしたけど。」
「まぁ、2cvはなぁ。」
「でも、周りの人と話せないのが嫌で、2cv以外も話せるようになろうとしたんですよ。」
「ほぉ」
「当時は頭文字Dとか湾岸ミッドナイトとかが有名で、話せるようにはしました。」
「まぁ、有名だな。」
「おかげでS30ZからL型、ハコスカへと話しはじめたら、また浮きはじめました。」
「(笑)
 漫画の中で留められなかったのか。」
「留められませんでしたね。
 そのあたりから他の車にも興味持ち始めたんですけど、結局2cvに戻ってきてしまいました。」
「他の車を知っても、原点に戻ってきた、ってわけか。」
「やっぱり2cvが一番なんですよ。」

そんな話をしていたら0時を軽くまわっていた。

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